
作業療法士監修!肩が痛くて服が着れない時の着方
こんにちは!ケアウィルツイッター中の人です。
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)、骨折後の回復期などで「肩が痛くて服が着れない!」「辛くて服が脱げない!」とお悩みではありませんか?
今回は、肩が痛くて服が着れない人に、服をラクに着る方法をお伝えします。記事を書こうと思ったきっかけは、わたし(中の人)の友人が、五十肩で「いつもの服が着られない」と困っていたためです。
「着やすい服を着る」のではなく「気に入った普段着をどう着るか」。
以下3種類の服について、作業療法士のハルさんに着方を教わりましたので、実際に着てみた動画と写真で詳しくご説明します。
①袖ぐりがタイトなブラウス
②伸縮素材のぴっちりしたもの(ブラトップ等)
③背中ファスナータイプのワンピース

後半では、ラクでオシャレな服装として、ケアウィルの「アームスリングケープ+タンクトップ」もご提案。
服が脱げない時の脱ぎ方、肩が痛くなりにくい生活上の工夫もお伝えします。
ぜひ最後までご覧いただければ幸いです!
肩が痛くて服が着れない!服をラクに着る基本的な考え方
具体的な着方をご説明する前に、基本的な考え方を頭に入れておきましょう。

痛い方の腕を通すのは「着る時は先、脱ぐ時は後」!
「脱健着患(だっけんちゃっかん)」ともいいます。痛い方の肩は痛くない方と比べて関節の可動域が狭くなっているので、動く方の腕から袖を通してしまうと、痛い腕を無理に動かすことになるためです。
痛みが強い時期(急性期)は安静第一ですから、無理はしないでくださいね。
この記事では、痛みが落ち着いている時期(回復期)を前提にご説明します。
さっそく具体的な着方を見てみましょう。
肩が痛くて服が着れない!事例でわかる「普段の服を着る方法」
私の私物を使って着方を教わりました。
(1)袖ぐりがタイトなブラウス

1つめは、伸縮性がなく袖ぐりがタイトなブラウスです。これはどう考えても無理でしょ!と思いましたが、ちゃんと着れました!(感動)
実際に着用している動画はこちらです。
写真でも順を追ってご説明します。
①先にボタンを外す。(袖口も)

②痛い方の腕から袖に通す。
腕は下げたまま、袖口を手に近づけるようにして、そっと通します。手を袖口に近づけようと肘を引くと、肩に痛みが出やすいのでご注意ください。

③痛い側の袖を、上げすぎな位にたくし上げる。
この時、服の肩の縫い目ごと、なるべく首側に近づけるように上げるのがポイントです。これ以上は上がらない!という位まで上げましょう。

④痛くない方の腕で首の後ろから服をつかみ、背中側から痛くない方の側に寄せる。
首の後ろから手を回して、服を背中に広げるようにします。

⑤痛くない側の指先から袖を通す。
指先で服がつかみやすくなっているので、袖口も簡単に見つかります。

良い例と悪い例を比較してみました。
右の悪い例のように、肩の縫い目をいつも着る時の高さまでしか上げないと、、、

背中に回した手が服に届かなかったり、袖がどこにあるか探せなくなってしまいます。あれ?あれれ~?

⑥服のボタンを留めて、リボンを整える。

肩を動かすと痛いときは、肘を曲げることでボタンを留めます。リボンは位置が低めなら蝶結びにできますが、難しければ片手で軽く一重に結ぶとよさそうです。
脱ぎ方は、着る時と逆で、痛くない方から袖を外せばすぐ脱げます。
次に、伸縮がありすぎるほどあるユニクロの「ブラトップ」を見てみましょう。
(2)伸縮素材のぴっちりした服(ブラトップ)

サイズがぴったりのブラトップです。
実際に着用している動画はこちらです。
写真でも順を追ってご説明します。
①両足を通して下から着る。

下から履くように着るのがおすすめです。
実はユニクロ公式でも、「下から着るのが正解」と断言されています。
上から着るより、足下から履いたほうがするっとラクに着用できるうえ、アンダーバストにアンダーゴムがぴったりフィットするから、胸も自然と引きあがる。
ブラトップと胸のいい関係」より
今回は服の上に着てるので、上げにくいですが・・・んしょ、んしょ。
腰まで履いて、腹巻の位置まで持ってきます。

②肩ひもを痛い方の腕に近づけて通す。
ブラウスの時と同様に、肩ひもに手を近づけて通そうとするのは、肘を後ろに引くことになり痛いです。
服が伸びることを利用して、肩ひもを手に近づけるようにしましょう。

肩まで着ます。

痛くない方も肩まで着て完成です。

脱ぎ方も見てみましょう。
③脱ぐときは、痛い方の腕の肩ひもをなるべく下まで下ろす。
痛い方の肩ひもを下ろしたら、痛くない方も腹巻状(あるいは腰骨のあたり)まで下ろすのがポイントです!

④痛い方の手に肩ひもを近づけるようにして抜く。

上記③でしっかり下ろせていれば、肩ひもに余裕が出るので手を抜きやすいです。着る時と同様に、肘を後ろに引く動作をしなくて済みます。
続いて、難関と思われる、背中ファスナータイプのワンピースです。
(3)背中ファスナータイプのワンピース

これは子供の入学式のために買ったワンピースです。
伸縮性のあるワンピースの場合、こちらのYouTubeでよく説明されているので参考になると思います。
ただ私のこのワンピースは、伸縮性があまりありません。そのため、動画で説明されているように「片手で上から着る」ことはできませんでした。また、ファスナーが途中で噛んでしまい、最後まで一人では着られず、、、
でもファスナーだけ手伝ってもらえれば着られますし、他の服だとスムーズに着られる可能性が高いです。以下、おすすめの着方をお伝えしますので、ぜひご自分の服でもやってみてください!
①服のファスナーに紐などを通しておく

私の場合、家にあった2m位のリボンを使いました。端を斜めにカットすれば、簡単に通せました。通しにくい場合は、糸通しなどを使ってもよいでしょう。
実は細いミシン糸でもやってみたのですが、引き上げる時に切れてしまって使えませんでした。実際にやってみて切れてしまった写真はこちらです。
やはり、一定程度太さがある紐やリボンがいいようです。

②スカートを下から履いて、痛い方の腕から袖を通して着る。

痛い方の手に袖を近づけるのがコツです。この辺りはもう習熟済ですね!
③座って背中側のリボンをつかみ、上げられるところまで上げる。
ワンピースを着る前から一定程度上げておくのもいいでしょう。

④リボンを上から引っ張って上げる。
痛くない方の手で、リボンを引っ張ってファスナーを上げます。

この服の場合、なぜか途中でファスナーが噛んでしまい、家族のヘルプをもらいました。服によっては問題ないと思います。
座っているのは、お尻で服の下側を押さえるため。先ほどご紹介した動画では立って壁を利用しています。
紐は、着た後にスルっと外せばよいですが、脱ぐときも自分一人の場合は、服と同色の紐にして服の内側に隠してもよいかも知れません。
(4)いちばん楽そう!タンクトップ+アームスリングケープ
一番楽そうなタンクトップ+アームスリングケープの組み合わせをご紹介します。肩が辛い方から「タンクトップにショールを巻いている」というお話を伺ったのがヒントでした。

タンクトップは袖がないので着るのがラク。でもタンクトップ一枚で出歩くのは肩が冷えるしちょっと・・・ですよね。
ケアウィルのアームスリングケープは、頭からスポッとかぶるだけで、オシャレな服装に早変わり!
めちゃくちゃラクな上に、痛みがある肩や首が温かいので快適です。
元々腕を吊る三角巾の役割をもっているので、内袋に腕を入れれば、腕と肩を休めることもできます。スマホを入れることも可能です。
一般的なアームホルダーやアームスリング等の固定を主とした装具とは異なり、日常着にもなじみます。

アームスリングケープは、公式サイトやAmazonでも販売しています。ご興味があれば、以下のリンクからチェックしてみてはいかがでしょうか。大人の女性用です。
アームスリングケープについては、こちらの記事でも詳しく説明しています。作業療法士ハルさんが書いた、病気や骨折等のケガで三角巾を必要としている人に向けた記事です。もちろん、肩が痛い人にも役立ちます。
https://note.com/carewill/n/nb0aeccd3dece
作業療法士に聞いてみた!肩が痛くなりにくい生活上の工夫など
肩が痛くて服が着れない、服が脱げない、という悩みのある人は、
「これ以上悪くならないように」とか
「再発防止策」があればいいな、とお感じではないでしょうか。
五十肩世代でもある私が、気になることを作業療法士ハルさんに聞いてみました。
肩が痛くならない動かし方の工夫は?

特に手を上にあげる動作は痛みが出やすいですよね。
高い物を取るときは、親指を上にして取ると、肩に負担がかかりにくいです。逆に、手の甲を上にして腕を上げると、肩に負担がかかります。
あまり気にしていられないとは思いますが、普段から親指を上にして手を伸ばす習慣にしておくとよいです。
五十肩は痛くても動かした方が治りやすい?予防策は?

五十肩の場合、治そうと自己流で動かす人がいますが、炎症が起きているときに無理に動かすと却って悪化させてしまいます。
肩関節は、肩を包み込むように位置している三角筋と、内部にあるローテーターカフ(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)と呼ばれる、いわゆるインナーマッスルが複雑に働いて動かしていますが、この三角筋やインナーマッスルのバランスが崩れることで、関節に負担が生じ痛みにつながります。
自己流で無理に動かすと大きな筋肉ばかり使いがちです。4つのインナーマッスルの力を落とさないようにするのがコツだと思います。
痛みがない普段から、
・手を組んで上にあげる
・寝転がってバンザイ
等の動きをやっておくのもよいでしょう。
以上、「肩が痛くて服が着れない時の着方」と服が脱げない時の脱ぎ方、生活上の工夫について、作業療法士ハルさん監修の情報をお届けしました。
carewillは、これからも当事者の方々の声に寄り添った製品づくりを続けていきます。そして、今の状況を”諦める”のではなく、必要とする方への選択肢をお届けできるよう、あなたの「できる」を応援します。
アームスリングケープも、ぜひチェックいただければ幸いです!(大人用、女性用を販売しています)