マガジンのカバー画像

黒い慟哭、真・黒い慟哭

17
麿呂のグロ小説第2弾! 黒い慟哭鳴り響く! ある居酒屋で話題にあがった『3年前の家』ユーチューブ動画を観て、怖いもの見たさでその家に突入する3人の男達。そこで見た牛乳瓶に詰められ…
運営しているクリエイター

記事一覧

【連載小説】真・黒い慟哭最終話「絶望の夜に」

【連載小説】真・黒い慟哭最終話「絶望の夜に」

 今日は金曜日だ。
結局、京都のプチ旅行は無くなった。口だけのハッタリ野郎にドタキャンをかまされたのだ! これまでにない殺意が湧いたのはこれがきっかけだった。エプロンをきつく締めキッチンで家事を進めるうちにだんだんと視界がボヤケたあと強烈な目眩が襲い食器が割れる音、倒れ込む玲香が目を押さえて必死で痛みが去るのを待っていると車のヘッドライトでパッシングされたように2回、朦朧とする脳内にフラッシュバッ

もっとみる
【連載小説】真・黒い慟哭第6話「ありえない誤算」

【連載小説】真・黒い慟哭第6話「ありえない誤算」

 ビジネスホテルの部屋に着くと双眼鏡越しで震える輝樹の背後に声をかける。
「玲香がおじさんと腕を組んで出てきました」涙目で訴えてきた。1階に降りてきてまだ何やら話している。
「おれの復讐は終わったよ……あっちで殺人鬼が現れた。今、高橋さんに説得してもらっている、俺達も片桐さんに合流するぞ」その号令に輝樹も決着をつけるために動いた。
 アルファードに着くと運転席に片桐さんがハンドルを握ってすでに玲香

もっとみる
【連載小説】真・黒い慟哭第5話「殺戮の斧」

【連載小説】真・黒い慟哭第5話「殺戮の斧」

 毎日アルファードの位置を変えて3日が経ったある日、助手席の刑事から肩を叩かれて目を覚ました。
ラジオを指していた。俺は耳を澄ませて聴いた。
【繰り返します。トンネル近くのマンホールの中から女性と思われる遺体が発見されました。昇降用のハシゴに引っかかった右脚から見て犯人に切断されたあと証拠隠滅を図ろうとマンホールの中に死体を遺棄された女性の衣服からは警察手帳が発見され高井紗絵(49歳)と判明しまし

もっとみる
【連載小説】真・黒い慟哭第4話「トンネルに劈く悲鳴」

【連載小説】真・黒い慟哭第4話「トンネルに劈く悲鳴」

【金属加工株式会社 ヤガミ】その建物の前に1人の男が立ち寄った。優が社長を継いだ1年前に倒産してしまった。原因は客先のトラブルを軽視していた優の判断の甘さが重なり代々受け継いできた信頼を失ってしまった為である。何事もお金で解決できない問題もあるのだ。閉められたシャッターの張り紙が風でなびいていた。多くの社員が怒り、狂い、嘆き、途方にくれた。木口賢治もその一人だったが、今はプロゲーマーとしての人生を

もっとみる
【連載小説】真・黒い慟哭第3話「病院」

【連載小説】真・黒い慟哭第3話「病院」

 輝樹のスマホに1本の電話が入った。
知らない番号からだった。
恐る恐る耳に当てると女の子の声だった。
「逃げて!」第一声だったが、そのあとすぐに「なんでゲテモノツアーの途中で帰ったの?」聞き覚えのある声だったが、肝心の名前と顔が思い出せなかった。
「それは……」あとの言葉が続かなかった。
「一応、忠告だけどぉ、通り過ぎる車には注意して」そのあと通話が切れた。
そのあとすぐに車のエンジン音がした。

もっとみる
【連載小説】真・黒い慟哭第2話「2人の刑事」

【連載小説】真・黒い慟哭第2話「2人の刑事」

その夜……
「中学生で早くない?」その行為に不安げな言葉が漏れた。
「今では、小学生でもやってるよ」
「輝くんなら大丈夫、私はへっちゃらよ」
強がって言うと輝樹の下腹部に顔を近づけた。
「誤解しないでね。こんなことするのは輝くんにだけよ」火照った体に頬を赤らしめトロットロッの甘い声を出した。それがすごく色っぽく感じた。
 薄闇の中、2人は互いの体をむさぼるようにしてなで回し、いじくり回した輝樹の指

もっとみる
【連載小説】真・黒い慟哭   第1話「ゲテモノツアー」 

【連載小説】真・黒い慟哭   第1話「ゲテモノツアー」 

……ここはどこ? あの日の恐怖が記憶を遮っていた。
 たしか母が父を殺してしまって、母は警察に捕まり、父の祖母も老衰で亡くなり、母の両親は事件のショックで2人とも鬱になり2人で飛び降り自殺をしてしまった。第一発見者の証言では2人は手を繋いだ状態で地面に激突するとスイカが割れるような音がしてアスファルトに脳みそが飛び散ったと近くのカフェで目撃情報が出るとすぐにニュースで報道が組まれた。みんな私の前か

もっとみる
【連載小説】黒い慟哭  最終話「嘆き」

【連載小説】黒い慟哭  最終話「嘆き」

「うぅ〜さみ〜」ポケットに手を突っ込んで名森がある一軒家の前で立ち止まり、2階を見上げた。
「高橋さんはひでーよな! ここを見て来いって酷過ぎないか?」
「しかし、見れば見るほど不気味だな……これがゴキブリの家かよ!」
門扉を開けると甲高い音が響いた。
「錆まくってんじゃん!」名森が門扉を越えた、その瞬間! 『ドン!』家の中から物音が聞こえた!
名森は急いで中に入り門扉を開けたまま、玄関までが遠く

もっとみる
【連載小説】黒い慟哭  第9話「赤い柄のハサミ」

【連載小説】黒い慟哭  第9話「赤い柄のハサミ」

それで、思い出した。
たしか、俺が小学低学年の頃だった。家族でデパートに買い物に行った時だった……
 
 父と母が食材を求めに鮮精食品コーナーにカートを押して吸い込まれていった時、僕はたまたま【ミケーズドッグ】の看板が見えたので、お菓子よりもこちらに足を向け店内に入った時、ケージに入った犬や猫が各々自由にケージ内を走り回ったり、客につぶらな瞳をぶつける子もいた。僕はもちろん他の客同様に冷やかしで来

もっとみる
【連載小説】黒い慟哭  第8話「幻覚」

【連載小説】黒い慟哭  第8話「幻覚」

【ここで、正午にお伝えしたニュースの続報です。現場から中継です】女性記者がマイクを片手に家の中が映し出された。
記者が恐る恐るキッチンに向かいながら、しゃがみこんで開口部に向かって『こちらに仰向けで男性の遺体が詰め込まれていました』立ち上がりメモを確認しながら、『男性の名前は城木勝さんでこの空き家の中で遺体として見つかりました。空き家だったことも考えられ死後二日は経っていたと思われます。
警察は死

もっとみる
【連載小説】黒い慟哭  第7話「汚物遊戯」

【連載小説】黒い慟哭  第7話「汚物遊戯」

それじゃ、朝会を始めるぞ。
矢神優《やがみすぐる》が司会を進行する。この男が作業長という立ち場でこの工場では、そこそこの権力を持っている俺達の上司である。
 今はまだ若いが、この男は社長の息子でいずれその地位にくりあがる男だ。今の社長である矢神哲郎《やがみてつろう》は二代目であるが、哲郎が会長になり優が社長になれば、大体の工場は三代目が会社をメチャクチャにしてその代で会社を潰すとよく言われている。

もっとみる
【連載小説】黒い慟哭  第6話「百丸」

【連載小説】黒い慟哭  第6話「百丸」

「ねぇ? 電気消して」
「は、はい!」なぜか敬語で隆史は慌てて照明を落とした。
常夜灯に包まれ静まりかえる寝室で隆史は亜美を抱いている最中、落ち着きが無かった。
「あの……何かカサカサ聞こえないですか?」
「何の音だろう?」隆史が小さい声で発した。
亜美はムードを壊さないでと言わんばかりに「私を見て」そう言いながら、起き上がり隆史の唇を奪った。
薄闇に紛れて亜美の太ももが俺の股に絡みついてくる。レ

もっとみる
【連載小説】黒い慟哭  第5話「誘惑」

【連載小説】黒い慟哭  第5話「誘惑」

 友香が家に着いたのが午前9時前だった。道中すれ違う者達からは怪訝そうに見られた。小学生の群れが友香に向かって指をさして笑っている、パジャマのはだけ方を見て可哀想にと悲観の顔を向ける者、見て見ぬふりをする者様々だが、それもそのはずで朝の時間にパジャマ姿の女性が出現すれば、それはただ事では済まされない。ましてや両手で大事そうになにかを包んで歩いてるなんて、ドラッグのやり過ぎで飛んでいるのか? はたま

もっとみる
【連載小説】黒い慟哭  第4話「蜘蛛の視点」

【連載小説】黒い慟哭  第4話「蜘蛛の視点」

お巡りさんどうでしたか?
「特に問題は有りませんでしたよ。見間違いか錯覚ではないんですか?」制服の汚れをはたきながら答えた。
「まぁ、3年前に一度事件があった場所ですからね」
「うそじゃねーんだよ! ほんとなんだよ。2階からカーテンをめくってこっちを見ていたんだよ!」
あの……お巡りさん。冷蔵庫やキッチンの床面にある点検口の中はどうでした?
賢治が早く切り上げたいのか、早口で捲し立てた。
「床下は

もっとみる