「こんばんは」と「お騒がせしました」
他団体のトップスターが乱入して宣戦布告。
かつてのプロレス界では、よく見られた光景です。
いわゆる「こんばんは」事件が真っ先に頭に浮かびました。
1981年9月、新日本プロレスの田園コロシアム大会に乱入した元・国際プロレスのラッシャー木村選手が、マイクで「こんばんは」と律儀な挨拶をしたのです。
当時は会場のファンを拍子抜けさせ、失笑を買ったとか。いまの私なら逆に凄みを感じます。アウェイのリングで、周りを囲むレスラーやファンも敵意剥き出し。そんな状況で堂々と「こんばんは」ですよ? 腕に自信がなければできません。
2000年8月に、スーツ姿で新日本のリングへ上がった全日本プロレスの渕正信選手もカッコ良かった。「G1クライマックス」開催中に他の話題を持ち込まれた蝶野正洋選手の怒りがリアルだったし「蝶野、来るなら来い!」「新日本プロレスのファンの皆さん、お騒がせしました」というマイクに王道の矜持を見ました。
マニア特有のひねくれたスタンスかもしれないけど、私は「ぶっ潰す!」とか「△してやる!」みたいなマイクやコメントにまったく興奮できません。
いつだったか、船木誠勝選手がインタビューで話していました。「プロレスラーは本音をしゃべれよ」と。もちろん何でもかんでも包み隠さず言えばいいわけではない。でもリアルな要素がそれなりに入っていないと伝わらないのも事実でしょう。
本心を言います。
ジェイク・リー選手ほどの知名度とスター性、実力を持ったレスラーなら、試合中に乱入するのではなく、終わってから堂々と入ってきていつものように礼儀正しく話す方が響いたのでは? それこそラッシャーさんや渕選手みたいに。このやり方だと、どうしても小悪党に映ってしまう(そこも新日本サイドの狙いかもしれないけど)。
今後の展開を見守ります。