ボロンジマン

短編小説書いてます。 楽しんでもらえれば嬉しいです😊 楽器を愛するとある会社の変態ク…

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短編小説書いてます。 楽しんでもらえれば嬉しいです😊 楽器を愛するとある会社の変態クリエイター。

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敵兵に銃口を向けなかった少年兵の話

高校生の時からずっと鮮明に心に残っていて、今まで無意識に決して忘れないようにしているのか、ほぼ毎日頭の中でループしているいつか皆んなに伝えないといけないことなのだろうと思っていた話です。 小説など普段あまり読まないので、語彙力も文章力もなく稚拙で恥ずかしいですが使命感のような気持ちで書きました。 20数年前、自分は都内の文京区にある高校に通っていた。 父親の母校でもある歴史の長い男子高だ。 中学は水泳部員で全国一位二位を争う強豪校だったため毎日苦しい部活の日々で全然遊

    • 短編【沈む夜景に溺れないように】

      「死んだら楽になれるかな?」 「さぁ。死んだらわかるんじゃない?」 「ちょっとおまえ死んでみてよ」 「え、、やだよ。死んだらおしまいじゃん」 「じゃあ、楽になりたいと死ぬ人がいるのはなんで?」 「苦しみの反対が楽だと思ったからじゃない?」 参列者の後方で、ヒソヒソと会話する若い青年2人は、自分達の番になると静かにお焼香をあげ一礼するとその場から離れた。 その納得のいかない最後には、なぜ?という疑問がとめどなく湧いてくる。 「苦しみの反対が楽なら、生きてるままで

      • 短編【人から産まれた桃太郎】

        おばぁさんが川で洗濯をしていると、大きなモモがどんぶらこどんぶらこと、流れてきました。 その数は次第に増えていき、桃の木の枝や葉っぱも流れてきました。 それを見たおばぁさんは、上流で地滑りが起こり斜面にあった桃畑を巻き込んで収穫前の大きな桃が川に流れたと考え、もしかすると川が堰き止められ鉄砲水となって、村を土石流が襲うかもしれないと考え、顔面蒼白になりました。 「こりゃあ大変だ。すぐに村に知らせねぇと」 と、すぐさま洗濯も切り上げ村へと走った。 しかし高齢のおばぁさ

        • ショート小説【透明階段】

          今、僕は学校の屋上の端に立っているところ。 飛び降り自殺をしようとしているところだ。 学校の成績は悪くなかった。 いじめられてる訳でもなかった。 ただモブな存在で孤独だった。 どうせ、空気のように無個性で、存在感のない自分には友達と呼べる本当の友達はいない。 ゲームの中でも主人公になれない自分が死んだって悲しむヤツなんかいないんだ。 この先もずっとずっと孤独な日常を過ごすなんて耐えられない。 そんな人生に嫌気がさして、、、、 ただそれだけで死のうと思った。

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        敵兵に銃口を向けなかった少年兵の話

          『次元の異なる少子化対策』とはなにか?

          次元の異なる少子化対策とは、はたしてどういうことなのか? という質問を以前ネットでもらったのでその時に自分なりに考えた答えの転載。 次元の異なる少子化対策とは 「次元の異なる少子化対策」とは、すなわち異次元、つまり我々のいる次元とは異なる世界で行われる対策であります。 この政策が発表されたという事は政府は別次元へと結ぶワームホールをすでに、発見しており先の異次元緩和もそちらで実行済みなのでしょう。 異次元緩和とはつまり閉じかかったワームホールを緩めるための施策で、大き

          『次元の異なる少子化対策』とはなにか?

          短編小説【天国の過疎化問題】

          「最近さ、幽霊が出たという話をあまり聞かないよね」 「さぁどうなんでしょうね。人間界も割と快適になり、なかなか死なないから天国も過疎化がすごくて審査が緩いみたいです。 だから幽霊で彷徨うことなく成仏していなくなるって、天国の祖母が言ってましたよ笑」 「天国が過疎化なんて世も末だね笑」 「昔は、天国と言えばプレミアチケットだった。 それはそれは厳しい審査で、ちょっとでも素行が悪いと「はい君地獄ね。次」みたいな感じで一次審査も通らなかった」 「ですよねー、、もうちょっとそ

          短編小説【天国の過疎化問題】

          あああああああああああー

          ああああああああああっ 「彼女いるの?」 「っいないよ」 放課後の教室であの子と二人。 何気ない会話の中で、唐突にあの子は質問してきた。 「えー絶対いるでしょ?」 「だからほんっといないって」 急にそんなこと聞かれると緊張する。 なんでそんなこと聞くんだよ。 「どんな子がタイプなの?」 「えー、、、と」 俺は、じんわり額に汗を感じうまく出てこない言葉で詰まり詰まりしながらその子の姿を、下から見上げて言った。 「まぁ細くて、なんつーか、、、一緒に居て楽し

          あああああああああああー

          短編小説『特殊詐欺』

          ここは東京のビル群の日影。 世界に誇るその巨大都市は、その発展を誇るかのように所狭しと天に伸びる華やかに輝くビル群を育てるが、その代わりに光の届かない影を落とす。 俺達は、その影のオフィスで、日夜うまいことやるために片っ端から電話をかける。とにかく反応がある相手にあたるまでカケコが総当たりする。 そう俺達はいわゆる「オレオレ詐欺犯罪集団」だ。 罪悪感?  はは、国の税金だって無理矢理取られて、関係ない偉いさんの懐にも入るじゃねーか。 世の中そんなもんなんだよ!

          短編小説『特殊詐欺』

          異世界転生したけどネーミングセンス無さすぎて萎えた

          ドカン!! 僕は、交差点の真ん中で揺れる青空を見ていた。 すべてがスローモーションだった。 胸の中に熱いなにかが膨れ上がり、頭が加熱した。 一瞬、大型トラックの運転席が見えた。 僕はトラックに跳ねられた。飛び散る血と、おかしな方向に曲がった足が見えた。 多分助からないだろう、、、、 だんだんと暗くなった、、、 暗く寒い闇に、落ちていった。 暗い、、、、暗い、、、、、、 無音無光の世界がしばらく続くと、微かに声が聞こえてきた。 「・・・様」 「・・・・ル様

          異世界転生したけどネーミングセンス無さすぎて萎えた

          真冬の東京。スケボーでホームレスにホッカイロを配り回っていた話

          20代、私は都内の赤坂にあるIT企業で働いていた。 ITバブルも弾け10年近く、当時、IT企業での従業員はIT土方とも呼ばれ、キツい、給料安い、帰れないの3Kが当たり前だった。 朝は遅めの出勤とはいえ仕事が終わるのは大体いつも22時は回る。 終電、徹夜もよくあることだった。 常に座り仕事だし、平日は遊ぶ時間などまったくなく家に帰って寝るだけの毎日。 ストレスと不規則な生活で顔色も悪くなり元々運動好きの私もお腹周りが気になりだした。 そんな中、少しでもストレス解

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          潰れない大人のおもちゃ屋の秘密

          ワイの地元には子供の頃から、ボロボロのトタン作りの「大人のおもちゃ屋」があった。 それは見るからにボロく半分朽ちた廃墟のようだった。 しかし小学生の時、駅に向かうバスの中でそれを見て以来、そのデカデカと書かれた「大人のおもちゃ」という言葉に心躍り、ワイの中では夢のお店となっていた。 きっとラジコンやら最新ゲームやらエアガンなど、大人が楽しむ素晴らしい宝のアイテムの数々があるに違いない。 そう思っていたのだ。 そして時は立ちいつの間にか興味の薄れた20代中頃、小学

          潰れない大人のおもちゃ屋の秘密