男性育休多い会社のポイントを、私目線で勝手に考えてみたら、最後は「みんな違ってみんないい」でまとまった。
以前こちらの記事に、自分の勤める会社には以前から男性の育休取得者が多いことを書いた。
多いってどれくらい?と言うと、男性社員のうちに赤ちゃんが産まれるという話が出るともれなく育休を取るという話しが聞かれるくらい。期間は数日から1か月が多い。
なぜこんなに男性育休が浸透しているのだろう?
周りを見渡して思うところがあったのでまとめてみた。時間がない方は、目次だけでもどうぞ。
☆私は人事など専門家でなく、あくまで個人の自由な感想です。ご了承ください…
単純に、他の男性が育休を取っている
なんだかんだで、これが大きい気がする。実績が多い。もう10年ほど前に男性の友人が私の働く会社で転職面接を受けた時、面接を担当した人事の男性がもうすぐ育休だと話していたと聞いた。友人は子どもが大好きで、育児をしやすい会社を探していた。人事の男性の取得実践は説得力がある。
以前私がいた部署でも、年頃の男性社員が立て続けに育休を取っていた。そうなれば、次に続く人も取りやすい。やはり、「部署で初めて」とか、「会社で初めて」の取得になると、自分も周囲もわからないことが多くハードルが高い。
流動性の高い職場。女性が多い、異動が多い、など。
流動性が多いと言うと離職率が高いという負のイメージの場合もあるけれど、ここではいい意味で新陳代謝があるということ。女性比率が高いと、もともと育休産休で抜ける人も必然的に多い。さらに、ローテーションや、社内公募などキャリア開発の機会が多いと人の出入りは多くなるし、介護や病気や配偶者の転勤による休職など、さまざまな理由があり得る。
そうなると、離脱に対するマネジメントは自然とマネジメント業務の一部になる。育休で抜けるから迷惑だ!などと言う人を見たことがない。人が抜けるのを管理するのは単純に、仕事の一部と認識されているように思う。
これで男性育休に限らず、介護休業やサバティカルなど、あらゆるハードルが下がるはず。
ついでに思うのは、女性比率が高く、女性の経営陣や管理職も目立つことで、男性あるいは女性だから〇〇しないと、という先入観がないことも後押しになっているのではないか、ということ。これは、外国勢力の強い外資系企業の恩恵かもしれない。
人材の評価が長期目線
離脱したらポジションがなくなる、そんな職場では育休なんてとても取れないだろう。
社員が駒なら、今使える駒しか要らない、となってしまうかもしれない。けれど、大切に育てるべき財産として取り扱う場合、戻ってきてさらに活躍する方法を考える方向に働く。人事や上司からは、長く働いて長期的なキャリア構築をしてほしい、キャリアは多様なものでひとりひとり違う、そんなメッセージをよく受け取る。だから、まずは自分がどうしたいかを考えることができる。
1か月ほどまでの男性育休なら、補充要員なしで通常は、上司や同僚が不在を埋める形で対応している例が多そうだ。男性ではあまり聞かないが、女性の育休で半年以上などの離脱の場合には、仕事が分割されて同僚や上司にいくほか、派遣社員や業務委託社員で増員する例を見る。
基本的に、仕事の評価はその人がいる間のパフォーマンスに基づく。不在によるマイナス評価はない。もちろん、いない間に仕事の実績は上がらないが、戻ってきたらまた今後のキャリアをどうしたいか相談しよう、という流れになる。1か月程度の離脱ならそのままもとの仕事に戻るのが通例だ。
社員が親としての役割を果たすことを会社の責任としている
これは、ユニークな例かもしれない。
会社の責任は、社是とか、何とかウェイとか、ミッションとか、各社いろんな呼び名がある。
親として役割を果たせるようにすることが会社の責任と言ってもらえるととても心強い。匿名の従業員評価が年一度行われ、会社の責任すべてが評価項目になっている。評価されるのは経営陣。もし、育休を取りたいのに取らせてもらえなかったら、評価をけちょんけちょんにして出せば、何らかの措置が取られるはずである。
逆に言えば、親としての責任を果たせるような働きかけをしている経営陣は評価が上がり、施策を展開する社員の実績も評価されることになる。いやいや、そんなことしてたら業績上がらないよ!と言うのなら、業績を上げつつやってくれる人が登用されるだけ…。このあたりは社風もあるかもしれない。
育児休業や介護休職をとる人たちの集まれる場がある
初めての休職や復職は不安が多い。社内には、ネットワークを目的としたイベントが企画され、参加したり、参加者のレポートが共有される。外部の専門家を呼んだ講演会もあったり、社内の体験者を集めた交流会もあったりと、盛り上がっている。実際に参加しなくても、そうした情報に触れていると、休業する人がマイノリティだと思う心の負担が和らぐ気がする。
コロナ禍でお休みになっているが、子どもをもつ有志で子供服のチャリティーバザーをやったりと、親であることで社内のネットワークが広がる機会がある。逆に仕事だけをしているより、親であることを楽しんだ方が仕事が楽しくなりそうに思う。
心理的安全性やダイバーシティなどなどの各種取り組み
そもそも、誰にとっても居場所があると感じられる職場が望ましいのは言うまでもない。社内でも心理的安全性という言葉をよく聞く。部やチームなど、小さなまとまりで考慮することが多いように思う。
ダイバーシティ、インクルージョン、エクイティなんかも、世間が騒ぐより何年も前から謳われて、ワークショップやイベント頻繁に行われている。私はあまり詳しくはないけれど、こうした取り組みを見て思うのは、「みんなと一緒」でなく「自分がありたい自分」を目指していいんだな、ということ。
小さな子どもがいると、子どもがみんなと一緒でないことにヤキモキさせられることが多い。
例えば、お着替えが遅い、食べるのが遅い、違う遊びをする、変わった絵を描く、など。はみ出ることが心配ごとになり、周囲を見ながら動く能力を養うよう促される。集団生活を行う上では当たり前だけど、みんなと一緒のみんなって誰?と思うこともある。大人は、そうして「みんな」を目指してできた集団行動に適した人たちなのかもしれない、と思ったり。
だからこそ、これから、大人たちは、みんなと一緒ではなく、それぞれが自分の人生を歩むことを認めてよいのではないかと思う。
おわりに
ちょっと話が大きくなってしまったけれど。
男性で育休を取りたい方、夫に育休をとってもらいたい方、男性育休を取りたい人の周りの方にいま何らかの困難があるならば。あたたかく背中を押してくれる環境ができることを願ってやまない。
そんな大それた環境がなくても、誰もがたった一度きりの人生を後悔なく歩めるよう、できることがきっとあると信じたい。それは、赤ちゃんができた人におめでとうを言う、というシンプルなものかもしれない。明日は我が身、と多少の皺寄せを受け入れることなのかもしれない。育休を取る不安を周囲への感謝へと変えることかもしれない。
社会もビジネス環境も変わりゆく。子育てに限らず、介護、就学、サバティカルなど、誰もが新しい経験を歓迎し、多様な人々が集える場が社会にあると心強いと思う。