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加速主義

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2022年10月の記事一覧

島澤諭・山下努『孫は祖父より1億円損をする 世代会計が示す格差・日本 』読んだ

島澤諭・山下努『孫は祖父より1億円損をする 世代会計が示す格差・日本 』読んだ

片付けをしていると積んだまま忘れてた本が発掘されがちだ。

島澤諭さん、どっかで見た名前だなあと思ったら、Twitterでフォローしてる人だった。

というわけで急いで読んだみたのだ。社会保障の世代間格差が主たるテーマである。

シルバーデモクラシーの問題点についての指摘は納得できるものが多い。ドズル・ザビに言わせるまでもなく政治とは数なので高齢者が数が増えたら彼らの意見は通りやすい。

特に宗教

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ダニエル・エベレット『ピダハン』読んだ

ダニエル・エベレット『ピダハン』読んだ

数について言語学的かつ人類学的考察をしたこの本の著者の父である、ダニエル・エヴェレットの本を読んだ。
またみすゞ書房だ。

ダニエルは言語学者かつ宣教師であり、伝道のためにアマゾンの奥地に住むピダハン族と20年以上にわたって生活を共にした。

彼の業績が衝撃的だったのは、言語が文化の影響を受けることを示したからである。言語は人類に普遍的かつ生得的なものであるとするノーム・チョムスキーの考えと大きく

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大空幸星『望まない孤独』読んだ

大空幸星『望まない孤独』読んだ

読みました。

若者の間で絶大な支持を得ている大空幸星なる人物については、恥ずかしながら全く知らなかった。

白饅頭さんのこの記事で初めて知ったのである。

多大なる影響力を持っているだけでなく、かなり真っ当な若者のようで、それじゃあ一つ著書を読んでみるかと思った次第である。

タイトルの望まない孤独とは、人間には独りの時間も必要だ、みたいな積極的な孤独とか孤高と、強いられた孤独や孤立を明確に区別

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ソローキン『親衛隊士の日』読んでみたで

ソローキン『親衛隊士の日』読んでみたで

小泉悠さんが触れていたウラジーミル・ソローキンの『親衛隊士の日』を読んでみたのだ。

ソローキンは旧ソ連時代からアンダーグラウンドな作家として知られており、芸術的というか難解な作風で知られていたが、2000年代からは現代的な作品も出すようになった。

この作品もわりと読みやすい部類に入るのだろう。

近未来のロシアでは帝政が復活し、主人公は皇帝の親衛隊幹部として、やんちゃな日々を送っている。雷帝イ

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