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「書店員になって最初の休日に見た映画」の話
松田優作さんの主演映画は「蘇える金狼」と「野獣死すべし」だけDVDで見ています。書店の契約社員になって最初の休日でした。
営業マン時代は、休みが月に2日あればいい方。それが毎週2日休めるようになった。世間では当たり前のことなのになぜか戸惑ってしまい、何をしたいかわからない。
結局仕事に向かう時と変わらぬメンタルで目覚め、何かへ挑むように二作を続けて見ました。
内容が内容なので、気分がどんよりしたのを覚えています。以降は一度も見ていません。嫌いとか苦手というのではなく、安易に触れたくないのです。作品と正面から向き合える覚悟を決めた状態でなければ。
以後、松田さんについて書かれた本を数冊読みました。何をやるにも本気で妥協せず、周囲にも同じ質量の熱を求め、どんな状況で誰が相手でも馴れ合いや言い訳を許さない。そんな印象を受けました。
営業マン時代の経験から、こういう人と一緒に働くのは相当しんどいとわかります。一瞬たりとも気を抜けないから。同時にすごく成長できるのも確かです。どこかのタイミングで彼みたいな人に出会えたかどうかが、生涯の大きな分岐点になるかもしれない。
何年か前に古書市で購入した↓は、私の宝物のひとつです。
話を戻すと「野獣死すべし」のリップ・ヴァン・ウインクルのシーンに惹かれ、職場の飲み会でショートバージョンの物真似を披露していました。ひとり二役で「ラム、クワントロ(言い方が肝)それに……レモンジュースを少々」「X、Y、Z」「そう、これで終わりって酒だ!」と。
本心では軽々しく真似などしたくない。申し訳ない。一方でこういう人になりたい。理屈抜きで憧れる。だからつい真似てしまう。そんな存在でした。
二作を久し振りに見たい。今度は映画館で。3月22日から4月4日に角川シネマ有楽町。覚えておきます。
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