見出し画像

『なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか』フィリップ・デルブス・ブロートン

概要

「なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか」は、営業の本質と重要性について深く掘り下げた一冊です。営業はしばしばネガティブなイメージを持たれがちな職種ですが、著者フィリップ・デルブス・ブロートンは、この本を通じて営業がいかにビジネスの中心であり、すべての人に必要なスキルであるかを解説しています。特に、営業が「拒絶」から始まる仕事であることに着目し、その拒絶をどのようにポジティブに捉え、成功に結びつけるかについて、多くの事例をもとに考察しています。営業マンにとって拒絶を恐れず、使命感を持って行動することが大切であることが強調されています。

本のジャンル

ビジネス、自己啓発

要約

営業の本質とは何か

本書の核となるメッセージは、営業とは単なる「売り込み」ではなく、相手に行動を促す重要なスキルだということです。営業スキルは、ビジネスだけでなく人生のあらゆる場面で役立ち、世界を動かす力を持っています。著者は、営業を学ばないMBAプログラムを批判し、営業がビジネスの根幹であると主張しています。

営業と拒絶

営業は「拒絶されること」から始まる仕事だと、本書では述べられています。営業マンにとって拒絶されることは避けられない現象であり、その拒絶をどのように捉えるかが重要です。著者が紹介するフランスの心理学者ラファエル氏の研究によれば、トップセールスマンは拒絶される回数が多い傾向にあるという結果が出ています。これは、彼らが他の営業マンよりも多くの打席に立ち、より多くの提案を行っているためです。また、提案を繰り返すことで最終的には相手のイエスを引き出すことができるため、結果として売上が高くなるのです。つまり、拒絶とは営業のプロセスの一部であり、成功への第一歩だということです。

拒絶を乗り越えるための「使命感」

営業マンが拒絶を乗り越えるためには「使命感」が必要です。著者は、キリスト教の布教活動やAppleのマーケティング戦略を例に挙げています。キリスト教では免罪符を売る活動が行われていましたが、その背後には「人を救いたい」という強い使命感があったと述べています。この使命感こそが、数多くの拒絶を乗り越え、最終的に世界規模での成功を収める要因となったのです。

一方、Appleの事例では、Apple Storeが単なる販売の場ではなく、製品を深く愛するファンがその製品を伝える場であったことが強調されています。Apple Storeの販売員は、技術的に優れた営業マンではなく、Apple製品を心から愛するファンが採用されました。この「製品を愛する」という使命感が、顧客との絆を強め、Appleのブランド力を高めることに成功したのです。

営業は拒絶されてからが本番

営業において拒絶されることは避けられませんが、それこそが営業の本質であり、拒絶された後にこそ本当の営業が始まります。拒絶されることで顧客のニーズがより明確になり、次に何を提案すべきかが見えてきます。営業マンとしては、拒絶されることを恐れず、相手と本質的なコミュニケーションを取ることが重要です。そして、そのために最も必要なのが「使命感」であり、自分が提供する商品やサービスが相手にとってどれだけ有益かを信じることが、営業の成功につながります。

使命感の重要性

本書では、使命感が営業マンにとって最大の武器であると繰り返し強調されています。使命感を持って行動することで、拒絶に対して強くなり、最終的には大きな成果を上げることができるのです。宗教やAppleの例からも分かるように、使命感を持って取り組むことが、結果的には多くの「イエス」を引き出す鍵となります。

まとめと感想

「なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか」は、営業という仕事に対する見方を大きく変える一冊です。営業は「拒絶されること」がつきものであり、その拒絶をどのように乗り越えるかが成功の鍵となります。本書では、拒絶を恐れずに前進するための心構えとして「使命感」が非常に重要であると強調されています。使命感を持って行動することで、営業の本質に迫り、最終的には顧客との深い信頼関係を築くことができます。

営業を単なる売り込みの技術として捉えるのではなく、相手に価値を提供するための手段と考えることで、営業の仕事がより意義深いものになります。読者として、営業に対する先入観を捨て、この本から多くの学びを得ることができました。営業に限らず、あらゆるビジネスシーンで役立つ内容が詰まっており、特に自己成長を目指す人にとって有益な一冊だと感じました。営業という仕事に対して恐れやネガティブな感情を抱いている方にこそ、ぜひ読んでほしい内容です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?