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ゆる創作

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ゆるいフィクション書いてます。この世から数分逃げたい時ぜひに
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#あの選択をしたから

ハルシネーション・ラブ

ハルシネーション・ラブ

 アスファルトが焼けている。揺ら揺らと熱気を帯びたその平面は、視界の下部を滲ませる。
あと数日で17歳を迎える僕の憂鬱を嘲笑うかのような、圧倒的な灼熱。

17度目の誕生日ともなると、流石に数えるのも面倒になってくる。これからも何度も繰り返すことになると思うと甚だうんざりしてくる。

 世の中には反出生主義、と言う言葉があるらしい。
難しいことはよく分からないが、兎に角人生には苦しい事が付きものな

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蜂の子

蜂の子

朝目覚めると、昨日までの悪天候が嘘かのような晴天に見舞われ、
風に仰がれたカーテンが顔を撫でるのを鬱陶しく手で払った。

ベランダに出て煙草でも喫もうかしらと、
服を着て喫煙具を引っ掴んだ。

床に置いてある灰皿の横に座し、のそのそとライターで咥えた煙草に火を付ける。

一口目を肺に入れ込まずに、ふかす。
煙がもわっと風に攫われ、僕の鼻先に立ち上る。

ぷかぷかと煙を燻らせていると、僕の視界の端に

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