49.雨の夜に
たくさん歩いた後、マリウスと入ったSOHOのお洒落なメキシコ料理屋さん。
普段は、レストランなんて行かないからこうして一緒にレストランへ行ってくれるのも嬉しかった。
イギリスのごはんはまずいって誰が言い出したのかわからないけど、外食業はかなりレベルが高い。なんせ国際色豊かなため、日本ではなかなか食べられない本格的なメキシコ料理、トルコ、ギリシャ、インド料理が食べられる。
まぁ、普段外食しないアンジーさんなので、そんなに詳しくないのですが。
でも、スーパーの野菜も果物も美味しいし、安い。乳製品も美味しい。
毎日イチゴや葡萄が食べられるのだ。りんごも死ぬほどうまい。
話はそれたけど、マリウスとメキシコ料理を楽しんでいた。
見たことない料理がいっぱい出てきて、新鮮だった。
食事をして、帰るためにバス停まで一緒に歩いた。彼はいつもバスに乗るまで、見送ってくれる。
すると、突然の大雨が降り出した。
雷も鳴り、本当に突然。予兆無しでザーザー振り出した。
私たちは脇道で雨宿りをしていた。
コンクリートが一気に水に濡れて、街を走るタクシーのライトが反射して、幻想的だった。
雨の匂いもここちよかった。
ライトにあたる雨、水溜りに映るロンドンの街並み。
「綺麗だな」
と思ってみていた。
するとマリウスが、「なんて素敵な雨なんだろう。」
と言った。
私はこの一言にどれだけ驚いたか。
普通の人なら、雨降って最悪、服濡れて最悪、寒くて最悪。きっと文句が飛び交ってもおかしくないこの天気。
なのに彼は、「美しい雨」と言っている。
これにすごく感動して、
「そう言ってくれてありがとう。私は、雨に文句いう人が苦手なんです。マリウスはそうじゃなくてよかった。」
と言ったら、
「もちろん、雨は街を幻想的にしてくれるから好きだし、神様からのプレゼントだから嫌うわけがない」
と。
私も答えた。
「それすごいわかる。神様は私たちを困らせることは起こさないって私も理解してる。マリウスもそのことを知ってて嬉しい。」
「もちろんだよ。」
優しい会話だった。
彼は本当に素敵な人だなぁと思った。
そして、彼はずっと雨に濡れないように私を庇って抱きしめてくれていた。
初めて「マリウスは私のことどう思ってんだろ?」
と思った。
ちょっとすると、雨は止み、バス停まで歩いた。ひんやりした風から守るためマリウスはずっとジャケットの内側に私を入れて抱き寄せて歩いてくれた。
なんて男前なのだろうか。
プロポーズまであと474日
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