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田舎の“リアル”と本日の読書

「BUTTER」柚木 麻子 (著)

アマゾンの評価が高いので、以前から気になっていたが、
なかなか手にすることがなかった。
首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗をモデルとした
小説なので、事件ものかと思いきやそうではない。
出版社に勤める主人公が、拘置所の木嶋佳苗と思しき
被告と接見を重ねるうちに、影響を受けていくという
内容みたいだが、前回の読書と同様に、途中で断念した。
理由は前回と同じで、登場人物が、僕からみて
「高嶺の花」の人ばかりなので、感情移入ができない。
前回も書いたが、なぜ小説の登場人物は、そういう「層」が
多いのだろうか。
今回も、主人公は前述した通り、出版社勤務の女性であり、
彼氏も上場企業の社員、友人も、そういった「層」の人たちで
やっかみも含め、鼻白んでしまうのだ。
でなければ、社会の最底辺にいる人達だとか、両極端な印象があり、
「等身大」と思える登場人物が意外に少ない。

岩手に、イギリスの名門校であるハロウスクールが今夏、
開校し、今朝のワイドショーで取材していた。
全寮制で、一年間の学費は1000万円だ。
入校する母娘が取材を受けていたが、「いかにも」な感じで、
やはり、自分とはまるで異世界の人間だと痛感した。
お盆に、東京在住の甥っ子が帰省していたが、幸い(?)
予定が合わず、顔をあわせることがなかったが、
早稲田からKDDIに入社、そして数年で、有名な外資企業から
ヘッドハンティングされ、30代前半にして今や年収、云千万らしい。
甥っ子に嫉妬しても仕方ないが(笑)
会えば、多分僕は平常心ではいられないと思う。

僕の生い立ちは裕福だったし、家業を継いだ姉二人は
この田舎にしては、ピラミッドのかなり高い層の
生活をしている。
僕がこんな(発達障害)でなければ、長男でもあることだし、
僕がその立場にいたであろうし、今みたいに生活に
汲々とすることはなかったはずだ。
だからこそ余計に悔しさと悲しさ(発達障害に生まれついたこと)がある。

だけど、僕には僕のプライドがあり、何かあった時には
それを思い出し、自分を奮い立たせたりもする。
甥っ子は学生時代、ベースギターを弾き、バンドをやっていた。
プロを目指したのであるが、夢は叶わず、結果、上記した道を
歩んだ。
あれだけ才能豊かだった甥っ子だが、音楽の世界で上へ
登りつめることは叶わなかったのだ。
一方の僕は、11歳でギターを始めたが、16歳の時には
もう楽器店で講師のバイトをしていた。
18歳で東京の音楽学校へ入校したが、半年もせず
講師から「もう君に教えることはない」と言われた。
で、19歳でプロにスカウトされ、紅白出場歌手の
バックバンドのギタリストとしてプロデビューした。
その後も、順風満帆に仕事はしていたが、これも発達障害が
由来の、ある疾患(というか習慣)によって、道半ばで
田舎への“都落ち”を余儀なくされた。
「あのことさえなければ今頃は.....」などと詮無いことを
考えたりもする。
何が言いたいかといえば、僕はエリートの甥っ子でも
無理だった道に、難なく進めたという、他人から見れば
どうでもいいようなプライドだ。
毎年、東大に何人が合格するか?
一方で、「音楽のプロ」になれる人が何人いるか?

そんなことを、考えながら、今の自分を振り返った時、
時間は自由だし、仕事時間は短いし、ご飯が食えない程の
低収入ではない訳だし、昼間からこうやってパソコンに
向かって駄文を書ける身であることを思えば、
なんだかんだいって、「自分は幸せだな」と再認識するのだ。

がしかし、読書体験に於いては、やはり、身の丈と違う世界のものは
ちょっと勘弁して欲しいというのが本音かな。

今日は蒸し暑い日になりそうです。
引き続き、よい午後をお過ごしください。


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