埃をかぶった棚を見つめ、ストア派を求めにゆく(古本雑記・読書日記
祖母の家に行くと、もう使われなくなり、埃がかぶった書棚を見に行くようにしている。観察していると、全部で三十数冊くらいの本があり、7割くらいは、古書店に持って行っても、商品にならないと思われるような、古い本だ。いや、もしかしたら資料的価値があるものが一部あるのかもしれないが、興味はわかない。『現代女性全書』や古い『国語辞典』、古い版の『新約聖書』とか。古本屋にそれなりに通っているから、だいたい見当はつく。まあ、売りに行こうとなどは、全く思わないけれども。
しかし、注意深く見ていると、掘り出し物を見つけた。おそらく、祖父が読んでいた本だと思われる。
その掘り出し物というのが、司馬遼太郎の作品だ。いくつかある。
一冊が、『胡蝶の夢』という作品。一巻を持って帰ってきた。
次が、『古今往来』という作品。
蘭学者の話を聞かせてくれたこともあったような。司馬遼太郎作品は最近、『風塵抄』がとても面白かったので、読もうと考えた。
話題は変わり、吉祥寺へストア派を求めに行った話をしたい。
二週間ほど前のことだろうか。知人にストア派で面白い本について、訊ねたことがあった。そしたら、キケローを教えてくれたのである。
思いがけない返答だった。そうか、キケローはストア派だったのか!、と。おそらく、キケロの名こそほんの表面的に知っていたけれど、ストア派の書物として読むべきリストにはなかった。嬉しいセレンディピティな出来事だった。
ストア派に関する書物で、読んだものは以下。
まず、最初にマルクス・アウレリウスの『自省録』
次に、ロルフ・ドべリ著『Think clearly』この本は、ストイシズムを現代的文脈で語りなおした本。
この本で知った、ライアン・ホリデイの『エゴを抑える技術』
謙虚を極めるための本。
岩波クラシックスの『エピクテートス』
吉祥寺のジュンク堂に求めに行ったのは、キケロ―の講談社学術文庫、『友情について・老年について』である。2019年に第一刷がでた新訳である。
いつも吉祥寺に行くと古本屋に二軒(外口書店と藤井書店)寄る。今回は、予算に余裕がなかったため一軒を見ただけである。
それにしても、吉祥寺のジュンク堂は大きい!見るだけでも楽しめるようなお店である。品数や種類の豊富さでは、東京でも指折りの書店なのではないかと思うほどである。小学生の時に『シャーロックホームズの冒険』を買ってもらって以来、機会があれば遊びに行く店である(私にとって書店に行くのは息抜きなので遊びなのである)
さっそくこのキケロ―の著作の二篇のうち、「友情について」を読んだ。「賢者」の異名を持つ進歩的知識人、ラエリウスが、聴き手二人と向き合い、友情について、古びない大切なことを語る。読んでいて、優雅さと美しさを終始感じた。すばらしい読書体験となった。古典であるのでこれからも長く読み継いでいくことだろう。書物とは、時に生涯の友となるのではないだろうか。いつもそう願っている。終.