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【ピープルデータの活用(その3)】 最適なタレントアクイジション(採用&オンボーディング)プロセス設計のための分析

タレントアクイジションプロセスと分析項目

特に中途採用において、必要な人材を確実・タイムリーに採用し、かつ入社後に早期に能力や経験を発揮してもらうためには、タレントアクイジション(採用と入社後のオンボーディング)プロセスの最適化が必須となります。
現在のタレントアクイジションプロセスの効果や改善点を見出すために、下図の通り、プロセスの対象範囲によってそれぞれ分析方法があるので、ここでいくつかご紹介したいと思います。

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(1)募集チャネル分析
採用時の候補者募集に活用している各種チャネルの実績を整理し、強化すべき点を把握します。
例えば、人材紹介会社(エージェント)経由の募集については、縦軸: 応募者の質、横軸: 応募者の人数で各社をマッピングし、各社への情報提供強化など対策を検討します。

(2)募集・選考期間分析
職種等のカテゴリーごとに募集開始からオファー承諾までの平均期間を算出し、時間がかかっているカテゴリーの状況や期間短縮方法を検討します。
これにより、例えば面接後の合否判定に時間がかかることが多かったり、面接官の日程調整に時間がかかることが多いなどの傾向が見えてきます。

(3)エージェントフィードバック分析
人材紹介会社(エージェント)へのインタビューにより、自社の募集・選考方法の改善点のフィードバックを依頼すると共に、自社のみだけでなくエージェントと協働して実施可能な対策も併せて検討します。
例えば、毎年定点的に主要なエージェントへのインタビューを設定し、労働市場のトレンド変化なども含めてフィードバックを受けることも効果的です。

(4)面接評価分析
面接選考の中で面接官が効果的に候補者とコミュニケーションを取り、的確に評価できているかについて、面接官による面接評価シート内容をもとに把握します。
面接官がどのように評価したのかが掴みにくいようであれば、必要に応じて面接評価シートのフォームの改定も検討します。

(5)入社アンケート分析
入社者に対して、自社の募集や選考の方法について、他社比較も交えた率直なフィードバックをもらうことで、より強く打ち出すべき特徴・強みや改善すべき点を把握します。

(6)入社者コミュニティ分析
入社者に対して入社前に参加可能なコミュニティをSNS等で用意している場合は、その内容をもとに入社者の入社への期待度や情報ニーズなどを把握します。

(7)オンボーディングプログラム実施分析
入社後の人事および配属先組織において、実施したオンボーディングプログラム内容や実施タイミング、参加状況や結果を把握し、(8)オンボーディングサーベイ分析による本人の満足度も交えてプログラムの効果を検証します。
所属先組織向けには、あらかじめ標準的なオンボーディングプログラムのキットを提供しておくとより効果的です。

(8)オンボーディングサーベイ分析
入社者によって、入社後の一定期間における組織や業務へのキャッチアップ状況や将来のキャリア開発期待、上司や組織のサポート状況、不安・課題等を把握し、必要なサポートやプログラム改善等を検討します。
入社後の一定期間にサーベイを実施する方法と、HRBPが1on1でインタビューを行う方法もあります。

(9)上司によるオンボーディング評価
上司によって、入社者の一定期間における行動・能力発揮状況について評価し、人事として必要なサポート有無を確認します。
試用期間を設定している場合は、試用期間終了の判断と合わせて実施すると効率的です。

(10)入社者パフォーマンス分析
入社者の入社後1-2年の人事評価を確認し、パフォーマンスが十分でない社員がいる場合、本人による上記サーベイ結果や上司による評価結果も併せて要因や対応策 (パフォーマンス改善の対応策とタレントアクイジションプロセス改善の対応策の両方) を検討します。
必要に応じて、評価会議で入社者の評価や状況について集中的に確認するようアジェンダを組むことも効果的です。

(11)入社者キャリアプラン分析
入社者の初回のキャリアプランを確認し、所属組織や自社の中でキャリア展望や目標が描けているか、期待を持てているかを確認します。
上記(8)のHRBPと本人の1on1の中で、キャリア展望や期待感を確認する方法もあります。

変化する採用担当者の役割  〜採用担当からタレントアクイジション担当へ〜

狭義の採用業務は、各部門からの求人依頼に対応して募集から選考・入社までを対象範囲としていました。しかし、中途採用の強化や人材獲得の難しさの高まりにより、より戦略的かつ広範囲な「タレントアクイジション」として、潜在的な候補者獲得のための採用ブランディングから入社後のオンボーディングとパフォーマンス発揮までのプロセス全体をマネジメントすることが求められています。
タレントアクイジションプロセスの品質を向上的に上げていくためには、データ分析ツール等も効果的に活用しながら、上記の様な分析をあらかじめタレントアクイジション業務の中に組み込んでいくことが有効と考えています。

ピープルデータの活用:
(その1) 適所適材のためのポジションと人際のマッチング
(その2) スキルデータの活用


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