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自然への畏敬~映画『すずめの戸締まり』~
廃墟に現れ、災いをもたらす扉『後ろ戸』を探し求めて閉める仕事『閉じ師』。
天災を防ぐ大事な役目を果たしている『要石』。
それらはたとえ名誉な役目でも、知られることも、振り向かれることもない、孤独な役目。
目に見えない、見えていても気づかれない。
けれど確かに存在している、なくてはならない、大切で必要な務め。
現世と常世を繋ぐ、1枚の扉。
扉の向こうに広がる不思議な世界『常世』。
そこは、人知を超えた神域。
自然が生んだ、神秘な空間。
作中に登場する『ミミズ』が、『もののけ姫』の『シシ神』の夜の姿『デイダラボッチ』を彷彿とさせた。
普段は優しく包み込んでくれる自然。
けれど、怒りに触れると生き物に死をもたらす。
果てしなく大きな手に護られ、生かされていることを、自然に対する畏敬の念を忘れてはならないと感じた作品。