本日の読書
「リバー」奥田英朗(著)
待ちに待った奥田英朗作品。
吉田修一と共に、作家買いをする数少ない作家さんの新作だ。
かなりの長編で上下巻に分けてもおかしくないボリューム。
溢れんばかりの期待感と共に読み始めた。
のだが……
読み終えた今の感想は「う〜む….」というところ。
小説としてはよく出来ているし、読み応えも充分。
群像劇といって、複数の主人公格の人それぞれの目線、立場から
物語が進められるので、文字通り主人公はいない。
もうちょっと、特定の主人公格の人の比率を大きくした方が
感情移入しやすかったのではないか。
物語がゆっくり進んでいくので、いつになったら面白くなるのだろうと
思いつつ読み進めたが、結局は、淡々としたまま終わった。
読書中、感情が揺さぶられるということがなく、なので面白く感じられない。
AmazonやTwitterでは、ノンストップだとか、怒涛の展開とか
書いてる人もいるが、こういう人ってもしかしてサクラ?
前回の池井戸潤作品の書評でも書いたが、奥田さんも悲しいかな
旬を過ぎた作家さんなのだと思った。
「最悪」「邪魔」「ナオミとカナコ」みたいな読者の心を抉るような
作品はもう無理なのかもしれない。
とはいっても、上記した通り、小説としての完成度は抜群で
普通の人には絶対に書けない凄みがある。
なので、そういう視点から読書をすすめれば、もしかすると
また違った評価になるのかもしれない。
娯楽小説、犯罪小説、ミステリーとして読むと、「面白くない」と
僕は正直思いました。