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令和に蘇る「ゴモラ@大阪城」

とにかくでかい。

辻陽太選手の凱旋、なかなかのサプライズでした。

2年弱の海外修行から帰ってきて、いきなり団体最高峰の王座へ挑戦。しかも試合後に乱入してチャンピオンのSANADA選手をぶちのめしたにもかかわらず、ブーイングが起きていない。期待感が上回ったのでしょう。

たしかにこの佇まい。固定概念を根本から覆しそうな雰囲気を漂わせています。いまどきの日本人レスラーには稀なスーパーヘビー級の体格、歯の白さが醸し出す不気味な笑顔、そして迫力満点のスピアー(タックル)。

WWEで1000日近く世界王座を保持しているローマン・レインズを連想しました。

レインズは3年前にヒール(悪役)に転向して大きく変わったレスラーです。ベビーフェース(善玉)時代は「試合がワンパターン」「スター性は認めるけどレスリングは下手」と目の肥えたファンから批判されていました。ショーの主役を担うヒーローには、どうしても求める水準が高くなるのでしょう。

しかしヒールになったことで状況は一変。声援を気にせずシンプルに殴って蹴って絞め落とすスタイルに変えたら、技の少なさが「強さ」の表現法としてハマったのです。

短所と長所は紙一重、もしくはコインの表裏だと学びました。

ヤングライオン時代の辻選手は、体格の割に器用なテクニックを見せていました。「この身体でこんなことできるの?」と意表を突くのは有効です。でももしかしたら、ちゃかちゃかした動きを封印して怪獣みたいにただただ暴れる方がベルトへの近道かもしれない。長所はたやすく短所に変わり得るから。

ましてや対戦相手のSANADA選手は団体屈指のテクニシャンです。好対照な両者がぶつかる構図はエンターテインメントとしてわかりやすい。

6月4日は「ウルトラマン」で大阪城を壊したゴモラみたいな制御不能な暴走ファイトが令和の世に蘇りそう。迎え撃つ王者の戦い方にも要注目です。

作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!