岩松勇人プロデュース@ビジネス本研究所:人間心理を徹底的に考え抜いた「強い会社」に変わる仕組み 松岡保昌
【人間心理を徹底的に考え抜いた「強い会社」に変わる仕組み 】はこんなあなたのための書籍です。
●強い会社に変えたい経営者
●中枢を担う企業の管理職
●組織改革を図りたい会社の役員
●会社の現状分析からやっていきたい人
●柳井氏、孫氏のエピソードから学びたい人
【人間心理を徹底的に考え抜いた「強い会社」に変わる仕組みの目次】
第1章 なぜ他社の成功事例を取り入れてもうまくいかないのか?
―組織変革は「企業理念」×「コア・コンピタンス」×
「仕組み・制度・施策」で実現する
第2章 「企業理念」「コア・コンピタンス」によって、
必要な「仕組み・制度・施策」は異なる
第3章 強い会社に変わるための「思考のフレーム」
―「問題点」と「強み」をあぶり出し、
自社に必要な「仕組み・制度・施策」を生み出す
第4章 強い会社に変わるための「仕組み・制度・施策」
―ケーススタディ「FR社の組織変革」
第5章 強さを支える陰の主役は「コミュニケーション」の仕組み
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今回は、
「人間心理を徹底的に考え抜いた
「強い会社」に変わる仕組み」
という本を解説します。
時代の変化に対応しながら常に成長していける
会社になるには、自社をどのように
変えていくべきか――
この問いの答えは、多くの経営者が
常に求めていることだと思います。
会社が変わるためには、自社に合った仕組みや
制度を取り入れ、それに伴う施策を展開する必要がある
と著者の松岡保昌さんは言います。
松岡さんは、リクルートで働いて、
ユニクロのファーストリテイリングと
ソフトバンクで組織改革や事業の立ち上げを
行ってきたビジネスマンです。
この本の結論は、
という内容です。
本書は、自社に合った「仕組み・制度・施策」
を考える必要性と具体的な考え方を提示した後、
これまで松岡さんが携わってきた
企業の事例を伝えてくれます。
組織改革で何より重要なのは、仕組みや制度
といった枠組みを考えて実行するだけではなく、
社内の人間がそれを進んで実践できるような
環境を作ることです。
本書を一読し、自社の現状を見つめ直すことは、
会社のトップに立つ経営者だけではなく、
組織に所属するすべての人に有益だと言えます。
組織を「強い会社」に変えたいと感じたとき、
真っ先に手に取りたい一冊です。
本書の重要なポイントを
3つに絞って解説していきます。
それでは順に解説していきます。
まず1つ目のポイント
1 「強い会社」をつくる方法
時代の変化に対応できる「強い会社」
になるためには、人が自ら動く「環境」と
「仕組み」をつくる必要があります。
とはいえ、ビジネス誌や書籍で紹介されている
他社の成功事例をそのまま実践しても、
同じ効果が得られるわけではないです。
自社のビジネスモデルや、
自社の強みであるコア・コンピタンスを
十分に検討した上で、それに見合った
仕組みや制度、施策を取り入れることが重要だ。
ここでいう「ビジネスモデル」とは、
利益を生み出す製品やサービスに関する
事業戦略と収益構造のことです。
「コア・コンピタンス」とは、
自社が競合他社と戦って勝つためのポイントのこと。
経営者や管理職は、自社のビジネスモデルを
認識したうえで、市場や世の中の変化に
合わせて自社のコア・コンピタンスを
たえず分析し続けるべきです。
その戦略は不変である必要はありません。
他社や時代の変化に柔軟に対応できるように、
組織の「仕組み・制度・施策」
も進化させ続けましょう。
それが当たり前にできるような企業こそ、
継続的、安定的に利益を生み出すこと
ができる「強い会社」です。
では、人が会社で本気になって
働くためには何が必要でしょうか。
その回答として鍵になるのは、
企業理念にもとづくミッションやビジョンを
念頭に置いた2つの視点です。
ひとつは、
「会社が世の中に提供している価値に共感できるかどうか」
つまり社会からどのような支持や感謝を
集めているのかという「社外規範」の視点である。
もうひとつは、
「会社の社風や求められる働き方に共感できるか」
つまり社内で大事にしている行動や考え方である
「社内規範」の視点。
社外規範への共感は、自分の仕事が世の中の
ためになっているという実感によって生まれます。
会社の事業に社会的価値を感じられ、
自分がその事業が好きで、
納得して取り組めている状態。
一方「社内規範」は、社内で理想とされる
行動や考え方、つまり行動指針である。
組織の行動指針に納得できることが、
その会社に対する愛着や居心地のよさにつながる。
企業は、社訓やバリュー、クレドなど、
会社の価値観を伝える言葉の中に、
「社外規範」と「社内規範」の両方を
明記しています。
その規範の背景にある価値観や理由を
常に社員と共有し、理解してもらえる
ような努力を重ねなければいけません。
「社外規範」「社内規範」への共感・共鳴
なくして、本気で働くことはできないからです。
2 組織診断のための7つの視点
組織を分析するヒントとして、本書では、
7つの視点が紹介されています。
1つ目は、「意思決定の方法とスピード」
意思決定は速いほうがいいとされることが
多いですが、これはすべての企業に
当てはまるわけではないです。
速い意思決定が求められる企業の例として、
IT企業が挙げられます。
これは、商品をリリースした後も、
ユーザーからのフィードバックにもとづいて
改良を加えることを期待されているからです。
一方、インフラ系の企業では、
意思決定の速さは必ずしも重視されるわけではない。
インフラ系の企業の施策は社会的な
インパクトが大きく、些細なミスが人命に
かかわることもあるため、
慎重に意思決定しなければならない。
2つ目は、「価値観と方針の浸透」
企業としての価値観や方針が明確で、
社員に伝わりやすいように明文化されており、
それらが首尾一貫して企業に根付いている必要がある。
経営トップが伝えたつもりでも伝わらない
ケースには、大きく2つのパターンがあります。
トップの言葉が一般の社員の視座とは異なる
ことから、メッセージを受け取る側が
言葉の真意を正確に理解できないパターン。
そして、価値観や方針はあっても、
それに魂が入っていないパターンだ。
経営トップの価値観、方針は、末端の社員にも
浸透しているかどうか見直してみましょう。
3つ目は「人材の質と量」
一口に「優秀な人材」と言っても、
その定義は企業によって異なること、
そして自社が求める資質や能力のすべてを
満たす人材はほとんど存在しないという
ことを理解しなければいけません。
自社に必要な人材を整理する際のポイントは2つ。
「求める価値観やタイプ、資質や能力要素
といった、人の変わりにくい部分まで
ふくめて焦点をあてて見ているか」
「コンピテンシーなどの行動特性や人間性で、
共通で持っておかなければならないものは何か」
自社にとっての「優秀」をきちんと定義し、
あるべき姿をイメージしているかどうか考えてみましょう。
4つ目は「自由と規律のPDCAマネジメント」
企業内では何かの企画が進行し、
商品やサービスの提供が開始され、
それに改善を加えながら進化させていきます。
その流れの中で、きちんとアイデアが出されているか、
チェック機能が働いているかは、
企業の発展を左右します。
5つ目は「情報の共有と活用」
社内で「知」をうまく共有できない会社は、
成功の頻度を高められず、
同じ失敗を何度も繰り返します。
成功の再現性を高めるには、
社内の知恵やノウハウの共有が当たり前に
起こる「仕組み」を構築する必要があります。
6つめは「評価の仕組みと報酬」
端的にいうと、
「その会社が求める価値を生み出している人が、
きちんと評価されているか、
その評価と報酬をふくめた待遇が結びついているか」
ということです。
評価をきちんと待遇に反映させる仕組みがあれば、
社員は正しく行動します。
「評価の仕組み」を見ればその会社の成長が、
「報酬」との関係性を見れば社員の
モチベーションの有りようが想像できます。
最後は、「主体性とモチベーション」
主体性は「当事者意識」と言い換えられます。
当事者意識がない人材ばかりだと、
会社は強くなれません。
上のせいにせずに自分たちで主体的に
行動する社員ばかりなら、
会社は自ずと成長していきます。
当事者意識を芽生えさせるための条件は、
価値観や方針が社員に浸透していること、
企業理念が社員を熱くさせていること、
そして、そのような行動を行えば
きちんと評価される仕組みになっていること
の3つです。
ここまで挙げた7つの視点は、
自社の現状を振り返る際の判断基準となります。
7つの視点を通して、自社のどの点に改善が必要か、
また伸ばすべき点はどこかを見極めましょう。
3 強い会社に変わるための「思考のフレーム」
本書では、自社に合った仕組み・制度・施策を
導き出すための「思考のフレーム」が
紹介されています。
「組織診断7つの視点」を意識して、
自社の現状を分析して理想の会社に導いていきましょう。
紙に縦線を引いて左右に2分割し、
さらに左側を上下に2分割します。
左上に「良い企業文化」として残すべき強みを、
左下には「良くない企業文化」として
問題点を書き出す。
シートの右側は、現状にとらわれることなく、
「理想の企業文化」を書く欄だ。
まず現状分析として、会社の幹部と
会社の変革を担う人事のメンバーを集めて
「良い企業文化」と「良くない企業文化」
をそれぞれ100個ずつ挙げます。
その際に「なぜそう感じたのか」
「それはどんな事実からか」もメモしておきましょう。
たとえば20人でこの作業を行うとすると、
2000個の事象が集まる。
これは組織改革のためのヒントが
隠された宝の山となります。
次に、各自が100個ずつ挙げた事象を、
全員で話し合いながらグルーピングする。
ここでは、「KJ法的アプローチ」
を使うといいでしょう。
1カ所に集められた情報に対して、
似たものを集めるグルーピング、
そのグループに見出しをつけるラベリング、
グループ間の関係性を整理する図解化、
それをまとめる文章化という手順を踏むアプローチです。
この「KJ法的アプローチ」で、
みんなが持ち寄った各100個の事象を、
理由まで共有しながら、似たものを集めていきます。
すると、いくつかの塊(グループ)ができます。
グルーピングができたら、
「塊」ごとに見出しをつけていきます。
「年齢の高い社員と、若い社員との間に起こる問題」
「言い出しっぺがやらないといけないので、
気づかないふりをする現象」
「誰も結論を出さないので、進まない事象」
など、それぞれの事象が似ていると感じた
理由を表したネーミングにします。
それぞれの塊に見出しをつけたら、
次は、塊と塊の関係を考えていく。
似た塊を近くに集めたり、
塊と塊を因果関係や時間軸で結びつけたりして、
塊と塊の関係性が見えるようにする。
ここまでくると、「企業文化」について
さまざまなことが見えてくるだろう。
「Aという塊があるから、Bという事象が
起きているのではないだろうか」
などといった想像ができるようになります。
現状分析した後は、「理想」を考えます。
ここでのコツは、現実とは切り離して、
純粋に「理想の企業文化」を考えること。
自社の「コア・コンピタンス」がより強くなり、
「企業理念(社外規範・社内規範)」
を実現するためには、社員がどのような
気持ちになるのが理想的なのか。
どのような行動を起こすことが
理想的なのかを考えていく。
本書を読むことによって、
自社が取り組むべき課題を発見する
ことができるだけでなく、
他社がどのようにその課題と向き合い、
成功を収めてきたのか理解できるはずです。
それでは最後におさらいしましょう。
1 「強い会社」をつくる方法
時代の変化に対応できる「強い会社」
になるためには、人が自ら動く「環境」と
「仕組み」をつくる必要があります。
自社にマッチした仕組みや制度、
施策を取り入れることが重要です。
2 組織診断のための7つの視点
組織を分析するヒントとして、本書では、
7つの視点が紹介されています。
7つの視点は、自社の現状を振り返る際の
判断基準となるので、
自社のどの点に改善が必要か、
また伸ばすべき点はどこかを見極めましょう。
3 強い会社に変わるための「思考のフレーム」
本書では、自社に合った仕組み・制度・施策を
導き出すための「思考のフレーム」が
紹介されています。
自社が取り組むべき課題を発見して、
理想の企業文化を構築していきましょう。