サザエさん一家はムシロをいくらで購入したのでしょうか
サザエさん一家の引越
数年前、クリニックの待合室の本棚に『サザエさん全集(長谷川町子著 朝日新聞出版)』があったので、さっそく1巻を読みました。福岡時代のサザエさんが描かれていました。東京に引越をするところで1巻は終わりました。
その最後の4コママンガには、サザエさん一家の家具がムシロにくるまれて家の前に並べられ、それを見た近所の人が
「まあこんなにたくさんムシロを」
「高かったでしょうね」
と話す様子が描かれていました。
それからムシロの値段が気にかかっていました。
今のムシロはいくらでしょうか
『サザエさん』の作者、長谷川町子氏の一家は戦争が激化した1944年に福岡に疎開。戦後、1946年に東京に戻りました。今から80年近く前の値段は、しかもムシロの値段を調べる方法はわからないので、現在のムシロの値段を調べてみました。
藁工品を扱う会社のホームページを見るとムシロにもいくつか種類がありました。簡単に分ければ本来のムシロとコモです。両者は作り方が異なっていて、ムシロのほうが厚みがあり、たとえば板の間に敷くときはムシロが向いています。
『サザエさん』のマンガだと家具の保護を目的とした梱包材で使用されていたので、コモが使われていたのかもしれません。
その値段ですが、
ムシロ(厚みのあるほう)
1800mm×900mm 1枚 1133円〜3300円
コモ(薄いほう)
1050mm〜1800mm×900mm〜1000mm 1枚 429円〜990円
サイズや値段に幅があるのは、ムシロやコモの規格がおおまかなのでしょう。ちなみに重量ですが、ムシロは1枚2.5kg。コモはおおむね1.5kg。
現在はムシロは農作物を天日干しするときに敷きます。コモは霜よけや雪囲いなどで使います。
ムシロとコモ
ムシロはムシロバタとかムシロオリキとか呼ばれる器具を使って製作されます。布をおるとき経糸と緯糸を使って織り上げていきますが、それと同じやり方で作られます。
経糸にあたる経縄は太さ3mmの細縄を使い、緯糸には2〜3本の藁を使用します。細縄を張ったムシロバタで緯糸にあたる藁をくぐらせて、オサと呼ばれる道具で叩きます。
コモは、コモアミと呼ばれる道具で製作します。ムシロが織るというのに対してコモは編むといいます。横糸にあたる藁を経糸にあたる細縄を交互に巻き付ける形でしばっていきます。すだれと同じやり方です。
サザエさん一家がムシロに支払った金額は?
サザエさん一家の家具はどのくらいあったのか、食卓に使用している座卓や食器棚、洋服ダンスや和箪笥などなど。ムシロあるいはコモは20枚ぐらいで足りたのでしょうか?
すると、一番安いタイプで計算すると現在の価格で1万円ぐらいかなぁ、と考えました。まとまった金額になりますね。
参考資料、文献
長谷川町子美術館ホームページ「長谷川町子について」
宮崎清著『図説藁の文化』法政大学出版局 1995年
髙勇商店ホームページ
縄谷忠右衛門ホームページ
画像はムシロ 高岡市立博物館 文化遺産オンラインより