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藁の文化

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日本は木の文化、竹の文化、紙の文化といわれますが、藁も日本人の生活を支えてきました。さまざまなところで藁が利用されてきました。藁のことを綴っています。
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記事一覧

4月22日は「アースデー」なので藁のことを考えた

4月22日は「アースデー」なので藁のことを考えた

 4月22日は「アースデー」だそうです。当日のラジオで知りました。
 地球のために活動する日。地球のことを考える日。つまり環境について考えたり活動したりする日なのでしょう。
 初めて聞いた言葉ではありませんが、意味をキチンと理解していませんでした。

 私はこの日を「藁のことを考える日」にしました。

生活のなかの藁

 現在の生活で身近な藁細工はしめ飾りです。年末になるとスーパーの店頭に並び、そ

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そしてエジコは消えていった…

そしてエジコは消えていった…

 エジコとは漢字で嬰児籠と書き、文字通り赤ちゃんをいれる籠です。私はベビーチェアのようなものと思っています。一般に藁で作られるもので、生後1ヶ月ぐらいから使用します。今は博物館などでしか見られません。

ある文化人類学者の話

 40年以上前のことです。文化人類学の先生が
「エジコっていいものなんですよ」
と話しはじめました。エジコに入っている赤ちゃんとそばに座っているおとなとの目線が合いやすい、

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うれしいひなまつり

うれしいひなまつり

 4歳から小学1年まで住んでいた家のお隣は、三姉妹のいるお宅でした。

 ひな祭りが近づくと
「おひな様を飾ったから見にいらっしゃい」
と三姉妹のお母さんから声がかかり、母と見に行きました。

 6畳間の和室の半分を人形たちが占拠していました。赤い布がかけられたひな壇に内裏びなと三人官女、五人囃子、右大臣、左大臣、そしてお道具が並べられていました。

 私の家には内裏びながあるだけでしたから、歌や

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寝心地を試してみたいワラ布団

 現在はベッドで寝ていますが、子どものころは畳の部屋で布団を敷いて寝ていました。布団、特に敷布団の中身は綿と決まっていますが、中身に藁を使用しているワラ布団というものもありました。

 私はワラ布団を使ったことがありませんし、見たことすらありません。両親や祖父母たちからもワラ布団に寝ていたという話を聞いたこともありません。

 私にとって全く見当のつかないワラ布団ですが、案外優れものらしいのです。

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父方の曽祖母は納豆作りが上手だったらしい

父方の曽祖母は納豆作りが上手だったらしい

 もう40年以上前のこと。父方の祖母と話していたら曽祖母の話になりました。
「あなたのお父さんのおばあさんは納豆作りがうまかったんだよ」
 曽祖母は祖父の母。祖母からすればお姑さんにあたります。お嫁さんがそう褒めるのだから曽祖母は本当に納豆作りが上手だったのでしょう。

納豆の作り方

「おばあちゃんも納豆を作っていたの?」
「作っていたけどあんなにうまくは作れなかった」
「どうやって納豆を作るの

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煮大豆と藁が出会い納豆が生まれました

煮大豆と藁が出会い納豆が生まれました

 ほぼ毎朝、納豆を食べています。私のように納豆をよく食べる人と納豆は大嫌いという人がいます。この個性的な食べ物の起源の記事です。

後三年合戦の伝説

 かなり前のことですが、納豆は後三年の役(後三年合戦)で誕生したという話を知りました。

 後三年の役、あるいは後三年合戦とは1083年~1087年に現在の秋田県横手市で起きた合戦です。当時の地元の有力者清原氏の内紛に、陸奥国守だった源義家(八幡太

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サザエさん一家はムシロをいくらで購入したのでしょうか

サザエさん一家はムシロをいくらで購入したのでしょうか

サザエさん一家の引越

 数年前、クリニックの待合室の本棚に『サザエさん全集(長谷川町子著 朝日新聞出版)』があったので、さっそく1巻を読みました。福岡時代のサザエさんが描かれていました。東京に引越をするところで1巻は終わりました。

 その最後の4コママンガには、サザエさん一家の家具がムシロにくるまれて家の前に並べられ、それを見た近所の人が
「まあこんなにたくさんムシロを」
「高かったでしょうね

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草鞋(わらじ)切れても粗末にするな 藁はお米の親だもの

草鞋(わらじ)切れても粗末にするな 藁はお米の親だもの

 琵琶湖の西岸、滋賀県高島市に朽木というところがあります。この朽木では
 草鞋切れても粗末になぁするな
 藁はお米のなぁ稲親じゃもの
という唄があります(『ものと人間の文化史55-Ⅰ 藁(わら)Ⅰ』宮崎清著 法政大学出版局)。田の草取り唄です。
 草鞋が擦り切れてボロボロになっても
 すぐに捨ててはいけないよ
 藁はお米をつくる稲の肥料になるのだから
こういう意味です。

①田の草取り唄からもわか

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稲は私たち日本人の生活を支えてきました

稲は私たち日本人の生活を支えてきました

 お米を作るために稲が栽培されてきましたが、稲はお米以外の部分も利用されてきました。(以下は『ものと人間の文化史55-1・藁(わら)Ⅰ』宮崎清著 法政大学出版局 参照)

稲を刈り取ったあとの根…田起こし、荒起こしで土に混ぜられ肥料になる

脱穀後に生じる籾殻…保温材、緩衝材、燃料、飼料、肥料

精米時に除かれる糠…漬物の糠床、食用油、工業用油、飼料、肥料

稲の茎や葉(藁)…燃料、飼料、肥料、そ

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