気になる後輩〜He Is Knight 【スピンオフ】|#短篇小説
気になる後輩〜He Is Knight
「―――斎藤さんですか?お待ちしてました。
“もうすぐ来る”って、聞いていたんですよ、彼から・・・」
知南は名刺交換をするなり、背のすらりと高い、スレンダーな美女から歓迎の言葉を告げられた。
とあるブティックの店内。当時は新規開拓で、良さそうなブティックを探しながら、高級住宅街をずっと廻っていた。
話すうち、“彼”というのは、営業部から企画部に異動した後輩のことだと分かった。
“彼女”はブティックの副店長的な立場のようで、きびきびと応対してくれたが、「展示会に来社する」と確約するところまでは至らず、「店長に伝えておきます」というコメントで終わった。
(―――何故、彼はこの近くを私が開拓してるって知っているんだろう?)
ブティックを出てから、だんだん疑問が膨らんできた。後輩の彼に関しては、何かとそういう「違和感」が多かった。
営業部と企画部は、2階と5階に分かれていて、お互いにどんな動向をしているか見えない。しかも、営業社員一人ひとりの行動まで、把握できるはずがない。
(多分、営業の先輩の誰かに聞いたんだな・・・)
知南の頭の中に、非常階段にある喫煙スペースで、後輩の彼と営業部の先輩たちが煙草を吸いながら雑談している姿が浮かんだ。
元々後輩は、知南を含む仲の良い飲み仲間の一員なのだ。
その住宅街で目ぼしいブティックは払底してしまったので、再び電車に乗り、汗ばんだ顔をハンカチで押さえた。肩と足に猛烈な痛みを感じる。
そのときの知南は、暑い中、車の免許を持たないために、電車の乗ったり降りたりを繰り返していた。
商品サンプルの入った重いバッグを抱えながら歩き回って、姿も構わず、まさにぼろぼろの状態だった。
(それにしても・・・)
後輩の美しい彼女に会うのなら、もう少しまともなときに顔を合わせたかった。
(どういうふうに、私のことを彼女に伝えたのかな・・・)
彼が少しでも、自分の話を良いイメージで伝えてくれていたら嬉しい。
・・・でも、新しい“彼女”には、そんなことを言うのを期待出来ない、と思い直した。
▶Que Song
惑星タントラ/MONDO GROSSO
はい、今日は所用により時間が押していますので、短いですが此処まで。
近々続きを書きます🙇
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