たったひとつのおいしいケーキに戦場から天国へ連れて行かれた話
夫が高級ケーキを買ってきた。
行列のできるケーキ屋さんに寄ったとのこと。
見るからにデラックスで、見た目のボリュームもあって、それはそれは美味しそうで…
日中、仕事に追われて「夕食後に食べよう」と楽しみにとっておくことにした。
が!なかなかその夕食後がやってこなかった。
まず、仕事が終わらず夕食までドタバタに。
そして、やっと食べ始めたら夕食中2歳児が卵焼きをぐちゃぐちゃに粉砕したためその片付けに追われた。
テーブルの上にテーブルの下、2歳児の体中を拭きまわり、挙げ句の果てに逃げ回るちびすけ足跡を辿って床を拭いた。
7歳児も負けていない。
お腹がいっぱいになったのか食べ疲れたのか、席を立ちソファで一休み。食べ終わったのか聞くも、ちょこちょこ食べに戻ってきたりして油っぽい手で触った場所もまた拭く。
そうこうしているうちに、2歳児のうんちタイムが到来し、再度、彼を追いかけまわしなんとかコトを終える。(食後にうんちすることが多い)
いつも食事中はカオスになりがちだが、今日は金曜日であったり、7歳児の小学生の夏休みが終わることなども相まって子どもたちもいつもにわをかけて開放感爆発していた。
ふたりの男児たちは、無事に?ご馳走様をしたら揃ってキャッキャとリビングで騒いでいる。
一見、かわいく見えるが実態は怪しい。
変な態勢になったり変な格好をしていたり、どちらかがどちらかを喧嘩に誘っていたり、テレビのチャンネルを奪い合いそうになったり、おもちゃをとっちらかしたり、何らかのいたずらをし始める。
ただテレビを見たりおもちゃで遊ぶだけでなくなったのはいつからだろうか?!
床が水浸しになったり、ポテチの屑が飛び散ったり、プレイマットが剥がされて積まれていたり…
ただのやんちゃなアホな男子である。
というより「新生物」や「怪獣」みたいなとんでもないものをこの世に生み落としてしまった気さえして怖い。エイリアン!?
子どもというのは3歳までに一生分の親孝行をすると言われているが、我が家の2人も親孝行ターンを終えて親孝行貯金を消化するターンに入ったのだろうか?!?!
さて、何の話だっただろうか。
ケーキである。
主婦あるあるで自分の夕ご飯も食べたんだか食べてないんだから忘れそうになりながら、子どもたちの散らかしを収め、自分の食器を片付けた私は「ケーキ」を食べることにした!
やっと!ケーキが食べられる。
子どもたちは相変わらずリビングでやらかしをしているしうるさいが、私はケーキを食べることにしたのである。
子どもたちの散らかしやら2歳児のうんちと格闘する私を見ながら自分だけサッサと食後のお茶をたしなむ夫を視界に捉えつつ、ケーキを冷蔵庫から出した。
「他人の食べ物センサー」が野生動物並みに強い2歳児がハイエナのごとく寄ってきて、私のケーキに手をかける。
一口あげたら、ほしいものとは違ったらしく「ぐちょっ」と潰したので、内心やっぱりと思いつつも残りは誰が何と言おうと私が全部食べると固く誓った(自分に)。
さて、やっとケーキを食べたらあまりの美味しさにしばらく私は「ゾーン」に入った。自分の世界へ完全に没入したのである。
おいしい!なにこれ!!
午後に入れたものの仕事に追われ飲みきれなかった冷めたコーヒーをすすりながらケーキをひたすら食べた。
おいしい!!!
世界はおいしいでできている!!!
私の周囲はうるさい子どもたちに汚れた部屋、子どもたちに激しくツッコミを入れる夫の声などノイズだらけの戦場なのに、私はひとり天国へ召喚されたのである。
束の間の天国体験ですっかり疲れが吹き飛んだ。
おいしいケーキは人を幸せにするとはよく聞く話だが、おいしいケーキが子育ての戦場から天国へかっさらってくれるとはこれ42年生きていて初めて知った。
ありがとう夫!
そして、ありがとう、ケーキを作った人、ケーキの材料を作っている人、それらを運んでくれた人!
スイーツは永遠に不滅です🍰
(我が家のエイリアンズを躾けないとね🤣)