ヒツジ

読むこと大好き人間です。 昔から物語を考えるのが好きで、一歩踏み出してみようと小説を書…

ヒツジ

読むこと大好き人間です。 昔から物語を考えるのが好きで、一歩踏み出してみようと小説を書いてみてます。

マガジン

  • BL小説『青い臆病者と白金の天然兵士』【完結済み】

    ※この作品はBLの要素を含みます。 【白き魔女と金色の王】という話の番外編で、ツギハとカダのお話です。

  • BL小説『白い蜥蜴と黒い宝石』【完結済み】

    ※この作品はBLの要素を含みます。 恋愛的な描写は手を握ったりキスしたりくらいです。 ただ手脚が再生する人達が出てくるので、手を切り落とす描写などはでてきます。 苦手な方はご注意ください。 【白き魔女と金色の王】という続編があります。

  • BL小説『白き魔女と金色の王』【完結済み】

    ※この作品はBLの要素を含みます。 直接的な描写は手を握ったりキスしたりくらいです。 ただ手脚が再生する人達が出てくるので、手を切り落とす描写などがでてきます。 苦手な方はご注意ください。 【白い蜥蜴と黒い宝石】という話の続編です

  • 長編小説「10 -第三部-」 完結

    「10」という小説の3作目です あらすじ 第二部から4年。 地上の少年レインは、ある日見知らぬ建物で目を覚ます。誘拐され地下に連れてこられた彼は、ソラやルリによって助け出されたが家に帰りたくないと言う。 成り行きでヒスイの元で保護されることになったが、いい子過ぎて本心の見えてこないレインにヒスイはどう接するか悩む。外出禁止を破って出かけた先でヒスイに「我慢しなくていい。辛さや痛みを受け止めてあげるから」と言われ、レインは閉ざしていた心を開いていく。 だが穏やかな同居生活が進む中で、ヒスイは理由のわからない焦りに悩まされていく………

  • 長編小説「10 -第二部-」 完結済み

    以前連載していた「10」という作品の続編です(「10」は別のマガジンにまとめています) あらすじ 田舎町の駐在員ソラは、ある日誘拐されそうになっている少年を助けようとして一緒に監禁されてしまう。しかしその少年は、ソラが助けるどころか自分で犯人達を捕まえてしまった。 軍とも協力関係にある少年の秘密を知るかどうか決めるため、中央に向かったソラ。そこで10年前に別れたまま会っていなかった幼馴染ルリを見かける。 ルリとの再会を望むソラだが、どうやらルリは軍に追われているようで………

最近の記事

BL小説『青い臆病者と白金の天然兵士』第2話『完結】

次の日。カダはクロに午前中だけ休みを願い出て、里の外に来ていた。 『私が一度花屋に行って話を聞いてみよう。その内容をトアに伝えれば、自分で花屋に聞く時に話をしやすいだろう』 崖のところまで来て、カダは荷物からロープを取り出す。 それを近くの木にくくりつけた。 『この崖は下から登るのは不可能だが、上からならロープをつたえば下りられる。私1人でも外に出られるようになれば、皆に迷惑をかけずに済むだろう』 結び目の強度を確認して、カダは崖を下り始めた。 元兵士として鍛えていた

    • BL小説『青い臆病者と白金の天然兵士』第1話

      空が赤く染まる夕暮れ時。 空と同じ色になった家からワイワイと騒ぐ声が聞こえる。 「外堀を埋めても何の効果もないんだけど!てか、埋められてることにも気づかないんだけど、あの人!」 突然のツギハの心の叫びが、楽しい雰囲気を切り裂いた。 チヤがウォンイと共に里に帰ってきてから1年。ウォンイもすっかり里に馴染み、毎日楽しく過ごしている。 先日、イザナ経由でジンイからウォンイに酒が届いた。なんでもウォンイがよく視察に行っていた村で作られた物らしく、出来が良いからと送ってくれたのだ

      • BL小説『白き魔女と金色の王』第14話【完結】

        恐怖の一夜は兵士達からすぐに国中に伝わった。 「お城の門から飛び立って空に消えていったらしいわよ」 「ウォンイ様が連れ去られたって」 「雨が降らなかったのも、魔女の仕業だったんでしょ」 チヤはもはや王弟の妃と呼ばれることはなく、白き魔女は国を危機に陥れた悪しき存在として民の恨みを一身に受けていた。 白の里ではツギハが街の様子を報告していた。ウォンイ、チヤ、カダが聞いている。 「王様が手を回したんだろうけど、たった2日で凄い勢いで噂が広まってるよ」 「髪を残したのも大き

        • BL小説『白き魔女と金色の王』第13話

          ウォンイに取り残され、チヤは大人しく自室に戻ってきた。 シュリが気を遣ってお茶を淹れてくれる。 「ありがとう。………僕はウォンイの役には立てないのかな」 ウォンイの態度に落ち込んでしまっているチヤは、暗い顔で独り言のように呟いた。 「チヤ様を思ってのことだと思います。悪評を立てられ、白の人のことも抱えているチヤ様に、これ以上の負担をかけたくなかったのでしょう」 シュリは優しくチヤを元気づけようとする。 と思ったら、急に「ですが!」と声を張り上げた。 「あの言い方はあ

        BL小説『青い臆病者と白金の天然兵士』第2話『完結】

        マガジン

        • BL小説『青い臆病者と白金の天然兵士』【完結済み】
          2本
        • BL小説『白い蜥蜴と黒い宝石』【完結済み】
          10本
        • BL小説『白き魔女と金色の王』【完結済み】
          14本
        • 長編小説「10 -第三部-」 完結
          19本
        • 長編小説「10 -第二部-」 完結済み
          21本
        • 長編小説「10」 完結済み
          45本

        記事

          BL小説『白き魔女と金色の王』第12話

          白の人のことを聞いてから、ジンイは糸に関する話がないか、市中の噂を逐一兵に報告させている。 チヤとウォンイも文献を調べたり、視察のついでに話を聞きに行ったりしているが、なかなか有益な情報は掴めない。 気づけば2ヶ月が過ぎていた。 「やっぱりそう簡単にはいかないか〜」 「お疲れ様です、チヤ様」 チヤが部屋で項垂れていると、シュリがお茶とお菓子を持ってきた。 「ありがとう」 「大変そうですね。私も周りに聞いてみていますが、やはりそれらしい噂はありません」 「シュリも色々聞い

          BL小説『白き魔女と金色の王』第12話

          BL小説『白き魔女と金色の王』第11話

          ウォンイが進化の話をしてから3ヶ月。 3人は再び白の里を訪れていた。 「進化……ですか。我々の存在にそんな秘密があったなんて……」 「まだそうだと決まったわけではないが。長も何か心当たりはないか?それを聞きたくて今日は来たのだ」 3人は長の部屋でウォンイの仮説を説明していた。 長の両隣にはクロとシロ、イソラとイザナがいて、4人ともウォンイの話に驚いている。 「………混乱を招くといけないと思って里の者には隠していたのですが………。白の人の里がもう一つあることはご存知ですね

          BL小説『白き魔女と金色の王』第11話

          BL小説『白き魔女と金色の王』第10話

          カダは悩んでいた。 一度にたくさんのことを知り混乱してるであろうツギハために、相談相手になれたらと街に残ったはいいが、いまいちツギハの心を掴めないでいるからだ。 話を聞いた当日は、ひとまずツギハを家まで送ってカダは宿を探しに行った。 次の日は親に話すかどうかの相談をした。話しても構わないが親から誰かに漏れないようにはして欲しいというと、じゃあやめとこうかなと言ったっきりツギハは黙ってしまった。 その次の日は里に行きたいかの話をした。ツギハは「自分と同じ人に会いたい気持ちはあ

          BL小説『白き魔女と金色の王』第10話

          BL小説『白き魔女と金色の王』第9話

          カダは王国の南、商人の行き交う賑やかな街に来ていた。 『目撃情報はこの街を中心に広まっている。だが情報の発信源は小さな村ばかり。なにかそこに青年の思惑がある気がするのだが」 とはいえ、青い髪の人間など山ほどいる。多くの人が行き交う通りを見ながら、カダはどうしたものかと思案していた。 『考えていても仕方ない。ひとまず聞き込みでもするか』 「手脚が生えてくる?さあ〜。聞いたことないわねぇ」 「なんだ?見せ物小屋の話か?昔はあったけどなぁ。もう随分と見てねぇなぁ」 「物を浮

          BL小説『白き魔女と金色の王』第9話

          BL小説『白き魔女と金色の王』第8話

          チヤとウォンイは初めて会った小屋に来ていた。ここに里からの迎えが来ることになっているのだ。護衛として同行しているカダは部屋の隅で待機している。 白の里の人と会うというのでウォンイはやや緊張している。クロのことを思い出してるのであろう。 「チヤ!久しぶりだね!元気にしてたかい?」 やってきたのはイザナの双子の兄弟、イソラだった。 「イソラ!うん。今日は迎えに来てくれてありがとう」 「可愛いチヤのためならどこへだって行くさ。こちらが噂のウォンイ殿かい?」 感情の表現に乏し

          BL小説『白き魔女と金色の王』第8話

          BL小説『白き魔女と金色の王』第7話

          ウォンイとの初めての夜の翌朝。 チヤがベッドから起きれずにいると、シュリがやってきた。 「チヤ様。おはようございます。朝食はいかがいたしましょう?ベッドにお持ちしましょうか?」 完全に気が抜けて裸のままダラダラしていたチヤは、慌てて布団を被る。 「シュ、シュリ!ありがとう!なんかお腹いっぱいだから、朝ごはんはいいや!」 「そうですか。では隣の部屋に控えていますので、何かあればお呼びください」 「う、うん!わかった!」 チヤの慌てっぷりなど全く気にせず、シュリはいつも通

          BL小説『白き魔女と金色の王』第7話

          BL小説『白き魔女と金色の王』第6話

          晴れてウォンイと両思いになったチヤは浮かれていた。 最近は村への視察にも時々連れて行ってもらえるようになり、ウォンイと過ごす時間が増えているのも上機嫌に拍車をかける。 しかし、一つだけ悩みがあった。 『ウォンイが全然手を出してくれない………』 手くらいは繋いでくれるが、いまだにキスすらしてもらえないのだ。 ウォンイいわくは「もう少し大人になってからな」ということらしいが、15歳で嫁ぐことは別に珍しいことではなかった。 『やっぱり、この体が原因か……』 自分の体を鏡で見

          BL小説『白き魔女と金色の王』第6話

          BL小説『白き魔女と金色の王』第5話

          村を訪れてから2日後。 チヤはカダを自室に呼び出していた。 いくら臣下といえど妃と男性が部屋に2人きりになるわけにはいかず、この際シュリにも全てを聞いてもらおうと彼女にも同席してもらっている。 テーブルを挟んでチヤの向かいにはカダが座り、シュリがその後ろで話を聞いている。 「カダ。今日来てもらったのは村でのことについて話すためです」 自分の見た信じられない光景を思い出し、カダは身構える。 だが、対峙するチヤは妃の仮面をはずし、普段の雰囲気に戻ってしまった。 「僕の本当の

          BL小説『白き魔女と金色の王』第5話

          BL小説『白き魔女と金色の王』第4話

          結婚式から2ヶ月が経った。 式が終わってしまえば特にやることもないチヤは、リョクヒとお茶したり礼儀作法の勉強をしたりと穏やかに過ごしている。 だが、この空白のような時間は子を成すために与えられているものだ。リョクヒがさりげなく気を遣ってくれたり悪意ある言葉から守ってくれるおかげで落ち込むようなことはないが、それでもチヤは少し重苦しさを感じていた。 「あ〜。センのご飯が食べたい」 城の食事はもちろん豪華だし食べたことのないような食材もたくさん出る。だが1人っきりで息の詰まる

          BL小説『白き魔女と金色の王』第4話

          BL小説『白き魔女と金色の王』第3話

          チヤは戸惑っていた。 ジンイへの謁見の後、食事や風呂などをひとしきり済ませ、夫婦の寝室だと自室の隣の部屋に案内された。 豪華な調度品に囲まれ、中央にはデン!と大きなベッドが一つ。そう、一つである。 『まあ、夫婦の寝室だもんな………』 どこか遠い目をしてチヤは納得した。 「どうした。石のように固まって」 風呂を済ませ寝室にやってきたウォンイが、ベッドの上でカチコチになって座っているチヤを見つけた。 「あ、ウォンイ、いや、なんでも……」 ベッドを見たりウォンイを見たり

          BL小説『白き魔女と金色の王』第3話

          BL小説『白き魔女と金色の王』第2話

          いつもの小屋で、ウォンイとチヤは並んで正座している。 その向かいには、後ろにシロを従えてクロがあぐらで座っている。 ………怒りで恐ろしい形相になりながら。 衝撃の妻発言の数秒後。停止から回復したチヤは怒涛の勢いでウォンイに質問する。 「妻って!僕、男だよ!」 「そんなことは見ればわかる。言い方が悪かったな。妻のふりをしてくれということだ」 「いや、それでもわかんないよ!何でそんなことしないといけないのさ!」 「む。そこからか。俺はこの辺一帯を治めるクダリという国の王子なん

          BL小説『白き魔女と金色の王』第2話

          BL小説『白き魔女と金色の王』第1話

          赤い眼の少年が草原を歩く。 空は蒼く広がり、白い雲の流れはだんだん速くなる。 「あ、雨が降る………」 呟く少年の歩みが速くなった。 その周りには常人には見えない無数の糸が揺らめいていた。 白の人同士の決闘から10年。 白の里と向こうの里の関係は良好で、普通の人達を襲うことも無くなった。 髪を染めて里をおり、普通の人相手に里でできたものを売ったりして、白の人達は穏やかに暮らしている。 15歳になったチヤは里でできた野菜を売った帰りだった。 『雨が降る前に帰らないと。髪染

          BL小説『白き魔女と金色の王』第1話