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【詩】星夜の天馬

静寂が支配する世界
見上げる夜空には瞬く星
光が形作る英雄や幻獣達は
遠い神話の時代を囁く

かつて僕が旅人だった頃
見上げる夜空に星はなく
さまよう心には行くあてもなかった
彼方に楽園の門を夢見ながら
枯れた大地を流離っていた
背負う孤独の重さに喘ぎながら
暗い道をふらつく足取りで進んでいた

今、穏やかな気持ちで星空を眺めている僕は
望まぬ出来事で大変な目に遭ってさえ
結局は幸せに暮らしている
でも、ふと思うんだ
これでいいのかな? って

今の僕がいるのは
過去に苦しみつつも生き抜いた僕がいたから
もし今僕が幸せでいることを知るなら
過去の僕も報われるというものだろう
それでも僕はまだ
成すべきことを成し切っていない
そんな思いになる

まだだ
ここはゴールじゃない
まだやるべきことがあるはず
苦しみもがいて生きたからこそ
紡ぎ出す言葉が存在するはず

安寧な生活の中で
僕は僕を見つめ曝け出すことに
臆病になってしまったのかもしれない

風よ
強く吹けよ
もっと僕を追い詰めてみろよ
吐露しなけばもう生きて行けなくなるほどに

強い風 僕の脇を駆け抜けるもの
思わず閉じた目を見開いた時
鼓舞するように
夜空に向かって駆け昇る翼持つ白馬の姿が
僕には見えた気がした



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瑳月 友(さづき ゆう)
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