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BTSーケアしあう男性集団(ケアの時代3)

今回は、韓国の男性アイドルグループBTS(防弾少年団)の「ケア」について触れていきたい。
言うまでもなく、世界的な大人気ポップグループだ。
自分たちで作詞作曲やプロデュースもしているので、アイドルというよりアーティストと呼んだほうがしっくりくる。
世界中で愛されたアーティストとして、ビートルズやマイケル・ジャクソンと並べて語り継がれていく存在になりつつあると言ってよいだろう。

私がBTSにハマったきっかけは、妻がdynamiteのMV(ミュージックビデオ)を見ていたことだ。
歌とダンスの素晴らしさに、いつの間にか妻よりハマっていた。
疲れているときも、当時世界的にヒットしていたdynamiteやbutterをきくとなぜか元気が出る。
しかも、そうした人は自分だけではないようで、少し不思議に思っていた。

Youtubeで彼らの動画を検索すると、MVだけでなく、バラエティやレッスンやファンとのコミュニケーションの様子など、ステージ以外での姿を見ることができる。
それらの印象は、とても人間味があり、メンバーどうしの仲がよさそうだということだ。
パフォーマンス中の緊張感やかっこよさとは真逆の、リラックスした表情や、失敗や弱みも垣間見える。
アイドル(偶像)なのに、謎めいたミステリアスさや冷たさではなく、素直さと温かみが感じられる。

BTSはデビューして9年、2022年6月で10年目を迎える。
皆それ以前の練習生時代からの長い付き合いで、もちろんケンカをすることもあったようだが、実際とても仲が良いらしい。
誕生日を祝いあったり、メンバーが体調が悪いときにはほかのメンバーがフォローしたり、そばにいてあげたり。
こうしたお互いを気遣う関係性が成り立っているのは、男性集団としては珍しいのではないか。

もしかしたら、女性からしたら当たり前のことなのかもしれないが…。
男性というのは、女性と比較するとコミュニケーションが苦手ということもある。
とくに同年代の男性どうしだと、ライバル心や競争心が強すぎて、お互いをケアしあう関係が築きにくい。
男性だけの集団は、競争心から足を引っぱりあって、作業効率が落ちるという研究もあるくらいだ。

私も、高校は男子高だったので、学生時代はもちろんだし、大人になっても同窓会で仕事や年収やらでマウントを取りあったりする場面をみてきた。
仲間意識がないわけではないが、いつも、あともう一歩が踏み込めない気がする。
皆、同じように苦労や辛いことがあるはずだが、弱みを見せたら負けと思っている節がある。
「男なんだから泣くな」と父や祖父に言われて育ってきたためでもあるだろうし、そうした価値観を社会から強制されてきたともいえる。

だからこそ、BTSのような「ケアし合う男性集団」が、とても羨ましい。
チームとして同じ目標に向かって協力しているというだけでなく、弱さを見せあい、気遣い、支えあい、共感し、お互いをケアしあいながら仕事をしている姿が。

先日発売された雑誌GQのインタビューでも、ソングライターでもあるsugaが、ほかのメンバーについて

僕が転んでも僕を受け入れてくれる人たちがいると思えるのはいいですね。

と発言していた。
(サムネイルだと上部中央がsuga)


彼ら自身が葛藤や弱さを隠さないからこそ、「一人じゃない」「誰だって完璧じゃない」「ありのままでいいのさ」「love yourself」など、一見ありきたりな歌詞や言葉にも、一定のリアリティがある。
本人たちが作詞にも関わっているし、とくにメンバーのソロ曲には赤裸々に自分自身の弱さを告白した名曲も多い。

芸術作品というものは、表現者の生き方や人生が出てしまうところが、恐ろしさでもあり、素晴らしさでもある。
絵にも楽器にも歌にもダンスにも、すべての表現に無意識ににじみ出てしまい、隠せない。
BTSのメンバー自身が意識せずとも、彼らの考えや姿勢が、歌やダンスから伝わってしまう。
単純にイケメンだとか、曲やダンスのレベルが高いだけでは、彼らがこんなに全世界から愛されることはなかっただろう。
もちろん、歌もダンスも相当テクニカルなのだが、それ以上に伝わる何かがあるからこそ、これだけの人気を得たのだと思う。

最後に、7人の「ケア」を感じられる動画を、下記にご紹介したい。
お時間があるかたは是非。いや、なくても是非。
そのうえで彼らの楽曲や表現に触れてみると、また新たな発見があるかも知れない。


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