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記事一覧
【連載小説】真・黒い慟哭第2話「2人の刑事」
その夜……
「中学生で早くない?」その行為に不安げな言葉が漏れた。
「今では、小学生でもやってるよ」
「輝くんなら大丈夫、私はへっちゃらよ」
強がって言うと輝樹の下腹部に顔を近づけた。
「誤解しないでね。こんなことするのは輝くんにだけよ」火照った体に頬を赤らしめトロットロッの甘い声を出した。それがすごく色っぽく感じた。
薄闇の中、2人は互いの体をむさぼるようにしてなで回し、いじくり回した輝樹の指
【連載小説】真・黒い慟哭 第1話「ゲテモノツアー」
……ここはどこ? あの日の恐怖が記憶を遮っていた。
たしか母が父を殺してしまって、母は警察に捕まり、父の祖母も老衰で亡くなり、母の両親は事件のショックで2人とも鬱になり2人で飛び降り自殺をしてしまった。第一発見者の証言では2人は手を繋いだ状態で地面に激突するとスイカが割れるような音がしてアスファルトに脳みそが飛び散ったと近くのカフェで目撃情報が出るとすぐにニュースで報道が組まれた。みんな私の前か
【連載小説】黒い慟哭 第9話「赤い柄のハサミ」
それで、思い出した。
たしか、俺が小学低学年の頃だった。家族でデパートに買い物に行った時だった……
父と母が食材を求めに鮮精食品コーナーにカートを押して吸い込まれていった時、僕はたまたま【ミケーズドッグ】の看板が見えたので、お菓子よりもこちらに足を向け店内に入った時、ケージに入った犬や猫が各々自由にケージ内を走り回ったり、客につぶらな瞳をぶつける子もいた。僕はもちろん他の客同様に冷やかしで来
【連載小説】黒い慟哭 第8話「幻覚」
【ここで、正午にお伝えしたニュースの続報です。現場から中継です】女性記者がマイクを片手に家の中が映し出された。
記者が恐る恐るキッチンに向かいながら、しゃがみこんで開口部に向かって『こちらに仰向けで男性の遺体が詰め込まれていました』立ち上がりメモを確認しながら、『男性の名前は城木勝さんでこの空き家の中で遺体として見つかりました。空き家だったことも考えられ死後二日は経っていたと思われます。
警察は死
【連載小説】黒い慟哭 第7話「汚物遊戯」
それじゃ、朝会を始めるぞ。
矢神優《やがみすぐる》が司会を進行する。この男が作業長という立ち場でこの工場では、そこそこの権力を持っている俺達の上司である。
今はまだ若いが、この男は社長の息子でいずれその地位にくりあがる男だ。今の社長である矢神哲郎《やがみてつろう》は二代目であるが、哲郎が会長になり優が社長になれば、大体の工場は三代目が会社をメチャクチャにしてその代で会社を潰すとよく言われている。
【連載小説】黒い慟哭 第6話「百丸」
「ねぇ? 電気消して」
「は、はい!」なぜか敬語で隆史は慌てて照明を落とした。
常夜灯に包まれ静まりかえる寝室で隆史は亜美を抱いている最中、落ち着きが無かった。
「あの……何かカサカサ聞こえないですか?」
「何の音だろう?」隆史が小さい声で発した。
亜美はムードを壊さないでと言わんばかりに「私を見て」そう言いながら、起き上がり隆史の唇を奪った。
薄闇に紛れて亜美の太ももが俺の股に絡みついてくる。レ
【連載小説】黒い慟哭 第5話「誘惑」
友香が家に着いたのが午前9時前だった。道中すれ違う者達からは怪訝そうに見られた。小学生の群れが友香に向かって指をさして笑っている、パジャマのはだけ方を見て可哀想にと悲観の顔を向ける者、見て見ぬふりをする者様々だが、それもそのはずで朝の時間にパジャマ姿の女性が出現すれば、それはただ事では済まされない。ましてや両手で大事そうになにかを包んで歩いてるなんて、ドラッグのやり過ぎで飛んでいるのか? はたま
もっとみる【連載小説】黒い慟哭 第4話「蜘蛛の視点」
お巡りさんどうでしたか?
「特に問題は有りませんでしたよ。見間違いか錯覚ではないんですか?」制服の汚れをはたきながら答えた。
「まぁ、3年前に一度事件があった場所ですからね」
「うそじゃねーんだよ! ほんとなんだよ。2階からカーテンをめくってこっちを見ていたんだよ!」
あの……お巡りさん。冷蔵庫やキッチンの床面にある点検口の中はどうでした?
賢治が早く切り上げたいのか、早口で捲し立てた。
「床下は