Page2:“本を読まない人が増えた”は信用出来ない
秋といえば・・・「読書の秋」と言いたいところだが、僕の場合は、「積読の秋」だ。
どうしてもこの時期になると本が恋しくなって、営業先の本屋で買ってしまう。
読んでないわけではないが、買って満足してしまうのだろう、気がつくといつの間にか机や棚に本のタワーが出来ている。
それを眺めてまた満足感に浸る。
明らかに読むペースよりも買うペースの方が早いため、BOOKタワーは高さを増していく。
秋のせいなのか。
それとも単に本を集めるのが好きなのか。
明らかに答えは後者だ。
それでも月に10冊以上は読んでいる。
「読書の秋」というくらいだから、秋になると本を読む人は増えるのだろうか。
文化庁が9月17日に公表した2023年度の「国語に関する世論調査」で、“月に1冊も本を読まない人”が62.6%と6割を超えているのだ。
5人に3人が本を読まないということになる。
また前回(平成30年)の47.3%より、今回(令和5年)は62.6%と割合が15.3%増えたことが新聞などで「衝撃」だと報じられた。
こうした情報を元にメディアやSNSで『読書離れ』という言葉が独り歩きしているのだ。
本当に本を読まなくなった人は増えたのだろうか。
毎日新聞の読書世論調査で、高校生以上の不読率の経年変化を見てみると、昔も今も50%前後で推移している。
さらに、16歳以下の子どもたちの読書量は大きく伸びているのだ。
つまり、今も昔も、読む人は読むが、読まない人は読まないということに大きな変化はないのだ。
ここの視点に注目していく必要があるのではないだろうか。
単に調査結果を鵜呑みにして、「本を読まなくなった人が増えたから、本屋がどんどん潰れていく」という風に結論付けてはいけない。
業界全体の問題として、本を読むことの大切さや、読むことで得られる何かを伝えていく必要があるのではないだろうか。
そのために、著者、出版社、編集者、取次、本屋が一丸となって考えていく必要がある。
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