大河ドラマからなだれ込む新月9/ドラマ『競争の番人』
ダブル政子に俺たちの泰時、ワルな平六……。昨年の大隈重信までいる。
何って、今期月9ドラマ『競争の番人』のことである。
公正取引委員会を舞台に、元刑事の新人職員・白熊楓(杏さん)と、その教育係で変人扱いされている審査官・小勝負勉(坂口健太郎さん)がバディを組み、企業の不正を暴いていく物語だ。
(以下、ドラマの内容を含みます)
大河ドラマを視聴している人間からすれば、なんて贅沢なキャストなのかと思うのだが、メディアでは「食傷気味」と言われているらしい。片方の政子・小池栄子さんのあの目ヂカラは印象が強いので、確かに「日曜に出て、月曜日にも出るのか」と思う人はいるのかもしれない。
しかし第1話を視聴すると「これぞ小池栄子! 私の好きな小池栄子ちゃん!!」と、ひとり興奮した。彼女が演じるのは、白熊が異動してくる公正取引委員会第六審査、通称「ダイロク」の主査・桃園千代子。会話のテンポの良さと、公取の力の無さを憂うシュール加減が絶妙だ。
頼りがいがあるような、ないような、どっちつかずのダイロクのキャップ・風見慎一には大倉孝二さん。大倉さんは勝手に『HERO』に出ていたイメージがあったのだけど、出てなかった。あれ? あれは正名さんか。
とにかく、この飄々とした大倉さんと頭の回転が速い小池さんとのやり取り(もちろん演技)が好き。メインの2人・白熊と小勝負は、やり方や考え方は違えど企業の不正を許せない熱さは同じ。彼らをやんわりうまくフォローするのが、この上司2人だ。さらに、第六審査を束ねる審査長役で寺島しのぶさんが降臨。出演時間は少ないのだが、存在感があるので目で追ってしまう。
第1話には、大河ドラマに三浦義村(平六)役で出演中の山本耕史さんが、ゲスト登場している。1話で出番が終わると思っていたら、この話は2話に続いていくらしい。お? これは1話完結タイプではないのね。演じる役はダイロクが追う疑惑の企業の専務。本当に憎たらしい嫌な役で、官僚として黒い噂が絶えない藤堂清正とつながっているのだった。
この黒い官僚を演じるのは、小日向文世さん! ついこないだまで正義感の強い監察官を演じていたのに! 『HERO』では検察事務官だったのに! 『イチケイのカラス』では伝説の裁判官だったのに!
どうやらドラマ全体がダイロクvs藤堂という形になると思われ、最大の敵としてコヒさんが立ちはだかる展開になっていくのだろう。小勝負とも因縁がありそうだ。
「公正取引委員会」という、なかなか実情を知る機会のない世界。コミカルなシーンを交えながら現実の理不尽さを描いていく、わりと王道ドラマになるのかなと思う。
白熊のドタバタと感情的なところに少々イラッとするけれど、小勝負の顔面爽やかさ、じゃなくて頭脳明晰&冷静さ、心の温度は低そうなのに不正をあぶり出す執念に引っ張られ、そのイライラは消えていく。まさに凸凹コンビ、というわけだ。
第2話で、きっちり不正は暴かれるのか。それとも不完全燃焼で終わるのか。ワルな山本さんを第2話でも見られるというのは、ちょっと得した気分でもある。
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余談だけれど、杏ちゃんの激走する姿が独特でハマります。
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