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記事一覧

皺

刻まれた皺のひとつひとつを
そっとなぞる
あなたの生きてきた時間
すべてが愛おしくて

今のキミを

今のキミを

星の光ってすごい昔のを見てるんだって
今はもうないかもしれない残像を
何万光年か離れてるからね
今見れているのは奇跡だよねって
そんな話をしながら
こんなにたくさんの人がいる地球で
今キミに会えていることも奇跡なんだよなって

たとえば生まれ変わりがあったとして
生まれ変わった先にちょうどよくキミがいるとは限らなくて
いても出会えるとも限らなくて
出会えてももっと違う形かもしれなくて
たくさんの偶

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変わらないもの

変わらないもの

いつもの道に 急にぽっかりと切り取られた空
建物と建物の間をすまなそうに
夕日が沈んでいく
ここに何があったのか
いつも見ていたはずなのに
全然思い出せなくて

きっと誰かの生活があって
喜びや悲しみやいろんな思い出が
詰まっていたんだろうけれど
それを覚えてる人は
どれくらいいるんだろう

きっともうすぐ新しい何かが
さも初めからそこにあったように
新しい思い出を生み出していく

変わらないもの

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『なつぞら』オリジナル曲

『なつぞら』オリジナル曲

『なつぞら』 

送電線が描く五線譜の向こう側
どこまでも続く吸い込まれそうなblue
車輪とレールのリズムに合わせて
ゴキゲンなmusic 口ずさんでる
こんな日にはキミとお出かけしたいよ

窓から生ぬるい潮風
ボクらの頬を撫でてゆく
じわっとにじむ汗と
赤く染まるキミの頬

空が青かったから仕方ないよ
どんなに遠くたって大丈夫さ
キミとならあっという間だよ
ほら 海はもうすぐさ

海岸へ続く商

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気持ちのいい朝
まだ少し夜の気配を残したひんやりな風と
混じり気のない青空からまっすぐに届く
じりじりと肌を焼く日差し
どこまでも走っていけそうな
夏の始まり

耳を傾ける

耳を傾ける

コーヒーを淹れる時
豆を挽く時も 豆を蒸らす時も
彼は耳を豆たちにそっと近づけて
小さな音の変化にうなずきながら
彼がお湯を注ぐと
豆たちは深く呼吸をするように
ゆっくり膨らんで またゆっくりしぼんで
うれしそうにおしゃべりをする
彼はその話に耳を傾ける
愛でるように 注意深く
そうして淹れたコーヒーは
柔らかくて優しい味がする

ギターを弾く時
彼は一つ一つの音を確かめるように
今鳴っている弦は

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ここにいるよ

ここにいるよ

会えなくなってもう
どれくらい経つのかな
こんなに会えないなんて
思ったこともなかった

あなたならどうする?
あなたならなんて言う?
聞きたくなるたび
もういないって
途方に暮れる

だけど
いつでも ここにいるよ
あなたがいなくても
声が 言葉が
いつでも思い出せる
あなたはいつも
ここにいる

会えなくなってから
元気にやってるよ
新しい仕事にも慣れて
友だちも仲間もふえて

それでもときど

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祈り

祈り

さみしさにのみこまれたら
きっと終わってしまうから

さみしさに負けない強さを
神さま どうか
私にください

待つことと 選ぶこと

待つことと 選ぶこと

どれだけ涙をこらえたら
明るい日々が来るんだろう

あなたが選ばれるはずがないと
頭の中であの声が
いつまでもこだまする

いつかそれが覆されるんじゃないかと
待っている私は
シンデレラに憧れる
世間知らずな少女みたいで

はじめから選ばれることを諦めてしまえば
全部全部手放してしまえば
これ以上苦しむこともないよねと
破壊衝動に駆られるけど

それで 私はいいのかな?

なんにもよくわからなくな

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たちどまって

たちどまって

失ったものを思ってもしかたないよと
人は言うけど
そんなに簡単なものじゃないよね

笑顔 笑い声
美味しいごはん
しあわせだったはずの記憶が
浮かんでは胸をえぐっていく
確かにあったはずなのに
いつの間にかこぼれ落ちて

たちどまって
うずくまって
空を見上げて
青が滲んで
あつい滴が頬を濡らして
今必要なのは
そういうこと

つらいときこそ前を向いてなんて
人は言うけれど
それができたら苦労しな

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赤い涙

赤い涙

始めてしまえば終わりも来るって
初めから そう わかっていたけど
意外と早く来ちゃたなあって
悲しかったけど 涙は出なくて

変わったわけじゃなくて
もとのあたしが出ちゃっただけよ
あなたに好かれたくて
あなたが好きそうなヒトを演じていたの
だけど疲れちゃったんだ
好きって言ってもらえるのは嬉しかったけれど
そのたびに自分が引き裂かれていくようで

ふたつに割かれた心のかけら
そのままじゃ好いても

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むずかしいことば

むずかしいことば

それがほしい
そこにいたい
あたしにはむずかしいことば
手に入らないのがこわくて
初めから手をはなす

大丈夫だよ
気にしないで
そうやって笑いながら
心のなかでは必死で叫ぶけれど
聞こえないよね

ありがとねっていいながら
みんな別の方を選んでいく
それでいいんだって
ちょっとホッとしながら
あたしは自分の胸にできた深い深い傷から
目を背ける

言ってしまったら
どうなるんだろう
言ったのに手に

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雲間の月

雲間の月

二度と顔も見たくないような
そんな終わり方をした恋は
はじめから最後まで酷いものだったと思いたくなるけれども
恋の力に背中を押されて
がんばったことやできたこともあったと
ふと気づく

あの人をどんなに嫌っても
あの人を好きだった自分は嫌わずにいてあげよう
雲に隠れても輝きを隠しきれない月が
そっと覗いてる

後ろ姿

後ろ姿

前を行く大きな後ろ姿
追いつきたくて
同じものを見たくて
小走りでついていく
追いかけても追いかけても
振り返りはしない

合わせてもらうことに慣れきって
歩みを合わせることを知らない人
どこまで歩いていくつもりなんだろう

追うのに疲れて
歩みを緩める
どんどん遠ざかっていく
愛しくも憎たらしい背中

私が夕焼けに目を奪われていることも
道端の花に心を寄せていることも
歩き疲れて涙目になっている

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