続・老化防止の賜物。
先日、所用で帰省した際、母が昔着ていた浴衣をほどいてつくった部屋着を手渡された。それがこれ。昭和で言うところの「アッパッパ」である。
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母曰く、「浴衣はじゃぶじゃぶ洗ってもいいので、パジャマ代わりじゃ」とのこと。考えてみたら、子どものころは夏になると浴衣で寝ていた。うっすらとそんな記憶がある。
柄が合っていないのは、生地を継いでいるから。最初はもっと細身につくったそうで、途中「もう少し横にゆとりを持たせよう」と考え直し、左右肩から裾まで縦にも継いでいる。ずいぶん仕舞い込んだままの浴衣は、背中側に使った生地にヤケがあった。持ち帰って酸性漂白剤で洗ってみたら少し白さが戻ってきた。
母は昔から足踏みミシンを使っている。兄は小学校の家庭科でぞうきんを縫った後、しばらく毎日このミシンでぞうきんを縫い続けた。相当楽しかったのだろう。確か最後は50枚近くになっていた。彼が家庭科でりんごのむき方を習ったときも、毎日家の柿(秋だったので)をむき続け、私たちが必死に柿を食べたんだったか。
母は「もう修理してくれるところが近所にない」とぼやきながらも、なんだかんだと足踏みミシンを使い続けている。かがり縫いは無いので、アッパッパのボタンの穴は手でかがってあった。
今頃になって、なぜ昔の着物をほどいてリメイク(というほどのものではないかもしれないが)なんて行動に出たのか。
田舎の家には、古い着物が今もタンスに仕舞われているのではないだろうか。わが家もそんな家。それを「捨てられないなら、ほどいてリメイクすればいいじゃん。ついでに、老化防止になるじゃん」と、日頃から姉は母に勧めていたという。
夕方に物置の窓を閉めに入ったら、着物リメイクの本がポンと置いてあった。しかし本は参考にしてなさそう。実は帰省ついでに、私も母の老化防止のためにPPバンドカゴの本を買って帰ったのだが、はたして本通りにつくるだろうか。
ところで、故郷での田舎暮らしが知られるようになった財前直見さん。彼女の著書を姉が欲しいと言うので一緒に書店に寄った。よくよく聞いてみると、母に渡すためだった。本には、財前家の畑で収穫した季節野菜を使った保存食や、化粧水、虫よけスプレーなどさまざまな手づくり品の作り方が紹介されている。
さっそく本を読んだ母は、大量のゴーヤーを何やら漬け込んでいた。
「レシピの材料にはなかったけど、梅干しも入れてみたわー」
手先を動かすのは、相変わらず止まらない。しかし本は読んだのに、初回からレシピ通りにはつくらないという(笑)。
夜は夜で、日課のラジオ体操第一と第二。せっかくなので、私も参加してみた。ラジオ体操は、思ったより運動量がある。
こうして田舎の夜は更けていく。
うちで一番長生きするのは母かもしれない。
帰省時に唯一外食したのは、昔からある喫茶店。せっかくなので、写真だけでもアップしよう。
前回の「老化防止の賜物。」はこちら。
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