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今こそ時間旅行をしにレストランへ

ー 日常から抜け出せたらそれはもう旅なんだ ー


やらなきゃいけないことがひと段落した金曜日の夜。


落ち着いたレストランの洋食を求めて、大山にあるレストランオオタニへ。



大通りのY字路沿いにあるから建物が三角形をしている。


レンガ造りの2階建て。


ドアを開くと、いきなり目の前に階段が現れる。


登りきったところにあったのは、とてもとてもレトロなフロア。


レトロというのは決して古臭いという意味ではない。

本当の本当にレトロど真ん中の意味でレトロ。

(伝わってそう?)


照明は蛍光灯じゃなくてランプっていうのかな?ほんのりしたオレンジ色の暖かい光。


テーブルは大理石っぽかったりする。


おじさまウェイターさんに席まで案内してもらう。


格子がはめ込まれた窓は雪山のロッジ感を演出している。


(コナンの世界だったらここで必ず事件が起きる。)


都会の喧騒をくぐり抜けて着いた先にはこんな空間が待っていたなんて。


さっきまで自分がいた世界(満員電車、金曜夜の喧騒)とは確かに切り離されている。


まるで旅をしているみたいだ。


非日常に溶け込む感覚が好きで、私は旅が好きなのだが、今回の訪問も旅と同じ感じがした。


この空間にいてはどんな世間話も野暮に感じる。


時空の歪みを感じた。


ググったところによると、1960年代に創業されたらしい。


まさにそんな感じの空気感。

(その頃生きてないけど私にはわかる。)


おじさまウェイターさんにメニューをもらう。


オムライス、ハンバーグ、チキンステーキ、しょうが焼き、ナポリタン、ホタテのフライ、カレー、カニサラダ、ロールパン、エトセトラ、、、。


メニューが多い。

そしてなぜかどのメニューにも特別感が感じられる。


「適当にこれ食べるか〜」じゃなくて、「どれを選ぼうかな」ってしっかり迷わなきゃいけない義務を負わされている感じ。


普段は外食でオムライスを食べない私だけど、この日はオムライスが私を呼んでいた。

(オムライスはなんだかんだ一番好きな食べ物だけど、家で食べるオムライスが一番好きだから外ではあんまり食べない。)


おじさまウェイターさんにオムライスを頼んだ。


しばらくして運ばれてきた。


うわあ!


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黄色がピカピカでつやっつやの光沢。


ブルゾンちえみがもしもオムライスだったら、「あ〜黄色く生まれてよかった!」と言ってただろう。


最近主流になりつつある分厚い卵のふわとろオムライスとは一線を画している。


大きい薄焼きの卵がぎゅっとケチャップライスを包み込んでいる。


スプーンをさくさくっと切り込んでいって、一口食べた。


じわ〜〜〜〜〜



想像以上にしっとりしていた。


ケチャップソースは酸味が少なく、何かが混ぜられている感じのする濃厚さ。


付け合わせのコールスローサラダも一口食べた。


ん??

となった。


コールスローじゃなくてマヨネーズだったのかもしれない。


その間みたいな味。


なんとなくもったりしていて独特。


粗挽きのコショウがいいアクセントになっている。


大きいはずのオムライスはペロリと平らげた。


満福。


欲張りな私は、まだまだこの旅を終わらせたくなかった。


先ほどお店に入った時においてあった期間限定メニュー「焼きりんごのパフェ」が脳裏をよぎる。


「食べちゃうか!」


まるで悪巧みをしているかのようにニヤッと友達と目を合わせた。


おじさまウェイターさんに注文した。


近くに置いてあった板橋グルメ雑誌を片手に待つことしばらくして到着。


どどん。

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「熱いので火傷に注意してくださいね」と微笑むおじさまウェイターさん。


アイスが溶けないようにと、分けて食べる用の小皿を持って来てくれる。


キャラメリゼされたりんごはほんのりあったかかった。


(正直、火傷するほど熱くはなかった。念には念を、的な優しさだったのかな??)


キャラメリゼがだんだん溶けてきて、白いバニラアイスの海が濁っていくんだけど、それがまたいい。


甘いだけだった海がだんだんほろ苦くなっていく。


気づけば後ろにはおじさまウェイターさんがいらっしゃって、焼きリンゴパフェの説明をしてくださっている。


「りんごの外側は炙ってキャラメリゼしてるけど、中は冷たいりんごのままの半生なんです。だからタルトタタンとりんご飴の間なんです。」


へえ〜〜。

(と言いつつ、タルトタタンもりんご飴も食べたことのない平成生まれの私。)


ていうかそろそろお気づきかもしれませんが、このお店、おじさまウェイターさんが3人もいらっしゃったんですよ!


平日の夜にバイトっぽくないウェイターさんが3人ってすごくないですか?


(人件費的に?)


そういうところからお店の雰囲気って作られていくんだろうな。


・・・


時空の歪みの中にあったこのレストランは、2020年の東京にいる私に非日常を与えてくれた。


この空間の中は「2020年」でもなければ「東京」でもなかった。


遠くに行くだけが旅じゃない。


日常から抜け出せたらもうそれは旅なんだ。


遠くに行けない今だからこそ、近くにある新たな発見を楽しもう、って言葉には正直飽き飽きしているけど、私はその中の「時間旅行」を猛烈に推していくことにした。


さあ、今こそ時空を超えた旅に出かけよう!!



(とか言いつつ、こんなレトロなレストランに入ったのは初めてだというにわか時空トラベラーです。)




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