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第2章#18 いつでも学び直せる

もくじRemake『ホワイトな学校へ』

(約2800字)

書写・書道を専門にしてきたことは、前回述べたとおり。

習字・書写・書道 の違いって?

私が通っていた大学には書道科があって、副専攻で書道の免許を取ることができた.
にも関わらず、大学では、敢えて免許を取ろうとは思わなかった。
単位が多かったこともあるが、私は小学校の頃からずっと町の習字教室に通っていて、自分で書けるのだからそれでいいと思っていたのだ。

ところが、小学校の教員になって、実際に現場で書写を指導するに当たり、「これは違うぞ…」と思い始めた。

学校の授業での書写の指導時数は決まっている。
それ以上に時間をかけてもいいのだが、そんなことをしていたら、他の授業時数が足りなくなってしまう。
30人以上の子供たち一人一人に対して、朱墨で修正している時間はない。

さらに、毛筆の書写は、日常の硬筆の文字に生かすことが目的であるという。
習字教室で習っていたように、その文字だけを筆でうまく書けるようになったとしても、それでは、目標が達成できない。

どういうこと?

ここで、毛筆を使って文字を書くとういう行為における、習字と書写と書道の違いを整理しておく。

「習字」
その文字を、毛筆で上手に書けるようになる。毛筆の作品を仕上げる。

「書写」
その文字を通して、文字の原理原則を知り、日常の硬筆の文字に生かす。

「書道」
芸術。(高等学校の書道は、音楽、美術とともに芸術科に位置づけられている。)

習字教室の延長上にあるのは、書道である。

書写は国語科に位置付けられており、毛筆書写の先にあるのは日常生活における、主に硬筆で書く活動である。


定時制高校での教育実習

私は、もう一度、きちんと学び直す必要があると思った。
国語科書写については、前回述べたように、国語研究会の書写部会に入ることで勉強できそうである。
しかし、芸術科書道については未知である。(私は、高校のとき、大学と同じ理由で書道は選択せず、音楽を選択していた…。)

そんな時、近くのT大学の通信教育で、書道の免許が取れることを知った。
通信教育なら負担も少ないし、卒業する必要はなく、免許取得に必要な単位を取ればそこで修了できることから、やってみることにした。
確か、教員になって4年め、5年めだったと思う。

ところが、いずれの教科であれ中学校・高等学校の免許を持っていれば、教育実習は済んでいるので、書道免許に必要な単位を取るだけでよかったのだが、そうでなければ書道の免許を単独で取ることはできないという。
理由は、書道の専任教員がいる学校がほとんどないから…。
専任教員の元でしか教育実習はできない。

教育実習は他の教科でやるしかない。
だから、私は、中学校国語、高等学校国語・書道の免許を取得するための単位を取らなければならないことになった…。

結構な数の授業を取って、それぞれいくつもレポートを書かねばならず、大変なことは大変だったが、一度教員の経験をしてから学び直すことは、とてもためになった
大学のこの授業が、自分にとって、なぜ必要のなのかがよく理解でき、自分が日々取り組んでいることにどのように生かせるか、イメージが湧いた。

大学で現役時代に学んできたことの半分は、教員になってから授業を受けた方が、必要性を切実に感じられ、真剣に取り組めるのではないかと思う。

スクーリングといって、実技が必要な授業については、夏季休業中に大学に通った。
1年半たったところで、教育実習に必要な単位数がそろった。

教育実習先は、大学では探してくれないので、自分で探さねばならなかった。
私は、昼間は小学校で教員をしているわけだから、定時制高校を探すしかない。
一つは即、断られたが、技術系のK高等学校で受けてもらえた。
これは、本当にラッキーだった。

この時ばかりは、小学校の教員という立場を利用させてもらった。(所属を言うと、門前払いでなく、管理職の先生と話をすることができた=^_^=)

私は、昼間は小学校で勤務し、少々早めに学校を出させてもらって、夕方から高等学校で教育実習、という生活を2週間続けた。

担当の国語の先生は、ベテランでとてもいい先生だった。
その先生の考え方としては、K高校のような技術系の定時制では、入学試験の上位から合格させるのではなく、本当に学びたいのであれば下位から入学させるべきだ、上位の子は他の学校でも合格できるはずだから、という。
なるほど、その通りだ。

私には指導技術の何たるかの指導は必要ないということで、宮澤賢治の詩「雨ニモマケズ」の一単元を任せてもらって、授業を行った。

授業を担当した学級は、外国籍で文字が書けない生徒、そもそも文字を書く気がない生徒、そもそも自分の世界にいる生徒など、様々で、私は、これは小学校の手法が存分に使えると思った。

詩から自分が感じ取ったことを、言葉にすることを目標にした。
「言葉」は、書き言葉だけではない。イメージは絵で表現し、それを口頭で説明してもいいわけだ。
言語事項等は、知識としてきちんと教えた。
現役の小学校教員の授業を見る機会などないからか、研究授業当日は、他の教科の先生方も見に来てくれた。

この経験は、本当によかった。
私にとっては大学時代に単位だけそろえるより身になったのではないかと思う(でも、大変なので、お勧めはできません…)。

教員免許更新制は、あまり効果を認められないまま終了してしまったが、こういう感じのことができれば、とても役に立つと思う(でも、全教員がやるなんて、制度的に無理だと思います…)。


教員になってからも勉強し直す機会は多々ある

これを取ったから給料が上がるというわけではないが、一定の経験年数があると、放送大学で単位を取得すれば、専修免許を取ることができる。

その他にも、14条大学大学院など、大学院で学び直すこともできる。
インターナショナル・インターンシップ・プログラム(IIP)など、留学できる制度、海外の日本人学校に行ける制度、などなど、教員になってからも、勉強したり、いろいろな経験を積んだりする機会はいろいろある。

ここまで、難しいものに挑戦しなくても、研究員制度は、今は復活したようだし、その他にも、自治体全域対象の各教科・領域の研究会に参加するなど、自分にできるところから始めるといいと思う。

先生という仕事のいいところは、自分が積んだ経験を、すべて子供たちに還元できるところ。

そして、先生が学び続けている姿を見せることは、子供たちにも良い影響を与える

先生方、これから先生になりたいと思っている人には、何でもいいので、「やり切った」「やり遂げた」というような経験をしてほしい。

それらの経験は、「やればできる」という自信につながるはず。
そして、授業力のみならず、人間力を高めると考える。


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