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「持ってる」ことより大事なもの
2年連続の開幕投手。よもやよもやです。ギリギリ一軍に残れるかどうかだと思っていました。
青柳投手の陽性判定による代役ですが、こういうのを世間では「持ってる」と表現するのでしょう。もちろん実力あってこその運。でも彼以上に安定していて開幕に相応しい投手がいるのも事実なのです。
ローテーションの巡り合わせも含め、目に見えない何かが藤浪投手の覚醒を後押ししている。と同時に、もし彼が「俺は持ってる!」と思い上がって言葉や態度の端々に出したら、その何かは即背を向ける気がします。誰とは言いませんがいましたよね。彼と同じ元・甲子園のスターでそういう人が。
でも藤浪投手は「青柳さんが一番悔しい。次の週にいい形で入ってもらえるように、いい流れを」というギバーのコメントを残しているから大丈夫でしょう。達観した雰囲気すら漂わせています。タフというよりは、柳のように受け流すしなやかな強さ。ここ5年ほどはずっと期待外れでファンやマスコミや関係者に叩かれる状況が続いているのに。
いやだからこそ、かもしれない。
三浦建太郎「ベルセルク」7巻に印象深いセリフがあります。
「強い人間……その一言で片付けてしまうのは簡単だ」「でも大きなものを手にしようとする者は、それだけ人より多く何かに堪えているのだと思う」
藤浪投手の志はどこにあるのでしょうか。少なくとも「大金を稼ぎたい」とか「周囲からチヤホヤされたい」みたいな次元ではないはず。まずは個人的な成果が最優先としても、おそらくもっと大きなものを見据えている。順風満帆なエリートからトレード寸前のどん底まで突き落とされ、必死にもがいて這い上がったからこそ気づけた何かを。
勝ち続けるしんどさは私にはわかりません。でも何度敗れても諦めずに立ち上がる大変さなら少し理解できます。敵は我に在り。そうですよね?
開幕戦を楽しみにしています。
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