最近の法改正ピックアップ・省エネ基準に適合しないと家建てられません!
今週は建築士の定期講習を受けていました(3年ごとに定期講習を受けなければいけないという決まりがある)。
この講習会、以前は会場に行って、丸一日缶詰状態で講習を聞き、最後にテストを受けるという流れでしたが、今回は講義の部分はオンラインを選択できるシステムになっていました。これはありがたい。
オンラインで講義が聞けるからと言って、聞いたふりしてテキトウにできるかというと、そんなことはありません。というのは、最後のテストは実際に会場に行って受けるのですが、それに落ちたら免許の更新が・・・。
というわけで、わりと真剣に聞くことになります。ちゃんと聞いてさえすれば誰でも通るテストです。
でも考えてみれば当たり前で、人の命や健康が関わっている建築で、適当にやられちゃたまったもんじゃないですものね。建築関係法規は頻繁に改正されるので、学び続けなければなりません。
ここ近年で改正された法規で、みなさんのお役に立つかもというものをいくつかピックアップしてみます。
一般の人に分かりやすくを目的として詳細は省きます。
1.シェアハウスや福祉施設をはじめやすくなった
これは既存住宅のストックを活用しようというもので、前回の講習で知った2018年の改正。既存住宅をシェアハウスや福祉施設に用途変更する際、以前は床面積が100㎡以上あると用途変更の確認申請の手続きをしなければいけませんでしたが、200㎡までに緩和されました。これ実は、既存住宅や古民家を活用しようとしている人からするととてもうれしい改正です。
例えば、120㎡ある実家を活用してシェアハウスをしよう!と思い立っても、古い住宅だと確認申請済証や検査済証がないことが多く、そうなるとハードルが上がり、あきらめてしまう人も多かったんです。200㎡未満であれば多くの既存住宅が活用できそうです。
※確認申請の手続きは不要でも、法適合は求められます。
2.災害エリア対策と歩きたくなるまちづくり
2020年「都市再生特別措置法」改正により、災害エリアからの移転を促したり、災害エリアの開発が抑制されます。
また同法で、魅力的なまちづくりも掲げられていて、その中に「居心地がよく歩きたくなる」まちなかの創出が挙げられています。歩きたくなるというのがポイントですね。
災害対策や高齢化や国際化の近年の変化に対応するための法改正と言えそうです。
3.省エネ適合していないと家建てられません
ここ数年間、新築住宅を建てる際には、省エネや断熱について建築士が説明しなければいけない説明義務がありました。それが来年2025年4月からは、省エネ基準適合義務へとより厳しく変わります。
省エネ基準に適合していないと確認申請の許可が下りません(家が建てれない!)。そして完成後には検査員さんが現場に検査にやってきます。
とはいえ、建築サイドとしてはこれまでやってきたやり方で難なくクリアできるくらいのレベルです。あとは施主が予算との兼ね合いでどのくらいのレベルを求めるかということになってくるのではないでしょうか。
4.耐震対策強化で構造審査が厳しくなります
これまで一般の人が住むような規模の木造住宅であれば、建築士に任せるよ、と構造関係の書類は審査されてきませんでした。それが来年2025年4月から確認申請時にバッチリ審査されるようになります。
この審査の省略は「4号特例」と呼ばれ、地震が起こるたびに厳しくしていかなければいけないと議論され続けてきたのですが、ここに来てようやく大きな改正がされることになったわけです。
【雑学】アスベストは紀元前エジプトでも使われていた
最後に肩の力を抜いた雑学的な話(前回の講習でテキストにあった)。
アスベストの歴史は長く、紀元前エジプトではミイラを包む布として使われ、ローマやギリシャではランプの芯に使われていたそうです。日本では江戸時代に平賀源内がアスベスト布を利用したのが最初と言われています。
その頃は、発がん性物質とか考える前に、天命が尽きていたのでしょうね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?