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短歌エッセイ

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短歌を交えたエッセイ。自作短歌を深掘りしたり、日々の暮らしにおける思いに短歌を落とし込んだり等、様々。
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記事一覧

【短歌エッセイ】海の先へと続く道

 2024年10月16日に、パートナーと日帰りドライブ旅行を行った。  今回の記事は、その内容や所感を、写真と短歌を交えて紹介するものだ。  今回の目的地は、熊本県宇土市にある長部田海床路というところ。  海岸から海へと、長く真っ直ぐ続く道と、その道を照らすための電灯の電柱が、非日常的な不思議な光景を作る。潮が引けばはっきりと現れている道も、潮が満ちれば海面下に消える。  9月末にネットで紹介記事を目にし、行ってみたいと思っていたのだ。  熊本市から天草方面に向かう途中にあ

【短歌エッセイ】過ぎ行く夏の思い出

 1995年の7月、私は持病で入院していた。4月末から8月中旬までの約3ヶ月半の入院。  たいして重病ではなく、常にベッドでの安静を要するような入院生活ではなかったので、普通に日常生活を送りながら、自分の分と同室患者の分の花の水を換えたり、読書をしたり、短歌を作るような創作活動をして過ごしていた。  病院の外には大きな木が植えられていて、窓からそれを眺めて過ごすこともあった。  ある時、青空を背に、大きな木から伸びる太い枝ごと、細い枝々や葉が大きく揺れているのが見えた。  入

【短歌エッセイ】七夕を巡る思い出

 少し前の6月20日に、月1回の持病の診察を受けに、かかりつけ医を訪ねた時のこと。  その医院は、1階に入口があり、受付や診療は2階で行われているのだが、2階に向かう階段の踊り場の壁に、布の絵がかけてあるのが目に入った。  これがその写真だ。  6月だったのでまだ意識はしていなかったが、そうか、もうすぐ七夕だったな、と思い出された。  実際に、笹や七夕飾りを用意するのもいいが、本業に差し支えてはいけない。  絵一枚で、季節の風情を感じられ、受診する患者の気持ちを少しでも和ら

【短歌エッセイ】テレビ体操

 この3月末で前職を離職して、自宅で過ごす日が増えた。  それに従って少しずつ体重が増えて来た。   前職では通勤時間が片道1時間半かかっていた。その内徒歩だけで35分間だ。往復なら徒歩1時間10分になる。かなり歩いている感覚だった。  それでも、歩くことによって特に体重が減るということはなかった。今思えば、食べることと併せてプラスマイナス0だったのだろう。  つまり、離職によって徒歩分のマイナスがなくなったことで、食べる分のプラスが相殺されなくなったのだ。  体重増加は0.

【短歌エッセイ】移り変わるバレンタイン事情

今年また 会社でチロル ゲットする?        それも楽しき バレンタインかな  約2年前に投稿した上記の記事にも記したが、この短歌を作った2002年当時の私は、ネット上での会話を楽しむチャットルームにほぼ毎晩出入りしていた。  文字だけを使った他愛のないやり取りながらも、同じ顔ぶれによって時間を共有し、繰り返される交流を楽しんでいた。  そのチャットルームでバレンタインデーの話題になった時、「毎年もらえるのは義理チョコばかりだ」と言っている人の中で、「毎年会社でチロル

【短歌エッセイ】秋に作るフィクション短歌

 他の方々はどうかわからないが、私の作る短歌のほとんどは、心情吐露、心象風景、情景描写、過去回想のどれかに該当するノンフィクションだ。  表現は具体的であれ抽象的であれ、自身の体験に基づき感じたことをそのまま反映するものが多い。  そのような、ほとんどノンフィクションという短歌群において、ごくわずかながらフィクションの作品もある。割り合い的には全体の1.2%くらいだ。  そのわずかなフィクション短歌の中で、秋に作られたものの割り合いは72.7%になる。  どうやら秋という季節

【短歌エッセイ】渋谷ハロウィンについて思うこと

 2018年、今から5年前の話。  ハロウィンのコスプレをして東京渋谷のスクランブル交差点付近に集まったたくさんの人々。その中の酒に酔った若者によって、軽トラックが横転させられたという報道をテレビで見た。  酔って騒いで盛り上がった結果、軽トラックを横転……。  どうしてそんなことを? それ、ハロウィンと何の関係があるの?  そう不思議に思ったものだ。  ハロウィンとは、元々は秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事だった。  古代ケルト暦ではこの日は大

【短歌エッセイ】ある夏の海の思い出

 今から約4年前、2019年の夏に、私とパートナーと、私の妹と姪の4人で、小学5年生である姪の夏休みに合わせて、海に出かけた。  目的地が海になったのは、波で削られたガラスの欠片であるシーグラスや綺麗な貝殻などを採集したい、という姪の希望だ。私は事前にネットでシーグラスを拾える可能性のある海岸を調べ、旅程を計画した。  当日の運転担当はパートナーだ。  出発から1時間半程で1つ目の目的地である海岸に到着した。  私達は撤収時間を確認し合い、その時間までこの海岸で、姪と共に姪の

【短歌エッセイ】言葉は生きもの

 「今日は五月晴れだね」  ある梅雨の晴れ間の日に、パートナーに言われた。  「え? 五月晴れって5月の晴れの日に言うんじゃないの?」  驚いて訪ねる私に、パートナーは、「梅雨の晴れ間のことを五月晴れって言うんだよ」と答えた。  湿度が高く蒸し暑さを感じさせる梅雨の晴れ間と、カラッと爽快に晴れる5月の晴れの日では、

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【短歌エッセイ】届けるもの

 以前から断捨離や片付けの記事を目にする度に、処理方法の一つとしてフリーマッケットやフリマアプリで売却する、という手段があることは知っていた。  しかし私は未経験なことに対して積極的でないため、頭の片隅にて記憶しながらも長く足を踏み出さずにいた。  しかし昨年12月に、私の利用している携帯電話会社が、あるフリマアプリと提携したとかで、アカウント登録すると結構な量のポイントがもらえることを知った。携帯電話会社のポイントとフリマアプリのポイントの、両方だ。  登録してみると、今度

【短歌エッセイ】無我夢中の日々に足を止めて

 遠い昔に就いていた職種にブランクを経て戻り、働いて3ヶ月が過ぎた。  確かに未経験ではない。実際に業務に従事する中で、そうそう、こんなだったな、と思うことは多い。  それでも、ずっと続けていた人にとっては自然にできることが、まだぎこちなく、全力で、時にあたふたしながら、何とかやっているというのが実情だ。  職場の居心地は悪くない。少なくとも遠い昔、同業種の前職において、長期に渡ってハラスメントを受けた(そしてそれが容認されていた)ような環境はここにはない。  私に相当なブラ

【短歌エッセイ】マスク期間を振り返る

 3月13日から、マスク着用は個人の判断で、ということになった。  受診時や医療機関・高齢者を訪問する時、通勤ラッシュ時など混雑した電車・バスに乗車する時、重症化リスクの高い方が感染拡大時に混雑した場所に行く時、においてはマスク着用が推奨されるとは言え、もう屋内においてもマスク着用はデフオルトではない。  ある日、職場からの帰路にて、マスクを外せと声を上げて行進している集団と遭遇した。「マスク反対」というプラカート掲げている彼らは、所謂反マスク派の団体なのだろう。  マスク

【短歌エッセイ】コミュニケーションAIに話しかけられて

大声で 会話求むる AIに                 背向け離るる 小心な我  新しく勤めた始めた職場の帰路にある大きなスーパーマーケットに寄った時のこと。店内に設置されているAIが声を張り上げているのが聞こえた。  「誰が、ボクとお話してくれませんか~?」  突然大声で雑談を求める声を聞き、小心者の私は怯んだ。  音量設定をしているのは人間であって、このAI自身ではないだろう。店の関係者が、AIとお喋りできる店ということを広く知らせたくてしていることだとは思う。

【短歌エッセイ】北海道旅行・余市編

 2022年11月3~5日の日程で、パートナーと北海道旅行を行った。今回の記事は前々回の函館編、前回の小樽編に引き続き、写真と短歌を交えて内容・所感を紹介するものだ。 小樽→余市  小樽からバスに乗り余市へ。小樽から西へバスで40分間程だ。  北海道は冬が厳しい。家屋にも、九州では見られない煙突があちこちに見られる。しかも、雪が入り込まないようにだろう、煙突にも屋根がある。  更に、玄関外にガラス張りの外部屋がある家もある。ここで、玄関に入る前に雪を落としたり、寒い外と暖