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茶埜子尋子
2024年4月24日 20:18
きみの背中をひらいてそうすれば空は見えるだろうか繋がれてしまえばよかったきみの小指にささやかに佇む残響が首すじを切り裂いてゆく泡のような霧よりも薄いぼくときみ 僕らを囲むものも何もないんだよ さわやかな音とともに弾けても宇宙よりも細やかな何かへ空よりもひろい何かへ飛び交いながら変わってゆくよ茶埜子尋子
2024年4月23日 19:44
オルゴールの音色のように穏やかな気持ちふたたび巻き戻すことはないこれっきりの時間戻れると信じていたの潤んだあの子が見つめてたからレクイエムはあの子のためにずっと待っていたのね神さまからもらった手紙をにぎりしめてこれからどんな幸せが待ち伏せてもこの詩を忘れないから緩やかにゆるやかに沈んでゆこう茶埜子尋子
2024年4月21日 19:29
約束でもないのに逃れられないように赤い雨がふる番って果てて美しい時のままだけのわたしたちでいられるように自ら縛っているようなもの囚われているのはわたしたちではなくこの空なのですぽこぽこと浮き出る骨不穏な手ざわりが心地がいいこときみの背中をひらいたらばそうすれば空は見えるだろうかまだ見ぬ蒼穹を茶埜子尋子
2024年4月20日 19:47
静かな夜のおそろしい森音も立てずに抉っていく白い牙を汚した温い血は丁寧にきみの夢にしたたっていく木々に染みこんでいく行き場のない声愚かなひとねそれも含めて食事というのやがておもむろに立ち上がった歪んだ影を見つめてまだ何も終わっていないのに茶埜子尋子
2024年4月19日 19:51
呼んでいるざわめきの傍で小さな陰が花瓶の水が揺れている満ちてくる穏やかな波が浅瀬にふれて音がなる古いピアノの高い音掠れてまろい体温のような音がなる私の子どもの名前は満がいい欠けたりしながら迷いながら擦れながら満ちてゆく大切なものだけ両手に抱えて茶埜子尋子
2024年4月18日 19:41
花のようにきみの手が風にゆれる水面にうかぶ月は夜へ消えてゆく指先のひかりは木の葉に風穴を開けるようやく咲いた紫陽花の道路面電車の下散り散りになった砂は新しい明日の朝日になる結んでひらいて輪廻の輪いつもどこかで鈴がなる茶埜子尋子
2024年4月17日 21:03
永遠とおなじようにあなたの愛にうかんでいたい君のいのちの前で軽々しく白い血を流しつづけていたい時計の音とあの日の約束の唄は同じ音色広い海の浅いところのやさしい色に似ている幸せにいちばん近くて愛にいちばん遠いところの美しい色あの空が満たされるまで今日のこの日のままで枯れた花束を抱えて流木に凭れて小さな花咲かせて茶埜子
2024年3月5日 19:43
辿りついたの浮かんでは沈んでゆく星の丘の十字架の前にいつからここに居たの今までなにを見てきたのだろう私もここに繋いでください血をふき取って罪ほろぼしの詩草むらに散りばめるの光るといいなきらきら きらきらきらきらここに来るまでたくさんの約束かわしてきたのすべては許せないかもね白い約束茶埜子尋子
2024年3月4日 19:42
死ぬために造られた海の見える崖で昇ってゆく月の光りに照らされてあなたのおかげでこころ遺りも忘れましたこのきらめきがいまわたしの陰を消していくのですあなたがもし悪であっても憎むことはしませんただそれだけをこの一晩の月のひかりに残してゆきます朝焼けと共にさよならするの慟哭茶埜子尋子
2024年2月28日 19:12
夢をみて落っこちたらいいのにぼくがゆっくり食べてあげるよ打ちつける波のようにきみを愛していたかっただけなのに乱れる飛沫に目を伏せてぼくの目の前に立っている頬はふやけてもう少しなのにきみのこころ海にふたをしてるみたいぼくの目の前にいるのならすべてをさしだしてたやすくひとのみきみの全てをあいしてあげる分からなくなってしまえ
2023年12月16日 09:55
夜にたなびく空のようにわたしの心揺らめいて悲しみが星になるのさらさら望遠鏡一億光年先の未来を映しだしてこのままわたし消えてゆくのこだまする宇宙の淵へなにものにもなれなかった星の子たち光よ わたしもいくね満天の星空熱い珈琲を淹れるかな茶埜子尋子
2023年11月18日 20:05
沈んでゆく身体の中の静かなほとぼり留めた僅かな煌めきはやがて星くずとなって思い出になるのにくむ心もやさしい心だったの美しい心に悪魔が手をつけて毒りんごにしたの最後はきっと同じ場所へ醜いわたしも君のもとへ茶埜子尋子