
読書記録:おわりの雪
読み方は人によってきっとそれぞれ。
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ユベール・マンガレリ 著
田久保麻理 訳
『おわりの雪』
白水uブックス 2013年
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何度目かの再読。
物語を知っているにもかかわらず、読むたびにどうしても息苦しさを覚える一冊です。
古道具屋の店先でトビが売られているのを見た「ぼく」は、心を奪われ、トビをどうしても飼いたいと強く願うようになります。
物語全体から一貫して息苦しさを感じるのですが、これはトビが一度として鳥籠から出ることがないことも関係しているかもしれません。
「ぼく」が病に伏せる父に話すトビの話はいきいきとしているにもかかわらず、物語中のトビは実際にはずっと籠のなかにいるのです。
このトビを何かの象徴として読んでもいいし、読みを固めずその光景光景を純粋に読み進めてもいい。いろんな読み方ができる本だと思います。