マガジンのカバー画像

読書の記録

68
読んだ本の感想をまとめたものです
運営しているクリエイター

#書評

チェ・ウンスク『「ふつう」の私たちが、誰かの人権を奪うとき』(平凡社)

国家人権機関とは何か2024年9月8日に神保町で行われた、日本ペンクラブ女性作家委員会宣言「日…

伊藤聡
1か月前
30

金暻和『韓国は日本をどう見ているか』(平凡社新書)

これは万国共通のルールなのか?英語の勉強をしていて、たとえば「迷惑をかける」は英語で何と…

伊藤聡
2か月前
31

デヴィッド・M・バス『有害な男性のふるまい』(草思社)

見知らぬ女性に声をかける男性先日、井の頭線に乗った際に、電車内で話している若い男女を見か…

伊藤聡
4か月前
42

ベル・フックス『フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学』(エトセトラブックス)

フェミニズムの初期衝動自信に満ちていて、堂々とした本だった。フェミニズムという思想の可能…

伊藤聡
5か月前
36

クリステン・R・ゴドシー『エブリデイ・ユートピア』(河出書房新社)

新しい世界を想像しようファック家父長制。その熱い思いで書かれた『エブリデイ・ユートピア』…

伊藤聡
5か月前
23

高橋幸『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど』(晃洋書房)

「ポストフェミニズム」ってなに?社会学者・高橋幸の著書『フェミニズムはもういらない、と彼…

伊藤聡
6か月前
45

クラーク志織『ロンドンの片隅で、この世界のモヤモヤに日々クエスチョンしているよ。』(平凡社)

初対面の相手に失礼なことを言うもし『ロンドンの片隅で、この世界のモヤモヤに日々クエスチョンしているよ。』の著者であるクラーク志織さんが、たまたま私の参加した飲み会にやってきたらと仮定しよう。この記事のヘッダに載せた写真の方があらわれて、私の向かいの席に座ったとして、初めて会うクラークさんとなにか会話をしなくてはならない。さて、どんな話題で打ちとければいいのか。なるべく当たり障りのない、ふんわりしたトークテーマがほしいところだ。「イチゴとメロン、どっちが好きですか?」。ところが

とあるアラ子さんの漫画がすごくよかった、という話

ルッキズムの複雑さを描く漫画家、とあるアラ子さんの作品を読んだ。ルッキズムがテーマで、現…

伊藤聡
6か月前
65

小川たまか『たまたま生まれてフィメール』(平凡社)

百貨店と商店街私は長らく、フェミニストの女性に対して百貨店のようなイメージを抱いていた。…

伊藤聡
1年前
33

こりゃ売れるって! MEGUMI著『キレイはこれでつくれます』のとてつもない破壊力を解…

10万部超えで大爆走中いま売れに売れまくっている美容本、発売後1ヶ月も経たずに10万部超えで…

伊藤聡
1年前
98

石山蓮華『電線の恋人』(平凡社)

電線について語る本電線愛好家の石山蓮華が、電線の魅力について語った本が『電線の恋人』であ…

伊藤聡
1年前
21

酒寄希望『酒寄さんのぼる塾日記』(ヨシモトブックス)

4人組のお笑いグループ「ぼる塾」のリーダー、酒寄希望によるエッセイ本。これが実におもしろ…

伊藤聡
2年前
45

清水晶子『フェミニズムってなんですか?』(文春新書)

新書で気軽に読めるフェミニズムの入門書、という位置づけの本。読みやすく、とてもいい内容だ…

伊藤聡
2年前
26

ロバート・コルカー『統合失調症の一族 遺伝か、環境か』(早川書房)

大家族を夢見た若い男女まるでホラー小説のようだった。ロバート・コルカーの著書『統合失調症の一族』はノンフィクションであり、この本に登場する家族は実在しているのだが、読みながらずっと「これは現実なのだろうか」と信じられないような状態が続いていく。おもしろいとは形容できないし、スリリングとも違う、独特の内容だ。このできごとは実際に起こったのだと思うと、現実が歪んでいくような感覚にとらわれてしまう。とある家族の陰鬱な歴史がどこまでも続いていく本書を読んでいると、健康であること、幸福