今日からできる!片麻痺の方が片手で洗濯するときの工夫8つ
こんにちは!あなたの「好きな服を楽しく着たい」という気持ちを尊重する衣料ブランド、ケアウィルです。
今回は、ツイッター”中の人妹”ことおみーが、作業療法士(OT)ハルさん・ケアウィル代表笈沼に「片麻痺の方が片手で洗濯するときにできる工夫」を聞いてみました。その中から「今日からできるちょっとしたこと」にこだわって8つの工夫を紹介します。片麻痺でなくても、私のように赤ちゃんを抱っこしながら片手オペレーションしているお母さんの参考にもなるかもしれません。
全部もうやってるよという方、素晴らしいです!ほかにもやっている工夫があったら是非教えてください。
ご自身でもできそうと思った方、取り入れていただけると嬉しいです!
実は洗濯って複雑
皆さんは、「洗濯に関する作業」いくつあげられますか?
このように、洗濯にはたくさんの作業があります。
洗濯物を、洗濯機に入れる・取り出す・運ぶ・干す・取り込む等の身体を大きく動かす作業や、洗濯ネットの開閉や洗濯ばさみのつけ外しといった指先の細かい作業のつながりで出来上がっています。
ご自身に合わせた工夫をするには
本記事では、洗濯作業の流れに沿って「環境を調整する工夫」を紹介します。具体的には、高さや場所を調整したり、道具を使います。
高さや場所は、1つの作業を図の緑の範囲内(目安)で行えるように調整します。
高さ:お腹から目線前まで
横:手を広げた範囲
この範囲内だと、身体の重心位置が大きくずれることなく作業ができ、身体のバランスが崩れる心配が減ります。本記事以外の作業を工夫してみたい、という方は、1つの作業をこの範囲内で行えるか考えてみると良いでしょう。
※最適な方法は、ご自宅のレイアウトやご自身の状態・作業の好みによるところが大きいです。そのため、ご自身用にカスタマイズされたピッタリの方法を見つけたい場合、担当の作業療法士さんがいらっしゃれば、ご自宅の環境評価をしてもらい、あなたにあわせたアドバイスをもらうと良いです。
さて、日々の大仕事である洗濯。
少しの工夫でちょっと楽にするために。
ここから、今日からできる片手で洗濯する工夫を8つご紹介します。
工夫①洗濯を「心のスイッチ」にする!
日々の洗濯。どう思いますか?
正直筆者は面倒くさいです(苦笑)特にしわを伸ばす、干す、取り込んでしまう作業…よくサボってます。
先日、弊社の一人で着れる三角巾「アームスリングケープ」ユーザーのOさんが、代表笈沼に日々の生活における洗濯への想いを教えてくださいました。
服をたたむことが好き。
洗濯はリセット、たたむはスタート。
アパレルの販売業務をされていたOさんにとって、洗濯は「今日もがんばろう!」という気持ちのスイッチなのです。
たしかに、筆者も風呂上がりのバスタオルは、乾燥機にかけっぱなしよりも、たたんだものを使った時の方が「きれいな私のスタート」という感じがして気持ちが良いと思います!洗濯は心のスイッチ。そう思うと、作業を楽しめそうです。
(この言葉をきっかけに、筆者はバスタオルをたたみはじめました。)
工夫②「洗濯物出し入れ」:身体を安定させる
洗濯機に洗濯物を入れる、洗濯が終わって重くなった洗濯物を取り出す作業は身体を大きく動かします。
身体を大きく動かすと、バランスを崩し転倒するおそれもあります。片麻痺の方は、以下のような工夫をすると身体を安定させながら作業を行うことができます。
・洗濯かごを手が届きやすい位置に設置する
・座って作業する場合、出し入れしやすい位置に座椅子を置く
・立って作業する場合、洗濯機や壁によりかかって洗濯物の出し入れする
例えば、上図のような体勢です。
・洗濯かごを洗濯機の横に置く
・洗濯かごの高さを出し入れしやすい高さに調整
・洗濯機に対して真正面に向き、お腹を洗濯機に当ててよりかかる
ご自宅のレイアウトにあわせて、カゴの高さや位置、寄りかかり方を工夫しましょう。
工夫③「洗剤投入」:片手で計量いらずのグッズ
プッシュボトルやジェルボール洗剤は片手で投入できる上に、計量の必要がなく便利です。
これだけは今日からすぐにとは行きませんが、とても便利なので次回洗剤を購入する際にいかがでしょうか。
工夫④「洗う」:しわ・ダメージ対策3選
洗濯物の量が多かったり、脱水時間が長いと、洗濯物が絡んだりこすれたりしてしわ・ダメージが付きやすくなります。
普段の洗濯物の量にもよりますが、可能な範囲で調整してみると、しわ対策に良いでしょう。
・1回に洗濯物を詰め込みすぎない
・脱水時間を短めに(筆者は2分にしています)
・洗濯物を洗濯ネットに入れる(きんちゃく型・ファスナーなし型などあります)
工夫⑤「ハンガーにかける」:洗濯機の上やテーブルでやる
片手で洗濯物をハンガーにかけるのは難しいため、洗濯機の上やテーブルに洗濯物を置き、ハンガーを通すと良いでしょう。湿って重くなった洗濯物を広げて置くと、机との摩擦で滑りにくくなり、ハンガーを通しやすくなります。
また、洗濯機と干場が離れている場合、重い洗濯物を運ぶのも大変です。途中にダイニングテーブルがあれば、休憩もかねて、そこでハンガーにかける作業を行うのも良いでしょう。
もし、グッズを工夫したい場合は、片手でつけ外しできるピンチハンガーや襟ぐりが狭い服でもかけやすいハンガーなどがあります。
工夫⑥「干す」:物干し竿の高さを作業しやすく調整
洗濯物を干すとき・取り込むときは、洗濯物が落っこちないようにする必要があります。片麻痺の方が姿勢のバランスを保ちながら、干す・取り込むといった作業を片手でするのは大変なことです。
物干し竿の高さを調整可能な場合は、お腹から目線くらいの高さに調整すると、作業しやすくなります。
工夫⑦「たたむ」:裾の形状に合わせてひと手間追加
今回インタビューで、代表笈沼から弊社の一人で着れる三角巾「アームスリングケープ」を片手でたたむ方法を聞きました。
同じたたみ方で、裾に丸みがあるトップス・スカートや、前後で丈が違う服もきれいにたたむことができます。
以下のような手順でたたみます。1着片手で15秒くらいです。
⓪後ろを上向きに置く
①右側を折る
②左側を折る
③下部の丸みやはみ出ている部分を折り、四角くする ⇐ココでひと手間★
④縦半分に折る
⑤ひっくり返すと完成!
動画だとこのような感じです。③のはみ出ている部分を折る作業を追加することで四角くするのがポイントです。
私はかつてケープや裾の丸いTシャツなどを上手にたためなかったのですが、この動画を見て、上手にたためるようになりました!
工夫⑧「収納」:よく着る服はとりやすい高さに収納する
よく着る服をとりやすい高さに収納しましょう。
取りやすい高さとは、お腹から目線くらいの位置です。
一方、シーズンオフのものや頻度の低いものは、低い位置や高い位置にしまいましょう。
また、トップスはボトムスより上にしまうと、身体の位置関係と収納位置のリンクがとれて、「あれ、どこに入れたっけ?」がなくなります。
以上、「片麻痺の方が片手で洗濯するときにできる工夫」8つをご紹介いたしました。1つでも「できる」と思っていただけるものがあれば幸いです。
洗濯は、身体を大きく動かす作業・指先の細かい作業がある複雑な作業。大変だし面倒くさいですが、「洗濯はリセット、たたむはスタート。」です!
あなたの洗濯の「できる」、応援します!
(洗濯に関する工夫もTwitterでお待ちしております!)
あとがき:アームスリングケープの洗濯は簡単
記事中にちょこちょこ出てきた、ケアウィルの「アームスリングケープ」は、一人で着れる三角巾です。おしゃれなケープで肩と腕をゆったりホールドできます。例えば、脳血管障害による弛緩性麻痺で、普段は亜脱臼防止のために着用されているユーザーさんもいらっしゃいます。
このアームスリングケープは、本記事で紹介した「片手でできる洗濯の工夫」を活用して簡単にお手入れができます。
・工夫④しわ対策
→裏がえして洗濯ネットにいれることでしわになりにくい!
・工夫⑤ハンガー、工夫⑥干す
→陰に平干しするため、ハンガーや物干し竿にかける必要なし!
・工夫⑦たたみ方
→片手で簡単にたためる!
お手入れから脱ぎ着まで一人でできる三角巾、それがアームスリングケープです。
一見シンプルで簡単そうに見えるこのケープは、当事者の方々の声や、医療・服の専門家による計算しつくされた機能性・デザインが反映されています。その点が評価され、グッドデザイン賞を受賞いたしました。
興味を持っていただけた方は、こちらに詳細な説明&購入ページがありますので是非ご覧ください!