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短歌エッセイ

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短歌を交えたエッセイ。自作短歌を深掘りしたり、日々の暮らしにおける思いに短歌を落とし込んだり等、様々。
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2021年3月の記事一覧

【短歌エッセイ】近所の公園で2人だけの花見歌会

 この時期になると、毎年パートナーと花見歌会を行う。私と違って、普段パートナーは短歌を詠まないが、この歌会においては年一回のお勤めのように、私に付き合ってくれる。  「コーヒータイムを共に」という記事にも書いたように、私のパートナーは、人生にはお菓子が必要だ、と考える人だ。だから歌会にもお菓子が欠かせない。和菓子にはお茶を、洋菓子にはコーヒーを一緒に。  つまり私達の花見は宴会ではなく茶会なのだ。桜を眺めながらお茶とお菓子を頂き、その時間を味わって歌を詠む。パートナー的に

【短歌エッセイ】「知ってどうしたいのか」ということ

読者からの問い合わせ スマホに、不在着信記録が残っていた。  登録していないナンバーだったが、留守電メッセージが残っていて、聞いてみると私が短歌を投稿している地方紙の新聞の編集部からだった。  その内容は、先週の火曜日、3月16日の新聞に掲載された私の短歌について、読者からの問い合わせがあったことを知らせるものだった。  ちなみに、掲載された短歌とは以下のものだ。  「非認めぬ 毒親達に 別れ告げ 胸張り行く道 我は我なり」  日々の生活でのちょっとした気づきや、穏

【短歌エッセイ】「脅威」の可視化

 「晴れし空 吹く春風に 含まるる 見えざる花粉の 姿おそろし」  テレビのCMなどで、スギ花粉がぶわっと飛散する映像を見たことはある。しかし、実際に風に散らばって飛んでいる花粉の一つ一つは、密度的にも、はっきりとは見えない状態だと言えるだろう。  実際のところ、私はスギ花粉症ではない。しかし、既に季節の風物となっているこの花粉症について、花粉症発症者や花粉症予備軍になった気持ちで詠んだのが上記の短歌だ。内心「おそろし」と思うのでないかと思ったのだ。  見えないから恐ろ

【短歌エッセイ】コーヒータイムを共に

 私の飲むコーヒーは、ミルクと砂糖多め、パートナーの飲むコーヒーは、レギュラーコーヒーならミルクのみで砂糖なし、インスタントコーヒーならミルクと少量の砂糖。それが、それぞれの好みのテイストだ。  私達が知り合った頃、私は食が細い状態だった。そもそもがあまり食べることに頓着していなかった。肉や魚を食べなくても玉子を食べていればタンパク質はオーケー、ぐらいに思っていた。  そんな私に将来のパートナーは、一日に食べた方がいいものを紙に書き出して行った。  米や肉や魚や玉子や野

【短歌エッセイ】優しさを超える優しさ

 私の仕事の一つに、職場で廃棄する物品の書類作成がある。  書類には、廃棄する物品の現状の写真も添付することになっており、その写真を撮影するのも私だ。  「チーズとキムチとキウイの関係」という記事にも書いたように、「はい、チーズ」というのは、「はい、今から撮りますよ」という意味の、撮影者のかけ声として浸透してる実情がある。  対人においては、それは普通のことだろう。  しかし私は、対人でない場合でも同様なのだ。シャッターを切る直前に、「はい、チーズ」と言わないと落ち着

【短歌エッセイ】チーズとキムチとキウイの関係

 食材や料理の話ではない。  ちなみに、キムチは韓国、キウイはニュージーランド。  これは、写真を撮る時の撮影者のかけ声だ。  私は、このことを知る前は、世界でもチーズだけだと思っていたので、それ以外もあることに驚いた。  「笑顔をつくるということ」という記事にも書いたように、写真撮影では笑顔を求められることが多い。  語尾が「イ」音の言葉が、口角が上がって自然に笑顔を誘導する形になりやすいことから、被写体への撮影者のかけ声として多用されているわけだ。  そういう

【短歌エッセイ】早春の日の衣服選び

 「確実に 春は近しと 思えども 着衣迷える 三寒四温」  三寒四温とは、冬の季節に、寒い日が3日程続くとその後に温暖な日が4日程続き、また寒くなるということを繰り返して、気候が段々暖かくなることを示す四字熟語だ。2月から3月初めの早春の頃を示している。  この頃は、暖かい春めいた陽気が続いたかと思うと、ぐっと冷え込んで雪も降るような日が続いたり、寒暖の差が極端に激しいと感じる。  だから、外出の際は着て行く服に注意が必要だ。  天気予報のチェックも欠かせない。雨が降