「諦めても諦めない」
素晴らしかったです。今年のG1の私的ベストバウト。
どちらも体格的には80キロ台。本来なら「ジュニアヘビー級=軽量クラス」の選手です。それでもヘビー級で戦い、実績を残してきた理由をたっぷり堪能できました。重い打撃、ねちっこい関節技、そして一瞬の機転と丸め込み。
何より嬉しかったのは、プロレスリング・ノア時代、GHCヘビー級王者として団体を引っ張っていた「あの頃のKENTA」が戻ってきたことです。
2年前、新日本に来てヒール(悪役)ターンした後はのらりくらりと相手をいなすスタイルでした。それはそれで頭の良さを感じたし、試合後のコメントにも笑いました。でも昔の姿を知らないファンが「KENTA笑える!」「面白い!」と騒いでいるのを見てモヤモヤしたのもたしか。「本当の彼は違うんだよ」「もっと熱い男なんだよ」と。
↑のザック選手のコメント(嬉しそうに目を輝かせているのが印象的)にもある通り、この日は「ノアのKENTA」でした。かつて同団体に留学して一からプロレスを学んだザック選手からしたら相手は「大先輩」。そんな人と真っ向勝負で熱いファイトができたら感慨深いですよね。
「あの頃のKENTA」と「いまのKENTA」の融合。この「KENTA2021」はある意味チートかもしれません。野球でたとえると、若い頃しか投げられない剛速球とキャリアを重ねて学んだ投球術を同時に駆使するようなものだから。
若さを失う代わりに知恵を手に入れるのが人生。でも夢のあるプロレスのリングでは、こういう奇跡がちゃんと起こる。これを見て「次は自分の手で!」とならなかったら嘘ですよね。
若い振りをしても仕方ない。あの頃と同じペースでは動けない。その「諦め」と「割り切り」が変化と成長を促す部分もあります。でも昔の自分を完全に捨てなくてもいい。変化がある程度形になったら、久し振りにあの頃の引き出しを開けてみるのも悪くないかもしれません。以前は上手くできなかったことがあるいはいまなら。。。
諦めても諦めない。それが明るい未来を掴む秘訣だとKENTA選手から教わりました。