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揚がるイカを眺め、湯気を浴びるだけの話(短編カス小説)
ナゼ働かないといけないのか。
6月13日05時42分。私はスマートフォンを軽く眺めては何もないことにガッカリする。
ガッカリ?私は何を期待していたのだろうか。ーいつもの時間だー
それを確認するなり、慣れた手つきで手早く作業着に腕を通し、黒い靴に履き替える。更衣室から緑色のコンクリートに向かい歩をすすめた。その後は心をどこか身体の奥底にしまい込んで見えないようにする。これで安心だ。次に心が顔を出す
短編・馬鹿についてるクスリがある
「大学どうすっかなぁ〜」
「どうした?お前らしくもないじゃん。
いつもならパァって決断できるのに。」
「うーん、そうなんだけど、やっぱり将来っていったら東大!みたいな大学行った方が良いじゃん」
「そりゃそうだけどさ〜」
「んだって、元々おれらじゃ、むりっしょ。そんなに悩むことでもなくない?建築ってのに行けばいいじゃん。」
「いや、それが実はさ。」
「何そのリップクリームっ。前髪あげてどう
小説・ダチョウエビのビスク
「ダチョウエビ、それは地中海の奥深く、5000m付近にしか存在していません。海老にしては柔らかすぎる身は脂肪分が多く、とても美味と言えるものではありませんでした。一方でその殻は濃厚な琥珀色に輝き美しかったため、漁師の妻は工芸品に加工して残ったぶよぶよな身は海に捨てていました。しかしビエキス・マダムさんによりダチョウエビの歴史は大きく変わります。甘みのある脂っ気は料理の隠し味、とりわけスープにすると
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