たみや える

四十代半ばになって小説が書きたいと思い立ち書きはじめました。現在創作◯年目、楽しく続け…

たみや える

四十代半ばになって小説が書きたいと思い立ち書きはじめました。現在創作◯年目、楽しく続けていきたい。

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  • たみやえるの140字小説 2024.1月〜6月までのまとめ

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最近の記事

(詩) 鍵はかかっていない

君は気づいている 僕らは自分という檻の中からしか外を見られない どんなに違う存在になろうとしても無理 無色透明にはならない なんの思い込みも 虚栄心も ゼロで その絵を見ることができたら きっと幸せになれる 檻の鍵はいつも開いていた それでもそこにいるのは何故? 君はいつもその中で ひざをかかえている こちらをうかがっている お前も同じになれと 僕の腕に爪を立てたがる じゃあ君も 透明になってくれる?  懲りずに詩を書こうとしています。すでに限界を感じています(苦笑) 。薄

    • (詩) 「不安定」

      今、目の前にいる画面の向こうにいる文字の向こうにいるだろうそのひとを 本当に実在しているとどうしたら信用できる? デジタルに慣れたならされたぼくたちは0と1の間を埋める世界を見たことがない その愛すべき連続した不安定を実際に目にしないことには全世界全宇宙が信用ならない ところで目って一体 何?  詩を書くのはほぼはじめてなので(学生時代……いつのこと苦笑……に書いたけどノーカンでいいと思う)、どう書くのが正解か分からないんですけども。不意に書けるかな? 書きたい! となった

      • 140字をこえたもの1000字未満(2024.06〜08)

         こちらは140字に納めきれなかったり色々です。 『牡丹餅』  若くして事業をおこし成功した幼馴染から連絡をもらった。会いたいと言われる。約束の時間は平日の昼時。ちょっと良いランチの誘惑に逆らえなかった。  彼は顔面もスタイルも良くて高収入。おまけに性格もいい。私は現在絶賛無職中。顔は平凡だし、家にいるうちに三キロ太ったし。勝ち組な彼が負け確定な私に何の用? 言ってないけど私はずっと彼に恋してた。今となっては永遠に叶わぬ片想い。そういう相手だからこそ、お互いの格差が私には

        • 140字小説、続けてみる(2024.07.01〜08.31)

           今年からはじめてみた140字がなんだかんだ続いています。とにかく続けているだけでもえらいのかも!  私はオチを考えるのが苦手なので、せめてドラマのある展開にしたいと(できるかどうかは別として)願いつつ書いております。 『窓際の席』  デートの途中に寄ったカフェ。彼と座った窓際の席。外を見ると見知った背中が。  不意に後ろ襟を引かれた感覚になる。  嘘、もう五年だよ。  あの頃の記憶には紗がかかっているのに私の目はなぜ人混みから君を拾い出すの。 「どうした?」 「ん、

        (詩) 鍵はかかっていない

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        • たみやえるの140字小説 2024.1月〜6月までのまとめ
          5本

        記事

          文披31題に参加してみる③(7/21〜7/31)

           なんとか完走できました!  とても楽しい企画でした。主催者様、他に参加された方々にも感謝です! こういうの初めてだったのでドキドキでしたが、一人で創作じゃない感じが凄く新鮮でした。あと、優しくしていただいてありがとうございます。  お疲れ様でした^_^ day20『摩天楼』  Uberの子から受け取った弁当片手に窓際に立つ。ガラス越しに見下ろすと他所のビルの明かりや道路を行き交う車のライトがダイヤモンドみたいに煌めいていた。  男は社長だった。自分の会社として、辺りで

          文披31題に参加してみる③(7/21〜7/31)

          文披31題に参加してみる②(2024.07.11〜07.20)

          day11 『錬金術』  錬金術に精通すると噂高い魔女の家に忍び込む。魔女は台所にいた。こちらに背をむけ真剣に大鍋の中身をかき混ぜている。にしても暑い。それに、甘ったるい匂いがする。  様子を窺っていると、急に魔女が振り返った。 「そっちの生地で餡を包んで頂戴。言うこと聞かないと箒で引っ叩くよ!」  誰だ? 魔女が金を作っているなんて大法螺吹いたのは。  それからずっと手伝わされている。  饅頭の販売が、魔女の錬金術だった。  ちなみに、同様の手口で捕獲された魔女の僕が、俺

          文披31題に参加してみる②(2024.07.11〜07.20)

          文披31題に参加してみる①(2024.07.01〜07.10)

           綺想編纂館(朧)様のTwitter企画に参加させていただきました。初めての参加でドキドキです。毎日設定されているお題について、他の方がどんなふうに書かれたのかなぁと見て回るのも楽しい! day1 夕涼み  タバコ辞めて。給料貰ったならちゃんと家に入れて。ガニ股は卒業してよ。全部正論なのに、言ったら喧嘩になった。  腹が立ったから近くの小さな公園に来た。一才になった娘を抱えて。  今年の最高気温を記録した今日の太陽を公園の土はまだ抱え込んでいた。履いてきたペラペラなビー

          文披31題に参加してみる①(2024.07.01〜07.10)

          140字小説続けてみる(2024.06.01〜06.30)

          『レターセット』  文具店パートの私は苛ついていた。視線の先の高校生カップルが原因。彼女がレターセットを一生懸命選ぶのに彼は返事すらしない。  二人が店の外に出る。  彼女は彼にレターセットの袋を渡し、歩道脇の車に乗り込む。車はあっという間に見えなくなる。引っ越し会社のトラックだった。  彼はまだそこにいる。 『うちの夫』  職場に、飼い猫飼い犬を連れての出勤がオッケイになった。そのことを告げてから夫の様子が変だ。  仕事から帰宅すると、夫がリビングのソファの上で

          140字小説続けてみる(2024.06.01〜06.30)

          300字を超えたもの〜1000字(2024.01〜05末まで)

          『理想郷』  気づくと私は歩道に面したオープンカフェにいた。食べ放題なのだろうか? 友人と一緒にケーキやパフェを次々食べている。 「美味し〜い!」 「色々あるから飽きないわよね」 「ここは良いわ! いくら食べても太らないもの」  友人の言葉に私はふと浮かんだ疑問を口にする。 「そういえばここ、どこ?」 「死ぬことも餓えることもない理想の世界よ」  すると、私にウインクした友人の顔が突然おぼろになった。 ……パチン。 「美味し〜い!」「色々あるから飽きないわよね」「ここは良いわ

          300字を超えたもの〜1000字(2024.01〜05末まで)

          140字小説続けてみる(2024.05.01〜05.31)

           『私はまだ旦那様に会ったことがない』  とある資産家のお屋敷につとめることになった。仕事は番犬と屋敷の奥に住む可愛らしいお嬢様のお世話。驚くことにお嬢様は既婚者なのだそう。まだ十代なのに。  それにしても旦那様に会わない。  同僚に聞くと、皆「会っているじゃない」と私を笑う。後で知った。  私の世話する犬が旦那様だと。 ✳︎  執事に言われた。 「旦那様の妾になってくれ」 「嫌です」 「お前がいないと旦那様が不機嫌になられる。困るのだ」  弱る私の足元、旦

          140字小説続けてみる(2024.05.01〜05.31)

          300字小説も書いてみる(2024.01〜05末まで)

          『(私の恋)』  (あ!)  平日夕方五時五五分。図書館。私は心の中で叫び声をあげ、書架の陰に隠れる。  YAコーナーの奥、テーブルの席に君は座っている。少し背を丸め、ノートに視線を落として。まつ毛、私より長いのでは? 左手は参考書のページを押さえ右手でシャーペンを回している。 (器用……、まるで魔法!)と、私は音を立てずに拍手する。  六時二〇分。他校の制服の女子が机の横に立つ。  彼女に気づいた君は顔を上げ口元を綻ばせた。  図書館から出ていく二人の背中を私は見送る。最後

          300字小説も書いてみる(2024.01〜05末まで)

          140字小説にチャレンジする(2024.04.01〜04.30)

          『将来有望』  うららかな日差しが照らす公園のベンチ。二人の母親が話している。 「うちの子、テストはいつも満点なの」 「羨ましい。うちの子なんて九十点ばかりよ」 『見栄を張り合うのは四月一日だけなんだよな』 『期待されているんだかいないんだか』  母親に抱かれる赤ん坊たちは目線を交わしている。 『欲しくなるもの』  二人で歩いている時だった。 「目にすると欲しくなるものってあるよね」 「例えば?」 「練り消しにスライム、あと紙石鹸でしょ」  俺の方なんかちっとも見ない。素っ

          140字小説にチャレンジする(2024.04.01〜04.30)

          140字小説にチャレンジする(2024.03.01〜03.31)

          『名前を』  婚活パーティーの終盤、次々とカップルが成立してゆく。 「思い出すなぁ」  思わず言うと隣の男性が「何をです?」と聞く。 「はないちもんめの時、なかなか呼ばれなくて」 「今日のパーティーは番号で呼ばれるので名前は呼ばれません」  むくれた私に彼が囁いた。 「なので、まず名前を教えてくれませんか」 『浮気の理由』 「おかえり。今日はギョーザだよ」 「俺の好物じゃん。サンキュ」  彼女が作るギョーザは肉とニンニクがぎっしりでまじ美味い。  自然、無言になり食べている

          140字小説にチャレンジする(2024.03.01〜03.31)

          140字小説にチャレンジする(2024.01.25〜02.29)

          『かじかむ手』  久しぶりの忘年会。店を出ると湿った雪が降っていた。 「寒いね」「だね」  手袋はあえて忘れた。  歩き始めてもうすぐ百歩目。かじかんだ手をグーパーする。  店の明かりに光る君の横顔は、あの子の背中をまっすぐ見ていた。  かわいそうな私の手は、君のポケットに入れてもらえそうにない。 『クリームソーダ』  雨から逃げるように入店した。クリームソーダのストローを咥えた私に「冬なのに寒くない?」と君は呆れた。 「大学生って面倒」「何で?」「二年になったら皆カレカノ

          140字小説にチャレンジする(2024.01.25〜02.29)