「アントニオ猪木をさがして」で私が探したい答え
本日公開です。
私がプロレスに興味を持ち始めたのは1988年で、当時猪木さんは45歳でした。テレビ朝日の「ワールドプロレスリング」で初めて見た彼のシングルマッチは、7月に開催された「IWGPヘビー級王座挑戦者決定リーグ戦」の開幕戦。長州力さんに敗れた試合です。
本来は「一騎打ちで猪木が負けた!」と驚くところ。しかし実はそうでもなかった。
その頃の「ワールド~」は、オープニングで放送する全試合のさわりを先に見せる方式でした。荒々しいフォントのテロップとドキュメントみたいなナレーションが記憶に残っています。そしてその日のオープニングではよたよたと立ち上がった猪木さんの後頭部へ、走り込んだ長州さんがラリアットをかます場面が映っていました。
後ろからリキラリアットを食らったら、まず返せません。
驚きはなかった。でも不満も覚えなかった。なんとなく結果が予測できても、それはそれとして一挙手一投足に惹き込まれてしまう。プロレスの不思議な魅力とスターの色気を猪木さんから教わった気がします。
最初に見た試合の影響なのか、私の中で彼は「ヒーロー」とは少し違う存在でした。藤波さんやライガーさんのプロレスからはカッコよさや強さを感じ、ただただ燃えました。でも猪木さんの場合は同様の要素を持ちつつ、それ以上に黙ってじっと熟視したくなる。
いま思うと「ザ・ノンフィクション」や「プロフェッショナル」みたいなドキュメントを視聴する感覚に近かったです。そして見終ったら居住まいを正し、部屋の掃除や腕立て伏せを始めてしまう。
あらゆる試合が人生のメタファー。目に映るすべてが生々しいドキュメント。だから心の奥深くまで響く。誰かが言っていた「アントニオ猪木は24時間アントニオ猪木」とは、こういうことなのでしょうか。
私なりの答えを探しに、近々映画館へ足を運びます。