もしかして”私の家の話”? 重いのに笑ってしまうドラマ『俺の家の話』第2話
笑ったりずっしりきたりと、今回も感情がとても忙しかった『俺の家の話』。
(以下、内容を含みます)
2話目にして、戸田恵梨香さん演じるヘルパー・さくらの素性が判明。遺族にしたら後妻業かもしれないが、面倒を見てこなかった家族に対して「余命を延ばしただけ自分は面倒を見たのだから、その金をもらって当然だ」と答えるさくら。これはある意味、介護の根底にある問題をぶち上げた場面である。
わが家には病院勤めの人間がいる。盆や正月前には、比較的元気な高齢者に外泊許可を出す。喜んで連れて帰る家族もいれば、「病院が一番安心よねえ、おじいちゃん」と勝手に対象者の声を代弁し、「お正月もよろしく」と言ってさっさと帰る家族もいるらしい。家族にはいろいろである。
ジュジュ(寿三郎・西田敏行さん)はさくらに大失恋。また風呂場で長男・寿一郎(長瀬くん)に慰められる。
「畜生!畜生!!」
「泣くな、人間国宝!」
もう西田さんと長瀬くんのやり取り、毎回笑って泣いちゃう。
そんな場面なのに、
「親父はさくらにフラれた。
そして10分後にフラれたことを忘れた」……って(笑)。
事態は重いのに、それをこんなにもコミカルに攻めてくる。認知症の非情さと過酷さを、軽々とのり越えてくるからこわいよ、この脚本!
親がそうなっていくのを目の当たりにするショック。ゴーーンと後頭部を殴られ続ける感覚を思い出した。ドラマのようにもっと違う捉え方ができていたら、わが家も少しは違っていたかもしれないな。このドラマ、ときどき目線が『私の家の話』になっちゃうよね。
「親父は寂しい老人なんかじゃない」と、さくらに言い切る寿一郎。かっこいいよ! 長瀬くん!!(もう役なのか長瀬くんなのか分からなくなっている)
なのに、10万円につられてプロレスのバイトに行ってしまった。ああ! 介護はノンストップ! ここでケアマネ(荒川良々さん)との場面が脳内で蘇る。「何がなんでも俺が全部やるって決めたんで」と言い張る寿一郎を、「こういう人いるんだよね……」と冷めた目で見ていたケアマネさん。身近な介護の問題をサラリと入れてくるなあ。
久しぶりにリングに上がった寿一郎は、勝利後の拍手がうれしくて仕方ない。代役の覆面なのに。
ここでまた、中盤のシーンが蘇ってしまった。
「寿、お前、プロレス好きか?」(長州さん)
「大好きです」(寿一郎)
「じゃあ、こいつら(現役レスラーたちを指さし)よりも幸せかもな。大好きなものを仕事にしなくていいもんな」(長州さん、名言を吐く)
胸にグッサリ刺さってしまった。大好きなことを仕事にするのは、辛いことの方がたぶん多いものなあ。そして仕事が捗らない……。まさに自分が、今までの仕事をリセットしたくてたまらないのと同じ。寿一郎はプロレスをやめないのか? ああ、次週が気になる。
気になるついでに。
このドラマの前日に視聴している『にじいろカルテ』の第2話は、半海一晃さん演じる筑紫次郎のエピソード回だった。「あれ? 半海さん2日連続出ているのか、冬ドラマ」と思っていたら、彼は『俺の家の話』には出ていなかった。どうも『タイガー&ドラゴン』の尾美としのりさんとのセット登場が脳内に刷りこまれているようで、勝手に相関図つくってた(笑)。いけない、いけない。相関図にはないけれど、尾美さん、第1話だけの登場ではないよね? と怪しみながら、次回もその姿を探すつもり。
来週も楽しみだ! でも終わってほしくないからまた複雑な気分になる。その繰り返しで、視聴後も笑ったり泣いたりである。