「大人の仕事」をする人びと
震災直後に連載が始まったから、たしかに10年ですね。荒木先生、おつかれさまです。
「ジョジョリオン」は前作「スティール・ボール・ラン」の終了から間髪入れずにスタートしたのですが、今回はどうなるのでしょうか? もちろん34年間続いた「ジョジョ」サーガが終わるとは思っていませんが。。。
個人的には先生の「短編」を読みたいです。ドラマ化した「岸辺露伴は動かない」も新作が気になるけど、できたら既存のキャラクターに囚われない自由な作風に触れてみたい。
「死刑執行中 脱獄進行中」という荒木先生の短編集が大好きです。愛蔵版を持っています。特に表題作は何度読んでもたまりません。カフカ的不条理と「世にも奇妙な物語」「ヒッチコック劇場」風の不気味なサスペンスが後を惹きます。
先生のデビュー作「武装ポーカー」も斬新な短編です。これもある意味で「ヒッチコック~」的なのですが、実はその点に重大な(以下自主規制
こちらは短編集「ゴージャス★アイリン」に収録されています。
どの作家も「長編」と「短編」の魅せ方の違いは意識しているでしょう。でも村上春樹さんと荒木先生のおふたりは、特にその書き分けが秀逸です。「辛いもの」と「甘いもの」じゃないけど、どちらかの妙味にどっぷり浸かると今度はもう一方のキレが恋しくなる。
ちなみにプロレスでこの使い分けが巧みだったのは、現在DDTで活躍する秋山準選手です。3分ぐらいで決める短い試合では素早い丸め込みや普段使わない隠し技を駆使し、スリルと意外性で心臓をバクバクさせる。長時間のタイトルマッチではじっくりと腰を据え、いつもの技を丁寧に組み立て、重厚な真っ向勝負を繰り広げる。
状況に応じて角度の変わってくる期待にその都度しっかり応える。そんな「大人の仕事」を可能にするのは、これまでの人生で培った引き出しの数。イコールたしかな技と知識、そして経験値です。秋山選手の昔の試合を見返して感性を再点検しようかな。荒木先生、新作を気長にお待ちしています。