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茶埜子尋子
2024年5月31日 19:44
飛びなれて忘れたくないものもなくなってしまってる草で切れた中指に露を垂らそうとしても風に拭われてオオカミの遠吠えだけがこの谷に響いて青く光るこの花の名前も忘れてしまったみたい覚えていても心地良さなんてなくてあれば狂ってしまうのに今の今までそうしてまで見たかったものこの谷の守り人も絶えてしまったというのに美しく残ったまま変わ
2024年5月30日 20:17
薄いからだに光を廻らしてきみのいのちの在り処を説く自然が生まれたようにしていればきっとぼくらは死ぬのだろうだからいつまでも自然を殺さねばならないのだろう摂理というのは近い未来じゃなくて遠くの宇宙をいつもみているそれをぼくらに知らせずにされるがままに死んでいく それかぼくらが気づけていないのかなすがままに殺していくまったくそれは簡潔な気持ち
2024年5月25日 19:29
海辺の会食には白いワンピースでリボンをほどいて生贄になれないのが苦しいの数奇な運命に指を刺されながらギラギラ光る無数の単眼をとめどなく浴びて死んでしまいたい支配されてもいい血しぶきを丁寧に舐めあげてゆくうっとりするような殺気に慄いたらどうかここへおいでください身体の奥があつくなるようなわたしはあなたを心待ちにしてい
2024年5月23日 23:01
痛いの痛いのとんでいけ絡まった針金をぐるぐるってメリーゴーランドにしたら逆夢のはじまりこんどの夜は指を切って愉しかったら裂いてあげよう面白いの見たさに見失ってピエロになったのはどっち?深い淵にはまってしまって もがいてるのはどっち?痛いの痛いのとんでいけ見えないフリしてるあいつにトンデイケ茶埜子尋子
2024年5月18日 19:18
青と赤がはじめて繋がる時間にひんやりしたおでこをきみの頬にくっつけてみるこの朝とおなじように少しだけかなしいこの気持ちはきみのもの?ちょっぴりも動かないで心だけを繋いで紫になる艶めいた肌に痕をつけたら終わってしまうんだ薄暗いままで陽の光も見えないままでだから声はきこえないきみとぼくのこの世界への代償だから世界は美しいきみの
2024年5月17日 20:13
ちぎれた糸を雲の切れ間に紡いでゆくような そんな生命になりたい ユラユラとっくに解けている腕に繋がれたくて星を眺めた淡くひかる小さな星は きみの喘ぎを孕んでユラユラ何も奪うことはなかったのに大きな力に解き放たれて 震えているふたつの星は雨の温もりをふくんで ぼくらこれからこんなことに慣れていかなくちゃいけないのかな
2024年5月16日 20:04
元いた場所に帰ろう虚宿行きの列車に乗ろう窓を開けてぼくに身を任せて瞳をとじれば満天の星々が迎えにきているよようやく君に見せることができる銀河へつづく夜を車掌さんもお客さんもいないんだぼくときみだけ風と星だけそれだけで宇宙はできるポッペンを割ったような弾ける音がぼくらを包みながら遠い遠い夜へ元いた場所に帰ろうあたりまえだった
2024年5月15日 20:03
本当にきみはきれいな色でできている髪も 瞳もなにもかもだから今もこうやってぼくに夢を見させつづけているんだろうひんやりした世界でやさしく囲って夢のような現実のなかで夢をみている残酷なきみ美しいきみぼくの好きなきみ茶埜子尋子
2024年5月14日 20:14
殺しにくる見境のない仕草で見とれている直刃のような 眼差し重ねられた羽衣屍は山河ですすいで手折られた精霊流れ星のような美しさで首元で揺れる銀色の勾玉しんと森へ響いて青く光る蟲らの声よ茶埜子尋子
2024年5月11日 20:36
目の前を飛び交ってゆくのは気高く有りつづけた先人の火の玉パシャンパシャン幾千の意志が海にはじけて空に散る手を振ってサヨナラ告げた日手を握って愛を伝えた日手を震わせてまだ見ぬ未来へ手紙を書いた日重ねた日々の端くれを繋ぎ合わせて日ノ本の旗になる歪んだ空へ虹色の鱗を散りばめて太陽は昇るよ新しい国に茶埜子尋子