小倉名物
鉄なべは小倉名物である。最近のTVの情報番組では、当たり前のように博多名物という。関東関西の人間からみれば、小倉も博多も福岡も久留米も、みんないっしょなのだ。紹介するほうは、どうせかわんないんだから、博多名物にしとけ、みたいな感じなのだろう。
人も一緒である。博多出身と紹介されたら、姪浜だったとか。博多やないやん、福岡じゃい。と怒りを隠さない。
福岡は武家の町、博多は商人の町であり、黒田藩は外様、博多は商人の自治区であった。小倉は譜代大名の小笠原家である。15万石である。戸畑区と小倉北区の境に境川という川が流れている。ここより西が福岡筑前であり、東は小倉豊前なのである。田川と中津の一部くらいまでと北九州市の小倉北区南区くらいが領地で、八幡戸畑若松は福岡藩である。
北九州は福岡のように人の流れが激しくないので、昔ながらの人が多い。境川を境に人の性格や雰囲気が違う。
上手にはいえないが、豊前の人のほうが、せっかちな部分が多いような気がしないでもない。そのわりにのんびりしている。複雑な土地である。
だから一色くたにしてほしくないのである。それぞれの歴史があるのだから。
ちなみに小倉はもともとこの辺一帯を企救といい、海側を企救が浦と呼んだ。それが企救浦(きくうら→きくら→こくら)になって、漢字は京都の小倉をあてたという説がある。
私もすっかり小倉の人間になってしまった。人生の半分以上をこの土地で暮らしている。おそらくは死ぬまでここにいるだろうと思う。
だから鉄なべが博多名物とかいわれたら黙っていられない。これより先、心配なのは、福岡に進出した揚子江の豚まんと、資さんうどんである。博多名物といわれたら適わない。
湖月堂の栗饅頭。栗饅頭自体は全国区のスタンダードのお菓子になってしまったが、起源は小倉なので忘れないように。他に祇園太鼓というお菓子も作っている。
あと、旦過市場のカナッペ、ジンダ煮(ぬかだき)、平和会館の豚まん、焼うどん。門司港の焼カレー。肉肉うどん。合馬のタケノコ、無法松の一生、小倉織。
小倉トーストと小倉百人一首は違うので、間違わないように。
小倉も今年、北九州平和のまちミュージアムが4月開館する。修学旅行客狙いでつくったのだろうけど、いのちのたび博物館や門司港レトロ、小倉城、エコタウン等、観光にいい土地になっているので、福岡と博多とゴッチャにしないようにぜひ観光に訪れていただきたいものである。
蛇足になるが、サッカーのギラバンズ北九州と新設された野球の北九州フェニックスも、これから活躍して、小倉を盛り上げていただきたいものである。