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異世界転生したけどネーミングセンス無さすぎて萎えた
ドカン!!
僕は、交差点の真ん中で揺れる青空を見ていた。
すべてがスローモーションだった。
胸の中に熱いなにかが膨れ上がり、頭が加熱した。
一瞬、大型トラックの運転席が見えた。
僕はトラックに跳ねられた。飛び散る血と、おかしな方向に曲がった足が見えた。
多分助からないだろう、、、、
だんだんと暗くなった、、、
暗く寒い闇に、落ちていった。
暗い、、、、暗い、、、、、、
無音無光の世界がしばらく続くと、微かに声が聞こえてきた。
「・・・様」
「・・・・ル様」
「ノール様!」
「ノール様!!!」
だんだんとはっきりと聞こえてきたその声は誰かを呼んでいた!!
身体を揺さぶられているようだ。
「うっ」僕はぼやけた意識がかすかに甦った!うっすらと光が見える。
「ノール様!!」
どうやら僕のことを呼んでいるようだ。
もしやこれは、、、、
「転生」!?
オタク系のサイトで見たことがある。
死んだら別の世界に転生して新しい人生が始まるのだ!
そしてこの「ノール」と言う名が僕の新しい名前だ!!
実は僕は、自分の人生が嫌になっていて、できれば転生してRPGの主人公のような存在になることに憧れていた。
現世には未練はない。やっと僕の輝かしい転生人生が始まるのだ。
「ううっ!」僕はゆっくりと目を開け、僕の身体を揺さぶっていた手を掴んだ。
「よかった!お気づきなられたのですね!」
僕は立派な西洋風の建物の一室のベッドに寝かされていた。
間違いない!
これは転生だ!
そしてきっと剣とか魔法の世界だ!
僕はきっと王子とか勇者に違いない!
僕を起こしたメイド風の女の子は嬉しそうに僕の顔を見つめて言いました。
「よかったぁ、、、、、本当によかったです。もう二度と目を覚まされないかと思いました!
ボラギ・ノール様!!」
痔の薬だった。
僕の名前は痔の薬と同じだった。
「あ、、、、あの、、それ僕の名前?」
と聞くとメイド風の女の子は言いました。
「まだ混乱なさっているのですね!?そうですあなたはこのプレ・コール王国の士官の一人ボラギ・ノール様です。」
「すぐにイブ様にお知らせしなければ!先ほどまでイブ様もそばにいらしたのですが、ひどい頭痛で一旦自室に戻られたんです」
僕は、ややぼやけた意識ながら聞いた。
「イブとは?」
「イブ様は、あなた様の婚約者、エスタック・イブ様ですよ!」
うん頭痛薬だった。
婚約者は頭痛と生理痛の薬だった。
「薬かよ、、、、」
「薬ですね!ただいまお持ちいたします!」
さっと立ち上がり扉へ向かうメイド風の女の子が扉を開けようとした瞬間、向こう側から大きな男が扉を開けた!
「ようやく目が覚めたようだな。ガハハ。」
メイドの女の子は驚いたように
「イチジク官長!」
と呼びました。
どうやら俺の上官は、
便秘薬らしい。
官長はベッドの横のテーブルに腰掛けると、安心した顔で
「よろこべ!お前の親友のコー・ラックも無事だったぞ。」
と声をかけられた。
親友も
便秘薬だった。
僕は一気に萎えた。
たしかにRPGでふざけた名前を付けることはある。
でも転生した人生にはまともな名前がよかった。
まさかネーミングだけでこんなにもやる気が出ないとは思わなかった。
本当に事故にあったことが悔やまれる。
でも、婚約者は気になった。
きっと美しい女性に違いない。
彼女いない歴=年齢の僕にやっと美しい女性が伴侶として寄り添ってくれるのだ。
「あ、イブ様!」
僕の婚約者エスタック・イブが、部屋に戻ってきた。
それはそれは、美しい、、、、、、
とは大分かけ離れた容貌で、オークとゴブリンのハーフだそうだ。
彼女は低いドスの効いた声で
「よかったわぁ~あなだ!もう二度と抱きしめるごとができないがと思ったわぁ~」
僕はベッドにバタンと倒れ目を閉じた、、、、、、。
二度と開けたくなかった。
ゆっくりと闇につつまれ再び光が見えた次の瞬間、僕は病院の病室だった。
母が目の前にいた。
「よかった。智也、、、、もう目を覚まさないかと思ったわ」
どうやら現実に戻ったようだ。
死んでいなかった。
本当によかった戻ってよかった。
異世界転生が良いとは限らない。
これからはまず自分の人生を、まっすぐ歩く決心をしたのだった。
「ううっ」
頭が酷く痛く手で頭を抑えた。
「大丈夫!?いま頭痛薬をもらってくるわ!」
母は言った。
僕は
「いらない、、、、」
と答えた。
後書き
かなり昔に異世界転生モノが流行った時に他所に投稿した作品のリメイクです😂