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【図解読書】採用基準~地頭より論理的思考力より大切なもの~のレビュー

この図解レビューでは、筆者が価値高く感じたビジネス書を中心に、図解による概念化と引用を用いながら重要なエッセンスをレビューしております。

様々な場所で「グローバル人材」という言葉を聞く昨今。
その本当の意味を理解している人はどれくらいいるのでしょうか?

本著は、グローバルNo.1の戦略コンサルティングファームと言われるマッキンゼー・アンド・カンパニーに17年在籍した著者が、グローバル企業の最前線で本当に求められている人材要件について述べています。

そしてその人材要件はグローバルで活躍したいかとは関係なく全てのビジネスパーソンに求められるもの

自身のキャリアを見直したい会社員
どのような人材を採用するべきか悩んでいる採用責任者
部下の教育方針を考えているマネージャー
など仕事をするあらゆる人に読んでいただきたい1冊です。

いかがでしょうか?
ご自身も勘違いしている部分があったのではないでしょうか?
筆者自身も、なんとなくロジカルで数字に強くて何でもできる人材が求められてるのかと誤解している部分がありました。

まず1つ目のケース面接の際に、考えることが好きそうか、どのような思考プロセスをたどる人なのかを見られているのは日本企業とは大きく異なる気がしますね。
どうしても日本企業だと思考能力は筆記テスト等で試し、面接中にはしっかり準備してきたものを回答できるかを見ていることが多いように思えます。

2つ目の地頭についても外資系企業のイメージで強く想起されるものではないでしょうか?
ロジカルでスマートなイメージが先行して、問題解決方法を見つける能力にのみ注目してしまいがちかと思います。
実際には解決できるまでコミットする力が大事であり、的確に誤解を解いていく本著は素晴らしいですね。

3つ目の分析への誤解も、日本企業に不足していると感じさせられる点でした。
どれだけ準備をかけて分析しても、自分の意見で提案できないと意味が無いというのはさすが成果主義の実力社会だなと思います。

4つ目の、バランス人材も日本企業で求められがちな人材要件ですよね。
成果主義のグローバルにおいては、より難易度の高い問題に立ち向かうので、平均的な人材ではなく突出した強みのある人材を多様に採用して突破することは合理的です。

最後の、優秀な日本人を求めているという誤解も納得感があります。
日本支社なのだから日本人の中から優秀な人が選ばれるかと思いきやそんなことはありません。
日本語さえできるなら日本人ではなく中国人でもアメリカ人でも問題無いのです。
地理的なアドバンテージなどあまりなく、完全に実力勝負ということですね。

グローバルで最も求められる人材は「リーダーシップ」がある人とのことでした。
特徴的なのが、多くの人を束ねる人が発揮するものではなく、メンバー全員に求められるものという点。
本著ではリーダーシップを「成果へ導くこと」と言語化している点が本質を抜き出していてわかりやすいですね。

成果主義のグローバルでは役職や職位関係なく、新卒から社長まで一人ひとりが成果に当事者意識を持って行動することが求められます。

そして、著者はリーダーシップは訓練を積むことで後天的に身につけることが可能なスキルと断言しています。
グローバルで活躍したいかどうかに関係なく、これまで以上に世界との競争にさらされる現在において、リーダーシップを身につけることを説く本著はとても価値のある本であると言えます。

ここでは、リーダーとしてなすべき4つのタスクが具体的に整理されています。
どれも何となくイメージできていたものの、改めて言語化されると気づかされることが多いのではないでしょうか?

まず目標を掲げる点について、ただ一方的に上司から降ろされてきた目標ではメンバーの納得感が不足してモチベーションを管理することはできません。
部下を持っている方なら常日頃考えていることかと思いますが、メンバーをワクワクさせ強くコミットしてもらえる目標を設定し、全員が忘れないよう常に明示しておくことが大事です。

先頭を走ることについては、部下を最前線に置くことが必要な場面もありますが、リスクの高い部分はリーダー自身が先頭を走って物事を前に進めることが必要となります。
自分の立場に対して保守的になっていては成果を最大化することはできませんね。

3つ目の決めることについても日本企業によくあることに思えます。
これを読んでいるあなたの周りにも、不確定要素が多いのでじっくり調査してから決定しようとして、意思決定を先に延ばしがちになっている方はいませんか?
欧米や中国など比較して日本企業は意思決定スピードが遅いと言われています。
その一因として、自分の責任で決定をしたくないというリーダーシップ不足が影響していることがあるのです。

最後は伝えることについて。
多様なメンバーが増えれば増えるほど、経験や価値観も多様になり、1つのものを見た時に思考することが変わっていきます。
そのため、目標や意思決定プロセスを定期的に共有し続けることが重要となります。
逆に、うちの社員は言わなくてもわかってくれると思っている場合は、認識のズレに気づいていないか、そもそも会社に多様性が不足しているかのどちらかの可能性が高いので要注意ですよ。

本著では、著者が17年在籍していたマッキンゼーという戦略コンサルティングファームにおけるリーダーシップの学び方についても述べられています。

マッキンゼーといえば、知っている人も多いかと思いますが、「UP or OUT(昇進するか退職するか)」という暗黙のルールがあり、実力主義による競争が激しい企業です。
そんなマッキンゼーでは極めて合理的なリーダーシップの訓練が実施されています。

まずバリューを出すという点について。
リーダーシップを求める基本的発想は成果主義ですが、マッキンゼーでは1つ1つの会議等において自分がいる時といない時で提供されるバリュー(価値)が変わるのかどうかチェックしています。
もしバリューを出していなければ次の会議に呼ばれなくなることもあるようですよ。

2つ目はポジションをとること。
成果を出すことにリーダーシップを発揮すれば、当然自分なりの意見が生まれるはずです。
そして、メンバーそれぞれが違う意見を持つことで、成果を最大化する方法を見つけることができるのです。
逆に、他人の意見に賛成するだけではその人がいる意味が無いことになるので、常に自分のポジションをとることが求めることは納得できますね。

3つ目は、自分の仕事のリーダーは自分であることを強く自覚し、上司以上に成果を最大化する方法を提案することの重要性が述べられています。
上司や環境は自分の成果を最大化するために使うものと認識し、新卒時代から会社への様々な働きかけを求められるようです。

最後の4つ目はホワイトボードの前に立つこと。
ホワイトボードの前に立つことは、議論を前に進めることに責任を持ち、リーダーシップを発揮することの象徴とされています。
論点の整理、全体的な方向性づけ、膠着状態に陥った時の突破など、様々なスキルが求められます。

いかがでしたでしょうか?

本著には、グローバルで求められる人材要件「リーダーシップ」について非常にわかりやすく整理されています。
今回引用しきれていない具体的な訓練の方法や、各項目についてもっと深く理解したいと思っていただけたらぜひ本を手にとってみてくださいね!


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