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【本128】『雨上がりの川』

著者:森沢明夫 出版社:幻冬舎文庫

不登校の中学生・春香、霊能者に洗脳される母・杏子、釣り好きの元心理学者・千太郎、暗い過去をもつ霊能者・紫音、そして、春香の父・淳...

みなそれぞれ、事情を抱えてて、この状況を打破したいと思いながらも、その状況が日常化していきます。だから、どこか「私の人生は、ずっと梅雨なんだ」という千太郎の言葉のように、梅雨に飲まれてしまいます。

でも、賢く軽やかな春香の行動が、硬直した事態を好転させていきます。「前に進みたい」という気持ち、「それぞれに事情がある」という相手を思いやる優しさが、自分の人生を皆んなの人生をコトっと動かしていきます。

みな、それぞれに事情があり、自分の人生は「梅雨」のようだと思う時もあります。身動きできない日々、外に出られない日々、光がささない日々。しかも、悪いことに、雷雨でないから、このままでもいいかなーと、静かに梅雨を楽しんでしまう自分もいたりします。

でも、この本のタイトルのように、「雨上がり川」はきっと太陽の光を受けてキラキラとしているはず。キラキラとした水面を忘れずに、そこに向かって一歩を踏み出せるといいなと思いました。

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