無明の世界を晴らす聖なる炎(罰当たり)
宗教の話ではないです。中身も何もあったもんじゃない雑談ですので、どうか脳死でご覧下さい。
久々に会った地元の友人達と花火をした時に思い出した、神秘的な光景。私の実家は寺で、みんなで遊んだ後はよく境内で花火をした。
ある日も例の如く友達と集まってBBQを楽しんだ後、すっかり暗くなった境内で花火をすることになった。買出し班が買ってきたのは筒が三つ連結した打ち上げ花火で、打ち上がるのを想像するだけでワクワクが止まらなかった。
前座の手持ち花火を使い果たし、残るは大トリ、三連打ち上げ花火である。安全のため長めに設けられた導火線に火を付け、十分に距離をとって炎が打ち上がるのを待った。導火線の火はジリジリと本体に迫り、遂に筒に到達。私を含めたその場の全員が目を煌めかせながら炎の開花を待っていた。
しかし10秒、20秒、30秒と待っても、一向に打ち上がる気配がない。不発だったのだろうと皆は諦めていたが、その花火を買ってきた張本人はどうしても納得がいかなかったらしい。危ないぞという制止の声を振り切って花火の方に駆け出して行った。
その時だ。突然筒が倒れ、三つの火球が近付いた友人の足間をすり抜けて我々に飛来した。
幸い誰にも直撃することはなかったが、火球はそのまま一直線に後方に向かい、何かにぶつかって火花を咲かせた。
パァン!パン!パン!
夜空に木霊する心地好い響き。風に棚引く微かな煙霧。呆気に取られて一斉に振り向いた我々の前に、瞬きの間幻想的に照らし出されたのは、
山
下
家
(仮)
すぐに遠巻きに見守っていた住職(父)が駆けつけ、我々はこっぴどく叱られた。しかし父の言葉は右から左へと流れて行くばかりで、私の頭の中にはあの幻想的な光景がこびり付いて離れなかった。翌日、父に促されて山下家(仮)の墓に線香を上げに行った。心の中で非礼を詫びる私を、山下家(仮)の先祖の方々はどんな気持ちで迎えてくれたのだろうか。案外土の下で大爆笑してくれていたかもしれない。